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期末テスト前。
放課後の図書室は、いつもより静かだった。
「……眠い」
葛葉は机に突っ伏す。
『まだ30分も経ってない』
「無理。数学が敵」
『自業自得だろ』
ローレンは隣でノートを開いたまま、ペンを動かしている。
「ローレン、頭良すぎ」
『普通』
「その“普通”がムカつく」
『ちゃんと勉強しろ』
「なぁ」
『何』
「教えて」
『さっき説明した』
「もう一回」
ローレンは小さくため息をつく。
『ここ』
『この公式使う』
「……意味わからん」
『……近く来い』
ローレンは椅子をずらして、葛葉の横に座る。
距離が一気に近くなる。
「……近」
『うるさい』
『集中しろ』
ノートを指差しながら説明するローレン。
『ここに代入して』
『で、こうなる』
「……」
『聞いてる?』
「声低くて眠くなる」
『ふざけるな』
「だって落ち着くんだもん」
『図書室で言うな』
葛葉は机に頬杖をつく。
「ローレンさ」
『ん』
「俺のために付き合ってくれてんの?」
『当たり前だろ』
「優し」
『落第されたら困る』
「理由ひど」
『でも』
ローレンは少し間を置く。
『一緒にいる方が』
『俺も集中できる』
「……それ、ずるい」
『何が』
「可愛い」
『言うな』
ローレンは顔を逸らす。
『早く解け』
「なぁ」
『また何』
「終わったらさ」
『終わったら?』
「コンビニ寄ろ」
『……勉強したご褒美?』
「そう」
『アイス買え』
「奢れって?」
『当然』
「はいはい」
ローレンはまたノートに視線を戻す。
『次の問題いくぞ』
「先生」
『先生じゃない』
「ローレン先生」
『黙れ』
小声で笑い合いながら、ページをめくる。
静かな図書室で、二人の距離だけが近かった。