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※こうはや
亘清くん片想い期のお話。
頑張れ亘清くん!
亘清→泰輝
俺の名前は、工藤亘清。
天羽組の新人構成員だ。
先日、未熟で何者でも無い俺はこの天羽組で黒歴史を更新したばかりだが…
…………恋に落ちてしまった。
誰に?
それは……
『工藤くん、お疲れ様っ』
『速水の兄貴!』
今時、東京ではピンクの髪色なんて珍しくもない。
しかし似合う人というのは限られた色だろう。
速水の兄貴の髪色は桃の花…いや、桜色の綺麗な髪色で優しい雰囲気のこの人に良く似合っていた。
服装も含めて、極道とは思えないくらい可愛らしいこの人はこう見えて俺の兄貴分であり…
…俺が今片想いしてる人だ。
『そっちの掃除が終わったら次は庭の掃除のやり方を教えてあげるね』
『はい!よろしくお願いします!』
『あははッ 気合い入ってるね〜』
ころころと変わる表情。
ついここが極道の世界と忘れてしまいそうだ…なんだか、甘酸っぱい学生生活を送っているような…
狂人が多い天羽組の中でも速水の兄貴はかなり優しい部類の人だろう。
生まれ持った性格なのだろうか………癒し…というか……
だから俺のような舎弟達は優しい速水の兄貴に懐きやすい。
後輩受けが良いんだよなこの人…
だが、見ていてわかったが組内の兄貴達もなんだかんだ速水の兄貴を可愛がってるように感じる。
入門したばかりの俺がそう思うくらいだ。
小峠の兄貴はもちろん…
……あの狂人、小林の兄貴もしょっちゅう速水の兄貴を連れて行ってしまう。
あんな怖い人達を相手にしてるが、
速水の兄貴はまるで子犬のように一生懸命走り回って…
………俺の恋のフィルターが厚すぎるだって?
それ、速水の兄貴を目の前にしてから言ってくれ。
妄想ではなく現実で耳や尻尾がみえてくるからな⁉︎
…ごほん。
こうして、目で姿を追っていくうちに好きになってしまったんだ。
『……速水の兄貴…俺のせいであの時は…っ
傷、本当に大丈夫ですか?』
『だから言ってるじゃん、サラシ巻いてたから平気だって!』
こんな華奢な身体で俺を守ってくれて…
今でも自分の不甲斐無さが情けなくて泣きそうになる。
『もー、工藤くんは優しいね
こんなの日々の兄貴達のしごきに比べたら…』
速水の兄貴はこちらを真っ直ぐに見つめる。
『でも次は敵の攻撃を当たらないように守ってあげるね!』
『ま、守ってばかりは…っ』
『工藤くんは俺の大事な舎弟だもんッ』
『っ、』
舎弟、か。
そうだ、この人にとって俺はただの舎弟…
まだ、天羽組の何者でもなくて…
この人にとっても……
まだ、何者でもない。
end