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暑い日差しに思わず目を瞑る。皮膚から汗が吹き出し、制服シャツにしっかりと染み込んだ。

6月とは思えないほど記録的猛暑となった今日。

学校から家へと帰るために1歩、また1歩と歩き、その度に汗をかいてオレはびしょ濡れだった。

そんなオレとは対照的に汗ひとつかかず、オレの1歩前を歩く彼女。彼女は後ろ姿だけでも惚れてしまうほど、綺麗な人だ。

ふと、彼女は歩く足を止めた。

「小鳥遊くん」

「は、はぃ!?」

あまり彼女から名前を呼ばれることなどないものだから声が上ずってしまう。

「ど、どうしたの?」

そう聞いた瞬間彼女は振り返った。

夏の匂いと共に彼女の匂いもふわりと漂ってきて顔が赤くなるのを感じる。

「運命って信じる?」

「え?なんで……急に?」

驚いてしまう。いつも冷たくて何を考えているかわからない彼女が“運命”って言い出すから。

「答えたくないならいいの」

「いやいやいや!!答えるよ!もちろん!」

彼女から話しかけてもらえたんだ。しっかり話を繋げなければいけないだろう。

「それで、運命は信じるの?」

彼女があまりにも真剣な顔をして聞くものだからオレはふっと笑った。


「信じるよ、運命」


君とこうやって歩けるのも運命のおかげなんだから。

彼女が微かに笑った気がした。

「なら、葵ちゃんは運命、信じる?」

「██████。」

彼女は何か答えた気がした。

「え?」

「█████████」


彼女の声が遠い。

ザザザ、と彼女の顔にノイズが走る。


「████████████」


彼女は何か言っているようだがオレには聞こえない。

それでも彼女の言葉を聞かないと、彼女と二度と会えなくなる気がした。


「葵ちゃん?」


薄れゆく彼女にオレは行かないで、と告るかのように彼女の名前を呼んだ。


ノイズから微かに見えた彼女の瞳は涙で濡れていた。


そこで全てオレは悟った。

これは“夢”である。



また、同じ夢を見た。

君が生きた世界におはようを

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