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あっぷるです。記念すべき初投稿はあべさく書いちゃいます。ミッドナイト・トレンディを元にしたお話のつもりです。
「今までありがとう。阿部ちゃん。」
「こいらこそ。ありがとう、佐久間。 」
『幸せになってね。 』
阿部side
深夜二時に車を走らせるのなんていつぶりだろうか。付き合いたての頃は深夜のドライブでも行こっか、なんてバカみたいにはしゃいでたっけな。
佐久間side
きっかけはきっと、些細なことだった。
ジュニアの時からずっと、優しくて、かっこよくて、俺に持ってないものを沢山持ってる阿部ちゃんに惹かれたんだ。もちろん、付き合って同棲し始めた頃はすごく幸せだった。けど、グループが大きくなるにつれて二人で過ごす時間も、心の余裕もなくなっていた。
阿 「ねえ佐久間!!何回言ったらわかるの!食べたゴミくらいちゃんと片付けて!」
佐 「、、、、」
佐 「ねえ阿部ちゃん。脱いだ服。ちゃんと片付けて。」
阿 「あー、」
毎日こんな会話の繰り返し。まはやこれ以外になんか会話してたっけ、笑まぁ、最初から食べたゴミも、脱いだ服も、ちゃんと片付けておけばよかったんだけど、笑こんなことしか話してないもんだから、もちろん仲良くなんかできる訳がなく、ついに
「もう、無理、、」
そう呟いた阿部ちゃんの目には涙が溜まっていて、今にも溢れ出しそうだった。
「1回、2人でしっかり話し合おう。」
そう提案した。なんとか仕事を調整し、2人で休みを合わせた。これからSnowManは抱えきれないほど大きくなっていく。今でもギリギリなのに、これ以上2人でいるのはお互いのためにも良くない。そう2人で判断した。
「ようは俺らお別れだね。」
「きっと必然だったね。」
そんな事言わないで。そう言いたかったけど、今この言葉を口にしてしまったらもう後には戻れない気がして。
最後は笑ってお別れしたいから無駄な喧嘩はしたくない。そういう理由で俺達は最低限しか話さない、と約束した。
阿部side
佐久間は来週にはこの家を出ていく。それまで少しでも佐久間と話したかった。普通の会話をもう一度。けど今話したら全てを佐久間にぶつけてしまうから。無駄な喧嘩をしたくないって適当に理由をつけて説得して、お別れの日まで最低限の事しか話さないって決めた。
別れを決めたからか少し心に余裕ができた今、大好きだった佐久間が目の前にいるというのに約束のせいで話せない。でもきっと約束がなくても自分からは話しかけられなかった。
愛し合っていたのは、感じ合っていたのは、全部嘘だったのか。
最終(さいご)まで2人で行(生)きたかった。
今更そんなことを考えてしまう自分に嫌気がさした。
佐久間side
阿部ちゃんと話したい。最後くらい。けど、今話したら俺の欲望を阿部ちゃんに一方的に押し付けてしまう。だから俺はただ阿部ちゃんを見つめていた。阿部ちゃん、少し髪が伸びてクマもできてる。俺は今気づいた。余裕が無くなってから阿部ちゃんのことをちゃんと見れてなかったんだろうな、と痛感してしまう。
きっと前までの俺なら
「阿部ちゃんクマできてる!もぉ、ちゃんと休まないとダメだよぉ、」
とか
「阿部ちゃん髪伸びたねー!長いのも似合ってる!! 」
とか話してたんだろうな。
愛し合っていたのは、感じ合っていたのは、全部嘘だったのか。
最終(さいご)まで、2人で行(生)きたかった。
1週間後
「んじゃ、行こっか。」
阿部side
俺はそう言って車を出した。佐久間の家に着くまで30分程、俺はこの静寂の中佐久間とふたりではどうにかなっちゃいそうだった。しかし佐久間が
「阿部ちゃん、少しだけ音楽流さない?」
と一言。良かった、やっぱり佐久間もか。なんて思って付き合いたてによく2人で聞いていた思い出のradioを静寂へ。なにも話さず佐久間は外の夜景を眺めていた。やっぱりその横顔好きだなぁ、とか考えているうちに信号は青へと変わった。再び車を走らせ、車内でかけていた音楽が終わると同時に佐久間の家に着いた。帰したくないなぁ、なんて思ったけどこのままだと俺らはずっと辛い思いをしなくちゃいけないから。「ほら、着いたよ。行こ。」
佐久間side
この静寂の中阿部ちゃんと2人だとどうにもおかしくなってしまいそうで、音楽流さない?って自分の気持ちを隠すように言った。すると阿部ちゃんは付き合いたてによく聞いていた音楽を流した。
あ、やばい、泣きそう。
自分でも衝撃だった。きっと今まで恋愛で泣いたことなんて1度もなかったから、阿部ちゃんの前だとこんなになっちゃうんだな、って。泣きそうなのを誤魔化すために外を眺めた。そのままボーッと眺めていると「ほら、着いたよ。行こ。」って言われちゃった。
「うん。」とだけ返事をして2人で家の前まで歩いた。
「今までありがとう。阿部ちゃん。」
「こちらこそ。ありがとう、佐久間。」
そしてお互い
『幸せになってね。』
と言い後にした。
阿部side
やっぱりこのまま帰りたくない。なんて思ってしまう自分に失笑する。佐久間が家に入ったら。自分に言い聞かせて佐久間の方を見る。
佐久間side
阿部ちゃん、もう行っちゃうのかな。悲しいな。まだお別れしたくないな。とか、自分で決めたことなのに何言ってんだろ。笑けどこのまま家に入るはなんだか気が引けて、阿部ちゃんの方を向いてみた。すると、バチッと目が合ってしまった。どうしよう。
阿部side
どうしよう。目が合った。
2人が見つめあった瞬間、信じ合っていたのが、笑い合っていたのが、2人を包んでいった。
佐久間side
そうさ、少し話し合ってみればまた、、
いや、駄目だ。
俺は必死に自分を抑え、阿部ちゃんに手を振り家に入った。
阿部side
もし、今話し合ったら。またやり直せるんじゃないか。そんな風に考えてしまった。
あ、佐久間が手振ってる、
自分のさっきまでの気持ちを振り払うように俺も手を振り返し車を走らせた。
さよなら?いつまでも忘れられないから。
『ミッドナイト・トレンディ』