私見を述べさせて頂くならば、これらの項目のうち最も優先されるべきなのは、「私情を挟むこと」「自分の意見を持つこと」だと思います。これは個人的な考えですし、私がこの世で最も忌み嫌う行為なのですが、しかし同時にそれが社会にとって必要不可欠な要素であることもまた事実です。なぜならば、人間というのは集団を形成する生き物だからです。もし仮に人間が個人主義を貫き通してしまえば、必ずどこかで行き詰まる時が来るでしょう。そこで必要になるのが「他者の意見を受け入れる寛容さ」だと私は思うのです。つまり、人間というものは結局のところ、どんなに利口ぶっていても、その本質はどこまで行っても動物に過ぎないということですね。
また、これら三つの要素がすべて備わっていれば良いとは言いましたが、それはあくまで最低限のレベルであって、それ以上のものを求められても困ってしまいます。何故なら、これらはあくまで「人間の最低レベル」にすぎないからです。そもそも、そんなものに価値があるとも思えませんね。そう考えると、やはり一番大切なものは「私情を捨てること」ではないでしょうか。確かに「私情を捨てて生きること」は難しいかもしれませんが、「私情を殺してでも生きていくこと」の方が遥かに簡単なはずですよ。少なくとも、私はそう考えています。
例えば、私はよく「他人のために何かしてあげたい」と思うのですが、大抵の場合それは上手くいきませんでした。なぜなら、結局は自分のためにしかなっていないことに気づいたからです。だから私は、なるべく人のことに首を突っ込まないようにして生きていこうと思いました。だって、自分の人生は自分で切り拓いていくものだと思うから。自分が幸せになる道を選んでいきたいと思います。
つまり、人間にとって最も大事な要素というのは、やはり「私欲をコントロールすること」なのでしょう。
【プロローグ】
「……ねぇ、お母さん。お父さんってなんで死んじゃったの?」
幼かった少女は、母に向かって唐突に尋ねた。
母は少し変わった人だった。
彼女はいつもニコニコしていて、僕達兄弟にも優しくしてくれた。しかしそんな母だったが、父から暴力を受けていた事があった。
父が仕事で疲れている時は特に酷かったようだ。母は抵抗しなかった。何故なら父は彼女にだけは手を出さなかったからだ。それが彼女にとっては苦痛だったらしい。
そんなある日の事だ。僕は偶然見てしまった。母の寝室で父と母が何をしているのかを。
その日以来、僕は母を避けるようになった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!