戦場に戻った神風と白川の魂を宿したその姿を目の前にし、紫狼は悠然とした態度で向き合った。しかし、何かが異常だった。戦うべきはずの紫狼が、なぜか神風に金を差し出してきたのだ。
「おい、これを持っていけ」紫狼が差し出したのは五千円札だった。
「…何の冗談だ?」神風は眉をひそめ、怪訝な顔でその札を見つめる。
「冗談じゃねぇさ。今日のことはなかったことにしようじゃねぇか。俺も長くは生きたくないんだ」紫狼は冷笑を浮かべ、皮肉っぽく語りかけた。
「五千円で俺たちを買収する気か?」神風の声には明らかな怒りがこもっていた。自分たちを馬鹿にしているのか、それとも何か狙いがあるのか、神風には理解できなかった。
「いや、買収とかじゃねぇよ。ただ、お前もここで無駄な力を使いたくねぇだろ? あんたが望むのは戦いじゃねぇ。むしろ、その先にあるだろ? だったら、俺を倒す必要はねぇんだ」紫狼は淡々と語りながら、五千円札をひらひらと振って見せた。
「そんな小細工に乗ると思うか? 白川、こいつの狙いは何だ?」神風は内なる白川に問いかけた。
白川の声が神風の中で響いた。「これは挑発だ。お前を油断させるための策だが、同時に彼は何かから逃れたいと思っているようだ。深追いはするな、しかし五千円に込められた意味を見極めろ」
「…そうか。つまり、これはただの冗談じゃないってことか」神風は少し冷静になり、紫狼の様子を注視した。
「まぁ、お前が信じないのはわかってる。けどさ、俺ももう疲れたんだ。戦い続けることに何の意味がある? 五千円なんて大した額じゃねぇ。でも、これが俺にとっての最後の賭けなんだよ」紫狼は不意に力を抜き、その目から生気が失われていく。
「……」神風はしばらく考え込み、手に取ることのない五千円をじっと見つめた。
「五千円で俺たちを黙らせようって根性が気に入らない。それに、俺にはまだ戦う理由がある」神風は五千円を無視し、紫狼に向かって拳を握り締めた。
「そうか…やっぱりそう来るか…」紫狼は力なく笑ったが、次の瞬間、その姿は爆発的なエネルギーを発した。
「これで終わりだな、神風…」紫狼の攻撃が迫る。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!