指は更にもう1本。
「あっ、あぁ……んんっ」
指3本が微妙に違う動きをするのに、いちいち彼は反応した。
「気持ちいい? 有夏、俺もう挿れたい。いい?」
「だめっ、ゆび……抜いちゃヤだぁ」
「有夏?」
首筋を赤く染めて、突き出した尻を自ら揺すって。
「もっとぉ……ナカ、動い……きもちい……」
「もっと? もっと動くの?」
「ん……もっと、いっぱい……」
幾ヶ瀬の呼吸が荒くなる。
恋人の痴態を見せつけられ、彼のモノも大きく張った。
容赦ないという動きで指を激しく動かして、幾ヶ瀬の目は熱を帯びて歪んだ。
もう片方の手で眼鏡を外し、有夏の尻に顔を寄せる。
「いっ……!」
有夏が悲鳴をあげたのは、生暖かく濡れたモノが尾てい骨の位置をなぞったからだ。
「ありかぁ……そんなにそこ気持ちいいなら、オモチャ買ってあげるよ?」
「おもちゃ……?」
こちらを振り向くことはないが、有夏の肩が一瞬震えたことを幾ヶ瀬は見逃さなかった。
玩具がゲーム機やカードゲームを指していないということは察しただろう。
「俺さ、見る気なかったんだよ? 本当は寸胴鍋探してたんだもん。本格的な出汁をとろうと思って。なのにアマゾンって怖いね。気が付いたら、そういうのばっかチェックしてた」
「……そういうのって」
「だから、さ」
3本の指の動きが一気に加速する。
「はぁんっ……ああっ、いくせっ……」
「俺の指よりずっと動いて、有夏のココ……気持ち良くしてくれるよ? どうする?」
「ど……するって、なに」
「買っとく?」
「やっ……だ」
有夏は激しく首を振った。
「いくせの……ゆび、とか……だけで、いいっ」
「とかって?」
「あぁ?」
「指とかって何? 指となに挿れてほしいの?」
「いくせっ?」
この状況で、結構必死な大声だったろう。咎めるように有夏が叫んだ。
何か卑猥なことを言わそうとしている、この男は──そんな危機感と、羞恥にナカはキュンと感じて締まって。
「指と、何? ね、有夏……言ってよ」
「……ヤだ!」
しばらくの無言。ベッドの軋みと粘膜の擦れる音、それから激しい呼吸音だけが聞こえる。
「じゃあ俺が当ててあげる」
「んっ?」
不意に幾ヶ瀬が指を抜いた。
「なんで……?」
物足りないというように孔がヒクヒク震えているのを見下ろし、幾ヶ瀬はそこに舌を這わせた。
熱の塊のようなそれがゆっくりと挿し込まれ、唾液がしとどに流れ落ちる。
「ああぁ……っっ」
喘ぐ声は途切れ、震えて。
たまらず溢れ出る精液がシーツにじわりと染みをつくる。
「いくせぇぇ……、おもちゃ、とか……ヤだぁ。いくせのじゃなきゃ……ぜったい……」
舌が抜かれ、幾ヶ瀬が何か言った。
今度こそ幾ヶ瀬の性器が圧し挿ってくる。
先程は途中で阻まれたそれだが、今度はずるりと奥へ引きずり込まれる。
「ありかぁ、指と舌と……それからコレ、でしょ?」
「ん……うんっ……」
小刻みに奥を突き、それからゆっくり引き戻す。
「有夏のココ……俺以外、挿ったこと……ないもん、ね」
「うるさっ……んなことぉ……」
ともすれば崩れ落ちる膝を、腰を持って支えてやる格好で幾ヶ瀬は身体を前後に揺らした。
入口あたりを激しく擦り、それからまたゆっくりと奥へ向かう。
「俺の、は……今で何回挿ったかな」
「あぁん……しらな……」
「ほんと、今まで何回シタか数えときゃよかっ……。タイムマシンがあったら、高校ん時に戻ってちゃんと数えとくように言って……」
「すごい発明を……んなコトに? バカがっ」
「うん……」
内部をかき回すように腰を大きく回しながら、有夏の奥へ。
何度も腰を揺すって、根元まで深々と突き立てる。
有夏の名を呼ぶ声が掠れた。
「あっ……」
滾るモノが内部でじわりと広がる感覚に、有夏は目を閉じる。
頭の奥が痺れ、結合部が溶けるように熱を帯びた。
折り重なるようにしてベッドに倒れ込み、しばらくの間は呼吸音だけが互いの耳朶をくすぐりあう。
「ありか……」
有夏からずるりと抜けてから、幾ヶ瀬は彼を抱きしめた。
「本当にタイムマシンがあったらいいのに。ちゃんと回数と体位と時間と、それから有夏の反応を記録して……」
「まだ言ってんのかよ。ホントにバカだろ、お前は」
「だってぇ。じゃあ、有夏はタイムマシンがあったらどうする?」
だってぇ、なんて言われて有夏し呆れたように顔を赤らめる。
「別にいらない」
何でと問われ、彼の視線は泳いだ。
「幾ヶ瀬がいたら……いい。ほかのは、いらない」
「ありか……?」
幾ヶ瀬の頬も見る間に紅潮する。
「ど、どうしたの。そんなこと……言って」
「ん……」
有夏を抱きしめる腕に力が込められた。
「ね、繁忙期すぎたら休みいっぱいとるね」
「お前、忙しい言いながら、けっこうちゃんと休んでんじゃねぇのか」
「んん、週休2日が崩れたら俺は速攻辞めるから。てか残業ばっかだから来月になったら交代で休ませてくれるって店長言ってたし」
「ふぅん……」
たしか辞めるって喚いてたよなと言いかけて、有夏は口を噤んだ。
「まぁいいよ、勝手にいっぱい休め。てか有夏も寝る」
「えっ、晩御飯食べたの? まだでしょ。俺は適当な時間に、まかない食べたからいいけど」
軽くため息をついて、有夏は目を閉じる。
「今日ばかりはもう動けない。寝る」
幾ヶ瀬が一瞬、虚をつかれたように口ごもり、それから笑った。
有夏の口元も柔らかな笑みを形作る。
信じられないけど、もう2時だ。
どちらともなく時計を見てから2人は目を閉じた。
「『閲覧履歴に基づくおすすめ商品』は人物の内面を完全に晒す」完
「こうして秘密が暴かれる」につづく
※読んでくださってありがとうございました。次のお話は、例によって週末からスタートします※
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