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定番の夢小説じゃない書き方の夢小説苦手だったんですけど主さんの夢小説のおかげで好きになれそうです!!続き待ってます!!!💖👊
最高!!続き待ってます!!
第3話「屋台とバカと、たまに真顔。」
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「おーい、○○! あれ手伝ってくれ!」
体育館横で声をかけてきたのは、文化祭準備中のクラスメイト。段ボールの山を抱えてよろけている。
「…あのさ、なんで私だけ声かけたの?」
とツッコミを入れながらも、結局段ボールを引き取って持つ。
「だって○○、力ありそうだし」
「女子に言うセリフじゃないよね、それ」
そんなやりとりをしていたら、視界の端に見慣れた背の高い影が映った。
二口堅治。例の、バレー部副主将。
例の、初対面で財布を差し出してくれた男。
口は悪いけど意外と面倒見がいい
彼は片手に釘袋を持って、こちらをチラッと見たあと、ふいっと視線をそらした。
…なんだあの「見なかったことにする」みたいな反応。
「おー、○○。重そうだな、それ貸せよ」
意外にも近寄ってきて、段ボールをひょいと奪っていく。
「いや、自分で運べるけど」
「…まぁ、別に助けたいわけじゃないけどな」
「誰もそんなこと聞いてないんだけど」
即座に返すと、二口は片方の口角を上げてニヤッとした。
なんだろう、あの「お前反応面白いな」って顔。…ちょっと腹立つ。
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準備は予想以上にドタバタで、あっという間に文化祭当日を迎えた。
私のクラスは「お化け屋敷」。
廊下を暗幕で囲って、懐中電灯の明かりだけで進む仕様。
…正直、全く怖くない。なぜなら私が幽霊役だから。自分でも分かる。私は迫力よりツッコミで生きてる。
「うわっ!…お前かよ」
お客第一号として入ってきたのは二口。
肩に後輩らしき男子をぶら下げながら。
「もっとちゃんと驚きなさいよ」
「いや、だって。…○○が幽霊って、なんか怖いより説教されそう」
「褒めてないよね、それ」
後輩の子は私の顔を見るなり、「かわいい…」と小声で呟いて二口に肘をつつかれていた。
…なんか複雑。
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昼休み。文化祭の花形といえば屋台。私は焼きそばを持って中庭のベンチに腰掛けた。
すると当然のように隣に座ってくる二口。
「なんで座るの」
「空いてたから」
「…友達か」
「まぁ、そういうこと」
あっさり肯定されて、ちょっと返す言葉に詰まる。なんか、こういうとこズルいんだよな、この人。
「なぁ、それ一口ちょうだい」
「やだ」
「ケチだなぁ」
「じゃあ代わりにそっちのたこ焼き一個くれたら」
交換成立。…なんでこんな普通に隣でご飯食べてんだろ。最初の印象、もっと冷たかったのに。
⸻
午後、部活対抗のバレーエキシビションマッチが体育館で行われるというので見に行く。
二口がコートに立つと、やっぱり目立つ。背も高いし、動きもキレがあるし、何より笑ってる顔が…くそ、かっこいい。
観客席から女子たちの黄色い声援が飛び交うのを聞きながら、なぜか落ち着かない自分がいた。
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試合後。
「おつかれ」
声をかけると、タオルで汗を拭きながら二口が振り向く。
「おー。来てたのか」
「別にあんたの応援に来たわけじゃないけど」
「ふーん」
軽く笑われたその瞬間、なんとなく胸がざわついた。
この距離感、なんだろう。友達、だけど…なんかそれ以上になりそうで、でもまだなりたくないような。
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帰り際、昇降口で立ち止まった私に、二口がふいに言った。
「明日、後夜祭も来るよな?」
「…まぁ、クラスで出し物あるし」
「じゃ、そこでまた会おうぜ」
軽い一言なのに、なんでこんなに心臓に響くんだろう。
あーもう。これだから距離感バグるんだってば。
【つづく】