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 食堂に現れたジークフリート殿下に、シュヴァルツシルト侯爵閣下が席から立ち上がる。

「殿下。お食事は……」
「すでに済ませている。テオドアは帰らせた」

 殿下はそう話し、閣下に続いて立ち上がろうとした私の肩に、制するように手を置いた。
 それから私の隣、つまりこの場の末席の椅子を引く。
 王室を下座につかせるなどあり得ないからだろう、シュヴァルツシルト侯爵閣下が狼狽えだした。
 しかし意に介さずに私の隣へ腰を下ろした殿下は、閣下にも着席を促した。

「そのままでいい」
「し、しかし」
「続きを聞かせてもらおう。私にも無関係な話ではない」

 この場で優先すべきは格式よりも情報だと示す殿下に、閣下は口を噤んだ。
 その後、控えていた使用人を見やる。

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嫌われメイドですが、王子殿下の恋人役になりました

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