「そりゃ普通分娩に越したことはないわ、あの時は死ぬかと思うんだけど産まれたら不思議とあの痛みを忘れちゃうの、だからまた産めるのよ、でも今回は帝王切開で内心ホッとしてるわ誕生日も自分で決められるし、入院も普通分娩に比べて長いしね、産科でゆっくりするつもり。どうせ家に戻ったらワンオペ子育てが待ってるんだし、今度は三人もね! 」
私はお冷を一気に飲み干した
「旦那さんは?もちろん手伝ってくれるんでしょう?」
私は鼻で笑う
「康夫が?まっさかぁ~!オムツを変えるのを嫌がるのよあの人!あの人実は子供が嫌いなの!下の斗真が泣いたりしたら本当に嫌な顔をするのよ!喧嘩した時なんかいつも「離婚」するって私に酷いことを言うのよ!こっちはあなたの子供を産んでやってると言うのに」
真希が目を見開いて驚いた顔をする
「とっても・・・・夫婦仲が良いんじゃなかったの?だって・・・インスタに・・・」
キャハハッ
「あんなの嘘よ!彼も私も外面がとてもいいの!だって彼ってニュースキャスターじゃない?私も一応数万のフォロワーを抱えているインフルエンサーだからイメージが大切なのよ」
「そう・・・なんだ・・・ 」
途端に真希ちゃんは黙り込み、何だか空気が悪くなった
「私の事ばっかりごめんなさいね、あなたの事を聞かせて?どこで産むの?」
気を取り直したのか彼女はニッコリした
「母の実家が堺なの、母の知り合いの助産院で産むの、そこはなるべく自宅の様な自然分娩が出来る所でね、私の理想なの」
私は少し心配になった
「テレビで見たことがあるわ!古民家みたいな所よね?大丈夫なのかしら・・・ほら・・菌とか・・清潔なの? 」
真希は笑った
「大丈夫よ!私もそこで生まれたから、初めてのお産だから、母の勧めでなるべく自然に産みたくて」
「婚約者は?帰ってこれるの?」
「残念だけどお休みが取れるのはお正月みたい・・・」
「まぁ・・・残念ね・・・・ 」
私はルイボスティーを一口飲んだ
「でも毎日ビデオを送れって彼うるさくて」
「愛されてていいわね~、私なんか入院してる時は子供を母に預けられるから、康夫ったら久しぶりに独身気分に戻れるって浮かれちゃって、サイテーでしょ!」
「アハハ・・・・本当サイテーね 」
真希ちゃんはきっと私に調子を合わせてくれたのだろうけど、でも私はもう止まらなかった、誰かに康夫の愚痴を聞いてもらって発散させたかった
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