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それではどうぞ
⚒️…日帝
俺は肩に寄りかかっている男の頭を撫でる。
俺はもう一度男の名前を呼ぶ。
⚒️日帝
彼は何も答えない。
ただ、か細い呼吸音が聞こえるから息はしている。
⚒️…なんでこうなったんだろうな
俺は軽く小さく溜息を吐く。
今からかれこれ30分近く前だろうか?
俺はいつも気に入っている場所がある。
そこは日当たりの良い、なのに人影一つも無い場所。
俺はそこを好んで隙があればそこにいた。
今日も仕事で煮詰まった頭を休ませようと、昼間にそこに向かった。
ー…が、そこには珍しく先客がいた。
俺は軽くヒュッと息が詰まる。
そこには日帝がいた。
俺が日帝に会うなんてここ暫くなかったものだからか、僅かに動揺をしていた。
☀︎…ソ連か?
暫く立ち尽くしていると、視線を感じたのかゆっくりと日帝がこちらに顔を向ける。
その時点でよく分かったのだが、日帝の目の下には隈があった。
睡眠を余り取れていないのが伺える。
それとは裏腹に、日帝は微かに微笑み此方に来るように手招きをした。
☀︎理由は余り分からないがこの場所が好きでな…。久しぶりに来たんだ
⚒️成程な。俺もここがお気に入りなんだ
俺は促されるまま日帝の横に座る。
日帝は俺の方に顔を向けず、ただ下を向いたままそう言った。
☀︎そうか…なぁ…すまないが肩を借りても良いだろうか?
⚒️ん?ああ別に良いが…
俺がそう言うと、有難うと小さく呟き日帝が肩に寄りかかる。
☀︎幾日かまともに寝れていなくてな…暫くこうさせてくれ…
そう言ったかと思うと、小さく寝息が聞こえて来た。
⚒️…
やっぱりまともに寝れていなかったんだな。俺の予想は当たっていた。
俺は持って来ていた愛読している本を開く。
その本の内容は、主人公の長年の恋が実るという。いわゆる恋愛物語だ。
…いや、そこは黙っていてくれ。分かっている。俺らしくないというのを。
確かに俺には合わないような内容の物語だ。
…だがこの本に出会った当初の俺は、この本の主人公と自分を重ねていた。
俺には好意を寄せている奴がいる。まあしぶとく長い片想いではあるが。
だがこの想いも、この主人公と同じように実ると信じて長い年月が経った。
しかしこの想いは俺の予想とは裏腹に、主人公と同じように実る事も、相手に伝わる事も無く、虚しく崩れてしまった。
いや、崩れてしまったというより、俺が叶わないだろうと俺自身が諦めてしまったからだ。
…でも、いつまでもウジウジしていてはらしくない。
伝わらなくても良い。気付いてくれなくても良い。
ただ、まだ俺がお前に寄せているこの感情は健在だというのを知っていてほしい。
俺は目線を横にずらす。
相変わらず肩に寄りかかり、起きる気配の無い男の顔が目に映る。
その顔はいつも見せる威厳のある顔では無く、どこか無垢な子供を思わせる愛おしい顔だ。
⚒️…俺はしぶとい男でな。それと共に初心なんだ
俺は日帝を抱き寄せる。
⚒️伝わらなくても良い。俺はお前が好きだ、日帝
それに対する日帝からの返事は無く、その代わり優しい風が吹き、優しく肌に感じた。
『終』