TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

br「ねぇ!」


kn「………」


br「おーい!!」


kn「………」


br「えぇと、葵瀬良さん?だっけ?」


1時間目が終わり休み時間になると、後ろから執拗に声をかけられていた。


クラスメイトからの視線も痛い。


迷惑だからやめて欲しいとさえ思う。


俺に絡んだって、何も良い事なんてない。


できる限り関わらないようにしたかった。


でも、名前まで呼ばれてしまったら流石に無視できない。


kn「…なんですか?」


br「はぁ〜、ようやく話す気になってくれた!」


そう言うと笑って、綺麗な青色をこちらに向けてくる。


br「君の名前、聞いてもいい?」


kn「…俺の名前なんて、聞いても得しないですよ」


br「それは聞いてみないとわかんないじゃん?」


kn「だって、クラスメイトも覚えてないんですよ」


br「じゃあ僕が覚える!!」


それなりに押しが強そうな気がする。


でも、限度は知っているような。


柔らかい感じがする。


kn「葵瀬良都和(きせらとわ)。」


口に出すのを一瞬躊躇ってから、付け足す。


kn「きんときって呼ばれてます」


br「きんとき、きんときね!」


br「ねぇ、僕もきんときって呼んでいい?」


キラキラした、優しい瞳でこちらを見つめてくる。


久しぶりな気がした。


こんなに、好意的な目を向けられるのは。


kn「…いいですよ、別に。」


br「やった〜!!ね、あとタメで話そ!ね?」


kn「わかりま、…わかった。よろしくね、ぶるーく」


話し方がわからない。


笑えてるかもわからない。


きっと今の自分は驚く程に醜いんだろうな、なんて思いながら彼を見つめる。


br「んふふ、よろしくね、きんとき。」


それは、全てを見透かしたような、透明な青だった。






kn「ぁ”ッ…」


「っはぁ〜…朝から何もできなかった分発散できたわ」


「流石にやりすぎだろw」


「まだじゃね?生きてるし」


kn「い”ッッ…ぁ、はっ、」


「鬼〜w」


何も聞こえない。


何も感じない。


いや、強いて言えば横腹に感じる痛みくらいだろうか。


案の定、朝から何も無かった分、いつもより長くて重い。


全身が痛い。


昨日の傷と痣が、更に酷くなる。


毎日の日課の様なものだから、治る訳も無いが。


ぼんやりした意識を、保つので精一杯だった。


反抗もできなければ、声も出せない。


「転校生も、こんな奴の席の近くとか、可哀想だよな〜」


「それな〜?変わってあげたい」


そんな会話も、半分理解できていない。


今は目の前にある地獄が終わる事を待つしかない。


kn「ッ、ぅ”あ”」


「にしては、今日調子乗ってたよな〜。」


「転校生とめっちゃ話してたじゃん」


「話しかけてくれたからってあんな進んじゃってさ」


「意味わかんねぇ」


kn「っは、ぁ、…い”ッ」


腕も、足も、腹も、全部が痛い。


最早、痛みも曖昧だ。


どこまでの感覚が正しいのか、昨日から続く痛みなのか、今この瞬間からの痛みなのか。


脳は必死に殴られる事を否定しているのに、身体はどうもおかしい。


これを受け入れつつある身体は、この衝撃に慣れ始めている。


いつか死ぬのではないかと、本気で思う。


気づけば、目の前に落ちていた影が無くなっていた。


拳と足の固さも、暫く感じない。


「…今日はもういいわ。顔見ただけで無理だわ」


「あははwそこまで来たら終わりだろw」


笑いながらこの場を去っていく。


終わった。


全身から力が抜けていく。


久々に目を開けると、上にはまだ快晴の空が広がっていた。


せめて、雨が降っていて欲しかった。


自分の身体は、いつも通りと言っていい程に汚い。


土と、ほんの少しの血と。


また洗わないとだな、なんて思いながら、言う事を聞かない身体をなんとか動かす。


kn「ぁ、」


立ち上がると、軽くふらつき、壁に凭れる。


でも少し経てば普通に歩ける。


本当に、おかしい。


さっきまでの曖昧な意識も、今でははっきりしている。


身体の節々が痛い。


いつもなら気にならないのに、今日は違う。


裏門までの道のりは、やはり遠い。


自分の歩くスピードが遅いせいではあるが。


kn「…あーあ」


転校生さえ来ていなければ、こんなに痛くなかったのかもしれない。

この愛で君を殺すその時まで、机上の花瓶は割れない。【vvt.br&kn】

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

117

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚