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翌朝。
ピンポーン
静かな部屋に、インターホンの音が響く。
「……んっ」
隣で、青くんが小さく身じろぎした
まだ眠りが浅いみたいで、僕の服をぎゅっと掴んだまま
「大丈夫、すぐ戻るよ」
小さく囁いて、そっと手をほどく。
もう一度チャイムが鳴った。
「……はい」
ドア越しに声をかけると
「水?俺、桃だよ」
その名前を聞いた瞬間、少しだけ息をつく。
ドアを開けると、そこには焦った顔の桃が立っていた。
「やっと出た……!連絡つかないし、水も青もいないし、マジで心配したんだけど」
「……ごめん」
「で、青は!?見つかったの!?」
少し迷ったあと、小さく頷く。
「……うん。中いる」
「…っ、ほんとに?」
ないこの表情が一気に変わる。
安心と、不安が混ざった顔だ
「上がって」
そう言うと、
リビングを抜けて、寝室の扉の前で立ち止まる
「……まだ寝てる」
「…そっか」
桃ちゃんは小さく息を吐いて、少しだけ声のトーンを落とした。
「……何があったの」
その一言に、空気が変わる。
僕は、ゆっくり口を開いた。
「……スタッフの人から」
「セクハラを受けてたみたい」
桃ちゃんの目が、一瞬で鋭くなる。
「……は?」
「最初は軽い感じだったらしいけど、どんどんエスカレートしてたらしいよ」
「……っ」
「それだけじゃない」
「…家も知られてる」
「は……?」
もはや、は?としか言えないぐらい
低い声が漏れる
「ふざけんなよ……」
桃ちゃんの声が、はっきり怒りを帯びた。
「……それで、青は……」
「……逃げた」
「限界だったんだと思う」
少しの沈黙
重たい空気が流れる。
「……なんで言わなかったの」
「…言えなかったんだと思う」
「怖かったって」
「一人で抱え込んでた」
「…スタッフは俺に任せて、対処しとく」
「うん、」
その言葉に、僕も小さく頷く
そのとき
「……みず……?」
後ろから、か細い声。
振り返ると、寝室のドアが少しだけ開いていて
そこから顔を出していた。
「……青」
桃ちゃんがすぐに駆け寄る。
でも、青くんは一瞬びくっとして後ずさる。
「……っ」
その反応に、立ち止まっていた
「……ごめん、急に近づいてびっくりしたよね」
「怖くないから」
青くんは、ゆっくりと顔を上げて
「……桃…」
名前を呼んだ瞬間、
桃ちゃんの表情が一気に崩れた。
「……ばか」
そう言いながら、そっと近づく。
今度は青くんも逃げなかった。
しばらくして、桃は「また来る」と言って帰っていった。
ドアが閉まる音がして、部屋に静けさが戻る。
「……青くん、大丈夫?」
そう声をかけると、青くんはこくりと頷いた。
「……ちょっと、ねむい……」
掠れた声。
緊張が解けたせいか、さっきよりずっと力が抜けている。
「そりゃそうだよね、ほとんど寝てないでしょ」
「……うん」
そのまま、ふらふらとソファに座る青くん。
ブランケットをかけてやると、小さく「ありがと」と呟いた。
「ベッド行く?」
「ここでいい……」
そう言いながら、クッションに顔を埋める。
「……みず、いる……?」
「いるよ」
即答すると、青くんは少しだけ安心したように目を細めた。
「……じゃあ……いい……」
「……すぅっ…」
すぐに、寝息が聞こえてきた。
「……早」
思わず小さく笑ってしまう。
ソファで丸くなって眠る青くん
ブランケットから少しだけ覗く指先が、まだ少し冷たい。
「……」
なんとなく、目が離せなかった。
無防備で、弱くて
でも、それが妙に胸に引っかかる。
(……なんだろ)
さっきから、変に意識してしまう
寝顔なんて、今まで何度も見てきたはずなのに
「……」
そっと近づいて、髪に触れる
びくっとしないか一瞬不安だったけど、
青くんはただ気持ちよさそうに小さく息をついただけだった。
「……ほんとに、よく頑張ったね」
小さく呟く
そのとき
「っ…ん……みず……」
寝言
しかも、名前
「……っ」
心臓が、ドクンと大きく鳴る。
「……なんで今…」
思わず顔を逸らす
変だ
こんなの、ただの寝言なのに。
なのに
(……なんで、こんなにドキッとするの)
胸の奥が、ざわざわする。
理解できない感情に、少しだけ戸惑う。
「……はぁ…っ」
軽く息を吐いて、もう一度青くんを見る
安心しきった顔で眠っている
さっきまであんなに怯えていたのに、
今は少しだけ穏やかで
それを見て、自然と口から言葉がこぼれた。
「もう、あんな思いさせない」
その言葉のあと、
無意識に青くんの手に触れていた。
さっきより、少しだけ温かくなっている気がする
「……大丈夫」
ただの“仲間”に向ける気持ちなのか、
それとも違うのか今の僕にはわからなかった
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