車掌は前回と同じように一人一人の切符を確認し、名前を読み上げた。
人差し指でその記載を確認する姿も前回と同様だ。
最後に俺の切符を確認すると、車掌は俺の横をすり抜けて一両目へ続くドアに手をかけた。横を通り過ぎる車掌の姿を目で追ってしまって、その青白い肌と、空洞になった目のあたりに背筋が凍る。
この顔は何度見ても馴れない。だが、ふと、最初に目にした車掌とは何かが違っている気がした。そう言えば切符の確認方法も違う。同じ 格好(かっこう)に 騙(だま)されているだけで、もしかしたら車掌が変わっているのではないだろうか。
俺は通り過ぎる車掌の顔をじっと見た。口元がもごもごと動いている。
何かを呟いているのだろうか。
その動きを注視していると、やがて一つの単語に行きあたった。
「まだ消えない」
この車掌は延々と「まだ消えない」と呟いているのだ。
「まだ……********
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