テラーノベル
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第59話
ロルフが警戒して周りを見ていると、変な魔力反応があった。
「ロルフ。大きめの変な魔力があっちにある。倒すか?」
「うん」
一つ返信でロルフは走って行った。
ロルフって、肉体年齢は十四だろ。こっちは三十だぞ……
そう心の中で口を尖らせながら追いかけると大蛇が潜んでいた。
「フリオ。これって、普通の大きさなの?」
「色々と規格外だな。とりあえず、倒さないとこれが町中に降りてきたらとんでもない」
ロルフは頷いて大蛇に向かって走った。
すばしっこいロルフは、大蛇の大振りな攻撃は掠る事なんて無い。
俺はその後ろで魔法陣を描いて、引きつけてる間に槍で応戦する。それが、二人で戦うやり口だ。
無口だと思われがちな、こいつは確かに、口数も表情も薄い。だけど、心の中に秘めている気持ちと想像力は人一倍あるし、心と剣の強さは誰にも負けない。
俺は仕留めるために魔法陣を強力にした。
「フリオ!」
背後を、クソっ……
俺が槍で守ろうとする前にロルフが俺の前に出て自ら盾になって守ってくれた。
ロルフは少し飛ばされて顔をしかめただけで直ぐに体勢を直した。
「大丈夫か?」
そう聞くといつものように頷いて、大蛇の目の前で剣を振るい始めた。
それからはあっさりとロルフに大蛇も首を切られて、規格外の大きさの頭がコロコロと転がってきた。
「ロルフ。これは、大きさから、魔力も、全てが規格外だ。すまない。休日をこんな風につかって……本当に、大丈夫か?」
「大丈夫だよ。でも、良かった。こいつが町中に降りる前にこうやって片付けられて」
「やせ我慢はするなよ」
「最近やたらと皆、過保護だよね」
「そこまでしないと、ロルフは戻るに戻れない所まで行ってしまうんだ」
ロルフは首を傾げながら「そんな事はないと思うんだけどな……」と呟いている。
いや、自覚しろ。
「とりあえず、戻るぞ」
ロルフは頷いて俺の横を歩いた。
✡
あれから、一週間後。
「ロルフ。怖くないのか?」
突然、騎士団長にそう尋ねられた。
「え?」
「いや、よく考えると、あれからここら辺はガラリと変わったよなって」
「まぁ、この前まであった場所も、この前まで話していた人も、いないから……確かに、不思議です。でも、また違う景色が見えたと考えたら怖くはありません」
「そうか。また、強くなったな」
「いえ、強くなったんじゃなくて、支えが沢山できたんです」
妖精たちに、皆が側にいてくれる。アニカもいて、ソフィーもいる。騎士団長だって、仲間にも僕と仲良くしてくれる人がいる。
「……ロルフ宛に斥候任務が入った。それも、少し危険が伴う」
僕はその手紙を受け取ってから準備を始めた。
僕はアニカと一緒に外国の王城に行くことになった。否、斥候任務にアニカを連れて行くという事。
アニカと、相手には、お見合いという話が言っている。
……アニカは何か僕の緊張感を読み取っているみたいだけど……うん。大丈夫。
出発の日。
「姫様。僕が光の力が使えるという事は秘密にしてください。それと、姫様と同い年という事にしといてください」
「それは、いいけど……何を隠しているの?」
「……そこは、帰ってきてからですね」
この国の第三王子、二回目だし、相性激悪だったし……こんな事するのは、大胆過ぎるだろ。
第三王子は、今二十六歳。僕より四つ下。
……馬鹿にされるだろうけど、歳は偽る予定だ。
大丈夫。光の子の力は余程、力が強くないと見えない。しかも、僕の力の大半は、妖精だし。
「昔、あった事があると言われても、全く覚えてないんだけど……知ってる?」
「こっちに第三王子は来ましたが、良いようには見えませんでしたね」
上かよっ……面倒な事押し付けて……
「とりあえず、いきましょう」
僕は黒い馬に跨った。アニカは隣で白馬に乗っている。
何個かの街に寄って何泊かした。ある程度、治安のいい街を選んだつもりだけど、夜は酔っぱらいが騒いでてうるさい。僕は、食欲が無くて、一日パン一枚くらいしか食べられない。
三日目のお昼頃、隣国――ナッサウにの王都に着いた。予定は今日の夕方頃だったけど、想定より、早く着いた。
僕は悟られないように、王族がいる所を探った。
……王城にいるか。
僕の任務は、こっちの婚姻関係を調べるのと、王族の跡継ぎはいるかっていう、面倒で、光の子という所を使われてしまった斥候だ。
僕だってそこは、恵まれてないもん。まぁ、妖精に手伝って貰おうかな……
「ロルフ。外国って、覚えてる中ではかなり久しぶりなんだけど、実際はどうなの?」
「確かに、僕と会う前に行ったのが最後ですね。王城へ行きましょう。護衛は十人ですし、姫様もお疲れでしょうから、最短ルートでいきますね」
「うん。分かった」
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コメント
1件
うわああ第60話読み終えたよ〜!!😭💕 ロルフが「支えが沢山できた」って言うシーン、めちゃくちゃグッときた…!最初は孤独だったのに、妖精や仲間たちに囲まれて確実に変わってきてるのが分かるのがエモすぎる。フリオが過保護になる気持ちも分かるよ、だってロルフ自分を犠牲にしがちだもんね…! そしてアニカとのお見合い任務!?年の差偽装とか、相性激悪な第三王子再登場フラグとか、続きが気になりすぎる!!次の話も楽しみにしてるね、こはるさん!⋆♡