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稲荷神社の麓につき竹島はやる気満々の表情で頂上を見上げていた。
「さあ登るぞ」竹島がそう言うと俺もそれについて行った。竹島は余裕そうに頂上まで登る。これが運動部と帰宅部の違いかと実感する。
頂上に着き、はあはあと呼吸をしている俺と違い竹島は目の前を驚いた表情で見ていた。
「おい…坂口…社見ろよ」
俺は疲れながらも社に目を向けるとそこにはあの少女の姿があった。桜の柄の着物に赤色の帯。そして彼女は後ろを向き俺等の方を見て微笑むと白狐の姿になりその後まもなく姿を消した。
「やっぱ嘘じゃなかったんだな…」
俺は疲れすぎてすぐには返答できなかった。しかし、「ああ」といったのは覚えている。
それから俺達は別れそれぞれの帰路についた。俺は家に帰りベットに潜った。いい夢見られますように。俺はそう願いながら眠りについた。
「んあ…?」
俺は夜中に目を覚ました。そのせいはきっと遠くから聞こえる喧嘩の声だろう。
俺はトイレに行きたくて自分の部屋を出た。その時、リビングで言い争っている声が聞こえた。
「あなた…またやらかしたの…?これで位がいくつ減ってると思ってるの!」
「いや〜違うんだよ。俺じゃなくて部下が悪い。あいつらが無茶するから俺のせいになるんだよ」
「そんな呑気なこと言わないで!洸平(こうへい)はこれから大学に行ってもっと費用がかかるの!あんた、息子の将来のこと考えてるの?まだ3歳の娘もいるのよ?」
「分かってる分かってる。でも〜ママの稼ぎで足りるんじゃないか?准教授ってすごいだろ?」
「私が突然辞めたら?借金になるじゃない!」
「はいはい。頑張るよ」
まだまだ続くこの言い争いは終りが見えなかった。
「にいちゃん…」
俺のズボンのをか弱い力で引っ張っている妹の姿があった。
「平気平気。さあ寝るぞ」そういい俺は妹抱っこし布団に寝かせた。妹すぐに眠りについた。それから俺はトイレに行った。
翌日。俺はいつも通り学校へ向かった。校庭ではサッカー部、野球部などが練習をしていた。近日中にサッカー部では大会があるそう。だからなのかいつもより熱気がある。
下駄箱に靴を入れ薄汚れた上履きに履き替える。そして自分の教室へ足を運ぶ。教室はまだガラガラだった。俺は自分の席に行く。そこから見える稲荷神社の頂上を見つめ昨日、一昨日の事を思い出す。あれは本当にあったのか…。疑心暗鬼になってしまう。