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「…も、抜けって」
有夏が呻いた。
呼吸はまだ荒い。
ベッドに横たわったまま、相手の体重を感じるのが心地良いのか、声が甘い。
そんな彼の整った顔を至近距離で見つめながら、幾ヶ瀬がいつものように髪を撫でる
「抜いてるよ」
「んぁ?」
訝し気な表情。
折り重なって互いの息遣いを感じながら、蜜のような時間を過ごす──これは明らかに事後の光景だ。
「ホントに?」
顔を赤らめ、尚も念を押す有夏。
成程。ふたりの身体はぴたりとくっ付いてはいるが、幾ヶ瀬のソレは有夏の腿にやわらかく触れている。
どうやら満足した様子で、挿入時の硬さは失われていた。
「なんかまだナカに入ってるみたい。感覚が……」
感触を確認するように目をとじる。
唇を舐めると、有夏は微笑した。
「どうしたの、有夏」
「や、何でも……」
微笑はニヤニヤに変わっている。
「有夏? 顔、赤いよ?」
「う……いや、だからさ……初めての時は……フフッ」
照れ笑いがこぼれる。
耳だけでなく、有夏は目元まで赤く染めていた。
「……初めてシタとき。あの時は3日くらい腹ん中火事で。ずっと何か入ってる感触が残ってて……」
「有夏……」
ニヤニヤが幾ヶ瀬にも移る。
「あの時は可愛かったな、有夏。感じるのに声出すの我慢して、目うるうるさせて。可愛かったぁ……」
「過去形かよ」
有夏が唇を尖らせた。目元はもちろん笑っている。
「違う違う。あの時も今も……いや、今の方がずっと可愛いよ」
「バッカだな、幾ヶ瀬……んっ」
笑い声は不意に途切れる。
代わりに舌と舌が絡まる音。
「有夏、このままじゃ駄目だね。起きて」
「ん……」
手をとって有夏の身体を起こさせると、背中越しに腕をつかんで、両手の平をシーツにぺたりと付けさせる。
自然と前かがみになった上体の、今度は腰を抱えて引き上げる。
「幾ヶ瀬、ヤだっ!」
よつんばいにさせられて有夏の腕が小刻みに震えた。
「どうしたの? この恰好、恥ずかしいの?」
ピクリ。
返事をするように大きく震え、有夏はそのまま突っ伏すようにベッドに崩れる。
「ヤだって言って……」
「後ろから見られて感じてるくせに」
「違いますぅ。感じてませんー」
「何なの、それ。有夏、内(ナカ)綺麗にしてあげるから、お尻突き出して」
無言で睨み付けてくる有夏の腰をつかんでもう一度引き上げる。
「中の、ちゃんと掻き出さないと。有夏、自分でしないでしょ。お腹が痛くなっちゃうよ?」
言いながら幾ヶ瀬が自身の指を有夏の中に挿し入れた。
先程まで太いものが散々出入りしていたことと、内部に幾ヶ瀬の精液が残っているせいで、指2本は苦も無く呑み込まれる。
「んんっ……ヤっ!」
ともすれば腰を引いてしまう有夏の身体を半ば押さえつけるようにして、内部で指を動かす。
「有夏、駄目だよ。締め付けないで」
開いている方の手で宥めるように尻を撫でると、有夏の股が痙攣した。
「締めてないっ! 幾ヶ瀬、そんなふうに触っちゃヤっ……」
「そんな風にってどんな?」
「おまえ……っ、いっか、げんに……」
何度も撒き散らした筈なのに、有夏の前はもう半勃ちだ。
「も、ヤっ……はぁぁ……んっ」
否応なく押し寄せる波に、シーツをつかんで必死に耐えている様子。
「……出したら終わりじゃなくてっ! ナカがずっとウネウネしてて……あぁん……だからっ、そ…んなふうに触ったら……」
「またイッちゃう?」
震える尻を後ろから眺める幾ヶ瀬。
声には喜悦の色が。クニャクニャと指の動きは止めることなく。
「もうヤだ。も、ムリ。幾ヶ瀬……抜けったら!」
ごめんごめんと笑いながら、ゆっくりと指を抜く。
精液が後孔から溢れ出て太ももを伝う感触に、有夏の膝が崩れた。
「うぅ……これヤだって、いつも言ってんのに」
幾ヶ瀬の汁で股をヌトヌトに濡らしながら、うつ伏せのまま肩で大きく息をする。
「ごめんって」
言いながら幾ヶ瀬が覗き込むと、有夏の双眸は虚ろに濡れていた。
「だってゴムしなくていいって言ったの、有夏だよ? いいから早く挿れろって」
ティッシュをとっていそいそと股を拭ってやる。
「幾ヶ瀬がギリになって言うからだろ。先につけとけよ」
「ごめんって……」
口調は戻ったが、有夏の目つきはまだトロンと虚空をさ迷っていた。
「でも……ナマ、気持ちいい。ナカで爆発するみたいで……」
こうやって事後に指で掻き出してもらうことだって、行為の一環としてしっかり感じているようで。