「それでは出産前の太陽礼拝のポーズをしま~す、四つん這いになってくださぁ~い」
四つん這いになった私は、いつも以上に牛になったような気がした
お腹の膨らみ越しに、後ろの隅の方でヨガをやっている真紀ちゃんを見る
やっぱり真希ちゃんは可愛い、でもヨガレッスンをワンピース姿で受けている、きっと妊婦用のレオタードを持っていないのだろう、私のお古を分けてあげよう、なんたって私は三人目だ妊娠グッズも子供服も沢山ある
真希ちゃんはいつもの幼稚園のママ友達とはちょっと違う、あたしは真希ちゃんが好きになっていたわ講師がさらにけしかける
「片手を脚に当てて~~右手は赤ちゃんに手を当てて、みなさんの体は赤ちゃんを優しく包んで、素晴らしい世界を作っていますよ~」
私も真希ちゃんも同じポーズをし、鏡越しにお互いの変なポーズを笑った
レッスンが終わり、私は真希ちゃんの所へ行った
「私が勧めた通り体験うけてくれたのね」
私は言う
「でもこの体験で終わりそうね」
彼女が答え私達は笑う真希ちゃんは面白い
「ランチでも行く?」
「行く!行く!でもフードコートは勘弁して!」
また私達は笑った
私達は3階のレストラン街のおしゃれなカフェに入った。今日は涼しく良い天気だったのでテラス席の広いソファーにドシンと座った
「大きなおなかを抱えていたら、木の椅子が辛くって」
「あ~~わかる~~、ここならソファーでゆったり出来るわね」
当然のように私達はそこから会話は赤ちゃんの事になる。血圧の話、母親学級 痛みの話、担当の産科医の眼鏡が変な形の話
「帝王切開をすることになったの、逆子が治らないのよ、今日のレッスンで逆子戻しのヨガをしてもらったんだけど」
真希ちゃんが心配そうに言う
「まぁ・・・お腹を切るのね?普通に産むのだけでも大変そうなのに」
「そりゃ普通分娩に越したことはないわ、あの時は死ぬかと思うんだけど、産まれたら不思議とあの痛みを忘れちゃうの。だからまた産めるのよ、でも今回は帝王切開で内心ホッとしてるわ
誕生日も自分で決められるし、入院も普通分娩に比べて長いしね、産科でゆっくりするつもり、どうせ家に戻ったらワンオペ子育てが待ってるんだし、今度は三人もね! 」
あたしはお冷を一気に飲み干した
「旦那さんは?もちろん手伝ってくれるんでしょう?」
私は鼻で笑う
「康夫が?まっさかぁ~!オムツも変えるのを嫌がるのよあの人!あの人実は子供が嫌いなの!下の斗真が泣いたりしたら
本当に嫌な顔をするのよ!喧嘩した時なんかいつも「離婚」するって私に酷いことを言うのよ!こっちはあなたの子供を産んでやってると言うのに」
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