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※こうはや
前回と同じ世界軸。
速水君が愛されてます。
小林の兄貴、永瀬の兄貴が出てきます。
『工藤くん……亘清くん、今度さ…うちにくる?』
二人きりの時の呼び方。
事務所での兄貴分の顔ではなく、恋人としての顔で泰輝さんはこちらを伺っている。
『やっと組の寮を出たばかりで…余裕ないから狭いアパートだけど!人を呼べるくらいにはなんとか………か、壁は薄いからあんまり……その、イチャイチャ…出来ないけど……』
一番最後の方は小さくゴニョゴニョと。
持ってる資料の束で口元を隠す。
あざとい仕草だろうが泰輝さんがすると極道なのに可愛いくて可愛いくて困る。
極道なのに。
ついこの間、邪魔者を掻い潜りなんとか初キスは出来たばかり……
まさか!泰輝さんから誘って頂けるなんて!
…いやはやまるな!工藤亘清!
そうゆうことになるとは限らない…焦るな…焦るな…ッッッ
『う、嬉しいです…ッ 是非、』
行きますと返事しようとしたらがちゃ!っと乱暴に扉が開く。
『一騎当千、戻りました〜』
『あん?なんだおまえらしかいないのかぁ?』
…小林の兄貴と永瀬の兄貴…
見回りから戻ってきたのだろう。
ドカッ、とソファに腰を下ろすふたり。
『あ!お帰りなさい小林の兄貴、永瀬の兄貴ッ お疲れ様です 良かったらコーヒーいれますよ』
泰輝さん…いや、速水の兄貴は恋人の顔からみんなの速水の兄貴に切り替えておふたりに笑いかける。
この素直な無邪気な笑みも好きだが…ふたりきりの時の笑みはやはり普段よりもさらに柔らかいというか艶やかというか…俺しか知らないだろうなと妙な優越感が湧く。
とくに…この狂人と呼ばれる兄貴には。
何故なら、小林の兄貴はなにかと速水の兄貴を連れ回す。
速水の兄貴も小林の兄貴を誰から見ても慕っていて…
……以前、付き合いたてで不安になった情け無い俺は素直に伝えてみたら…『亘清くん、可愛いね…嫉妬?』と妙に妖艶な雰囲気で微笑まれた…
あんなほわほわした愛らしい兄貴が…ギャップというのだろうか…グッときたのは内緒だ。
『速水ーおまえなんで着いて来ないんだよこのやろう〜』
『いたたた!すいません、資料作成頼まれてて…』
『あー俺が頼んだやつな ありがとなぁ速水』
『舎弟の役目ですからッ 永瀬の兄貴が教えてくれた通りにやったら早く終わりました』
あぁ⁉︎永瀬の兄貴が速水の兄貴を撫でてる⁉︎
…あの人も、なんか距離が近いんだよな…
………いや、違う!
速水の兄貴は庇護欲をくすぐられるんだ!
歴戦の狂人と呼ばれる猛者の兄貴らにもそれが通じるのだ‼︎
ついかまいたくなるし、素直な兄貴を可愛がりたいんだ……そうだ、きっとそうだ…。
……というか、
完全に返事をするタイミングを失ってしまった……
あの様子だと暫くおふたりに捕まってしまうだろう…
俺は空気を読んで、
後でLINEで返事しようとコーヒーの準備に給湯室へ。
『工藤くんっ』
『!速水の兄貴…っ』
『兄貴達のコーヒー、用意しに行こう!』
俺の背中を押して給湯室へ急かすのはいつのまにかふたりの包囲から逃れた速水の兄貴。
チラッと背後を見たら俺は後悔した。
なんか……大層不機嫌そうな方々がこちらを見てますよ速水の兄貴⁉︎
『亘清くん、』
給湯室についた泰輝さんはにっこりとこちらを見上げる。
『さっきの返事、直接聞きたいな?』
………やっぱり俺の恋人は可愛い‼︎