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第60話
王城に入って、色々と挨拶を交わした。
アニカは第三王子とこれから、晩餐会と共にお見合いする事になっている。
アニカと同じ、金色の髪に青色の瞳だ。僕も同じだけど。
……あの王子、僕は気に入らないかな。でも、ホルム王が亡くなったこの状況下に置かれているからどうなるかは読めない。
晩餐会では、ホルムから来た僕たちと、あの例の王子とその兄妹五人。その他、他国の王子、王女とか、色々。
僕は、静かに隅っこでどうもできずにぼんやりといた。
……本当は、妖精と条件交換をいい感じに終えた所だ。
「おや、大事な姫様の護衛を、坊やがやってるのかい?」
そう言ったのは、第三王子の護衛だと思われる人だ。栗色の髪にそれより薄い茶色い瞳のガタイの良い人。
「はい」
「へぇ……君、何歳?」
「十四です」
……うるさい。黙れよ。
「姫様との婚姻が上手くいったらどう思う?」
「姫様の幸せを願うだけです。騎士と姫。それ以上でも、それ以下でもありません」
「おやおや、硬いね。でも、気になってるんだろ? お年頃の男の子なんてね」
「騎士になったからには浮かれてはいけない立場。そんな事を考えるような、暇はありません」
不敬過ぎて、切り裂きたいけど、ちょっと我慢。
斥候中だし。
妖精たちは僕の合図と共に話を盗み聞きしに行った。
よし、これで上手くいく……と思いたい。
「お二人がお見合いをするのは、二回目なのはご存じですか? 一度目は、王子も十も数えていなかった頃でしょう」
知っとるわ。黙れ。
「その時は、相性が上手くいかずに……そこの姫様は他の王子とも、人付き合いが悪いとの話を聴きましたぞ」
言い方! もう、本当はしたない。
「これから、王子の奥方になるかもしれない方に対してもう少し、言葉選びを……」
「子供ごときが、うるせえ。お前みたいなやつはな、恥を知るだけだ」
騎士は、そう言ったのと同時に、僕の胸ぐらを掴んだ。
避けれたけど、ここは面と向かって受けた方がいい。大胆な動きをしたら、誤解を招きかねない。
それを見たここの貴族や、王族はそんな姿を見てガヤガヤしていた。
「恥知らずは貴方なのでは無いのでしょうか?」
僕がそう言うとその騎士は僕を離した。
それと同時に手袋を投げた。
面倒事は無理だって……しかも、他国の騎士と決闘? ふざけるなよ……
僕は手袋を拾って汚れを落としてから「やるべき事があるのに、ここで倒れるのは模範たる行動とはかけ離れているはずです。そうでは無いですか?」と言って手袋を丁寧に返した。
よし、面倒事から離れられた。
その騎士は小言を呟きながら退室した。
「……ロルフ。大丈夫?」
アニカが耳打ちしてきた。
「はい」
「無理はしないでね」
そう言ってからアニカは人の輪に入っていった。
……何だか、ぼーっとするし、食欲も無い。というか、ずっと吐き気がして、何も食べたくない。
僕は何も口に出来ずに晩餐会場の隅で立っていた。
その日の夜。
部屋には、大きなベッドが一つ。僕は椅子に座って見張りをするので、ベッドは用意してもらわなかった。道中その事を話したらアニカに猛反対されたけど、もう引き下がれないから駄目だし、外国だから、気を引き締めないといけないって言った。
妖精と、マルコさんや、ロザンナに、シルビオさんまで手伝ってくれる事になった。一応、危険かもという事は伝えてあるが、きっと皆なら大丈夫だろう。
その皆と話す時間を取るためにも、ベッドは用意しなかった。
アニカは気まずそうだったけど、それどころじゃ無い僕の雰囲気を見て疲れ切ってた体をベッドに預けている。
次の日の朝。
昨日は色々と情報が手に入ったから、少し、椅子の上で寝れた。
徹夜も慣れてるから大丈夫だったけど、何があるか分からないから、休める内に休まないといけない。
……と言っても、ここにきてから、水を一口しか飲み食いしていない。
「ロルフ。顔色が悪いけど……」
「少し、緊張してるだけです。ホルム以外の城に入るのは初めてで……」
「お願いだから、無理はしないで。貴方にまで、置いていかれたら、誰を頼りにすればいいのか……」
「大丈夫です。僕が倒れたら姫様をお守りできませんから」
その日の昼も、色々な情報が手に入って、何となく見えた。
まとめたけど、第一王子と第二王子は結婚はされているが、子供はまだと言った所だ。
第四王子は、隣国へ行き、第五王子と第六王子は独り身だ。全員の姿は確認できたと言っていた。
コメント
1件
こはるさん、第61話読了です! ロルフ、ようやく妖精たちと条件交換を終えたところから始まるんですね。王城での緊張感がひしひしと伝わってきました。特にあの第三王子の護衛とのやりとり…「子供ごときがうるせえ」って胸ぐら掴まれる場面、ヒヤッとしました。でもロルフが冷静に対応して手袋を丁寧に返すところ、彼の賢さと自制心がよく出ていて好きです。ただ、「ぼーっとする」「食欲もない」「吐き気がする」という体調の変化がすごく気になります…何か大きな仕掛けの前触れなんでしょうか。続きが待ち遠しいです!