テラーノベル
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そして、部署に戻ると、匠が椅子にもたれて、休んでいた。
──お疲れ様〜
と、心の中で言うと、
パッと目を開けた!
「おはよう」
「おはよう」と言っている。
──ん? 寝ぼけてる?
「ふふふ、お昼休み終わるよ、大丈夫?」と聞くと、
「おお! 危ね〜」と言う。
「ん?」と聞くと、耳元で、
「抱きしめるところだったわ」と言ったので、
「ふふ」と、照れて笑ってしまった。
──もう!
すると、また「可愛い」と小声で言って、
「あ、弁当めっちゃ美味かった! ご馳走様」と言って、私の頭をポンポンとしてトイレに行った。
「うん」
思わず誰かに見られてないかと辺りを見回した。
お昼休みだし、皆んなそれぞれ、まったりしているので、大丈夫そうだ。
ココにも私の最強の味方が居る。
こちらには、どうも私の心を弄ばれてしまう。
──好き
なんだよなあ〜
だから今、私は笑っていられるの。
あなたたちのおかげで……
ありがとう!
定時の5時半まで働いて、私は帰り支度をする。
「もう帰る?」と匠が私の席まで来た。
「うん」と言うと、
「お疲れ!」と言うので、
「うん、お疲れ様〜」と言う。
何か言いたげな顔をしている。
「ん?」と聞くと、
「気をつけて帰れよ」と言ってくれた。
「うん、駅までは、美和と一緒だし」と言うと、
「おお」と、やっぱり何か言いたげな顔だ……
もしかして、智之のことを気にしてる? と思ったので、家に帰ってから話そうかと思っていたが、
「あ〜そう言えば、お昼に会ったよ!」と言うと、
「え!」と驚いている。
「大丈夫! キッパリ言ったから」
「そっか」
「うん。やっぱり、自分の子だったんだって」と言うと、
「そっか……バカだな」と驚きもしない匠。
「うん。もう私には関係ないし……」と言うと、
「うん! 分かった」と微笑んだ。
そして、私は、大変なことを思い出した!
「あ、どうしよう!」
「ん? どした?」
「貯金半分返さなきゃいけないのに、口座聞くの忘れてた!」と言うと、
「あ〜じゃあ、俺聞いといてやろうか? アイツと話もしたいし……」と言ってくれた。
「良いの?」
「うん。俺たちのこと話しても良いか?」と言うので、
「うん、匠に任せる」と言った。
「分かった」
「じゃあ、お願いします。お仕事頑張ってね」
「おお」
そして、私は部の皆さんに、
「お先に失礼しま〜す」と、言った。
「「お疲れ様でした」」
「お疲れ〜!」と匠も言ってくれた。
匠は智之の所にわざわざ行って、口座を聞いてきてくれたようだ。
すると、智之は、
『綾、大丈夫そう?』と一応、私のことを心配していたようだが、
匠が、「うん! 綾のことは、もう俺に任せろ!」と言ったようで……
『え? 何で匠に?』と聞くものだから、
「俺、綾と結婚するから」と言うと、
『は?』と、驚いた様子だったので、
「もう一緒に住んでる」と匠が言うと、
『え? お前らいつから?』と、智之と付き合っていた頃からだと勘違いしたようで、
「お前と一緒にするな! 確かに俺は綾のことがずっと好きだった!」
『ほら、やっぱりお前!』と言うので、
「俺は、お前だから我慢してたんだ! それに、俺たち、幼稚園の頃の幼馴染だったんだ」と言うと、『え?』と驚いていたようだ。
「まあ、それが分かったのは、あの日だけどな。お前と《《終わった》》って聞いて……あの日、俺はお台場まで行ったんだ。お前は帰った後だったみたいだけどな」と言うと、
『そうなのか……』
「普通、女の子を海に置いて帰るか? お前の頭ん中どうなってんだよ!」と言うと、
『もう帰ったんだと思ってた。反省してる』と言う。
「つうか、お前は、もう、あの女と子どもと新しい家庭を持たなきゃいけない! お前がそう決めたんだろ!」と言うと、
『そうだよな……』
「なんだ! そのモヤモヤする返事! 自分が、しでかして、そう決めたんだろが! 綾を泣かせてまで」
『……だよな』
「だから、俺は、綾にプロポーズしたし、綾のご両親にも了承を得てる」と言うと、
『え? 綾の親御さん厳しいって言ってたのに』
「あ、俺、親父さんにも幼稚園の頃よく遊んでもらってたから」と言うと、
『そっか……俺は家にすら入れてもらえなかったのに、お前はすんなり入れたんだな』と言う。
「まあな。良くしてもらってる。だから、もう綾には関わらないでくれ!」
『分かったよ。俺が幸せに出来なかった分、お前が幸せにしてやってくれ!』と言うので、
「お前に言われなくても幸せにするわ!」と言った匠。
『そうだよな……』と、まだ落ち込んでる様子だったが、自業自得だ! と思ったと言う。
帰って来てから、話してくれた匠。
そして、すぐに貯金額を半分計算して、智之の口座に振り込んだ。
「あ〜スッキリした〜! ありがとう匠」
「うん。俺もアイツに言いたいことが言えたから良かったよ」
「うん、そうだね。ね〜匠?」
「ん?」
「幸せにする! じゃなくて、一緒に幸せになろうね」と言うと、
「おお、そうだな。2人で一緒になろう!」
「うん、そのうち家族も増えると良いね」
「おお」と、私を抱きしめる。
そして、やっぱり、素敵なキスをした。
コメント
1件
匠くんがあの日来てくれて本当に良かった✨