テラーノベル
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マサルはもう何もかも嫌になって、競馬でこしらえた借金を返して、残りの金を手に故郷に帰ることにした。
帰ってみると、そこには白髪混じりのやつれた母親の姿があった。
「お父さんは?」
マサルが尋ねると、母親は怪訝な顔をして、
「何を言っているの。
あの人は十年前に出て行ったきりじゃないの。」
と答えた。
マサルが売ったのは、「父親が蒸発した悲嘆の記憶」だった。
マサルはそれを知らない。
そして、マサルは母親が長年の苦労で癌を患い、手術が必要なことを知った。
(俺はは何という愚か者なんだ。
こうしちゃあいられない。
一刻も早く母さんを救わなければ。)
マサルは母親に、すぐに戻ると言い残して、またあの店に向かった。
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七瀬 夢
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