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コメント
1件

ひとまずは助かってよかったぁ…‼︎みんな無傷だったみたいだしひと安心です😮💨 確かに男の人気になりますねー、また会えるといいなぁ!次回も楽しみにしてます!!
????.5.5
俺は今日も早朝に起床し、日課であるランニングをしていた。
準備をして家のドアを開けたときから分厚い灰色の雲は天井のように張り付いていたが、案の定、今は雨が降り出している。
それでも引き返さないのは天気に抗う為と引き返したら自分が悔しいから、という単純な理由だけである。
一歩踏み出すとランニングシューズが軽く水しぶきを上げる。
そしてその水しぶきは再び地面へ舞い落ちる。
ただひたすらにその繰り返し。
天気のおかげで良い気持ちはしないが身体は軽やかだった。
俺は腕にあるスマートウォッチを見る。
表示は5:30。
そろそろ引き返そうか。かれこれ30分は走っただろうし。
今日は…このまま行くと8kmぐらいか。
うん、良いペース。
そうして俺は来た道を引き返した。
地面に打ち付けられる雫の音も大きくなり、雨が激しさを増してきた一方、俺は急いで家に帰っていた。
人間はこんな雨の中で走っちゃだめだよ。
一歩一歩踏み出すと、さっきとは違うビチャビチャという擬音が鳴る。
まるで自ら水たまりに足を突っ込んでいるよう。
視界はなんとか見えるぐらいだが少し曇っている。
気をつけて家に帰らないと…
そう思っていた矢先_
家路である交差点に着いた。
俺はしっかりと横断歩道の信号が青になっているのを確認し、渡ろうとした。
すると、目の前に男の子がいた。
雨の中無邪気に走りながら横断歩道を渡っている。
その時、赤信号である車線からスピードを出して向かってくるトラックが一台。
赤信号を無視したトラックだった。
このままだと男の子はトラックに轢かれて死んでしまう_
俺は咄嗟の判断で走るスピードを限界まで上げ、横断歩道を渡った。
そして男の子に辿り着いたとき、俺は男の子の胸を思い切り手を伸ばして押した。
なんとかトラックの正面に入らないように、必死に。
車線を見るとトラックは目と鼻の先に。
少年を見ると俺にびっくりしながら後ろにゆっくり転けそうになっている。
ごめんね、この方法しかないんだ。
でもあそこまで突き飛ばせることができたならきっと少年は助かるだろう。
良かった…
どんどんトラックが俺に近づいてくる。
本当に、まるでスローモーションのようだった。
ゆっくりゆっくりトラックが近づいてくる。
あぁ、俺は死ぬんだ__
俺は悟った。
ドラマでよく見る交通事故だが、本当にこういうことがあるんだ。
でも、人助けをして死ぬことができるなら光栄だなぁ…
なんて瞬時に思った。
こんな死に方ができるなんて俺は幸せ者だな、とも思った。
走馬灯が思い浮かぶ。
家族と過ごしたあの瞬間、友達や仲間と過ごしたあの瞬間__
全部全部、俺のかけがえのない宝物。
いっぱい迷惑もかけたけど幸せな人生だった。
悔いはないだろう。
そう、死ぬ覚悟を決め、俺は目を瞑った。
《 ……るくん!!!! 》
「 っ__えっ_ 」
《 照くん!!!!!! 》
どこからか声が聴こえた。
俺と少年以外に人はいないはず。
走りながら人の姿は少年以外見えなかった。
幻聴だ、そう思ったはずなのに…
俺は目を開けた。
周りは真っ白になった。
トラックも少年も何も見えない。
スポットライトを何重にも浴びているよう。
そして顔を上げると_
《 照くん!!!!!! 》
俺を呼ぶ“男の人”がいた。
数メートル先_手を伸ばして必死に俺を呼んでいる。
誰かはわからない。
見たことがあるようなないような…
俺は全力でその人に縋るように手を伸ばした。
なぜ手を伸ばしたのかは自分でもわからない。
それでも、俺は男の人の手を掴めるように右手を伸ばした。
なんとか手を伸ばすとやっと男の人の手を握ることができた。
手を握ると強く男の人の方に引っ張られた。
気づいたときにはもう遅い___はずだった。
身体に衝撃が走り目を開けると、俺は少年の近くまで飛ばされていた。
身体は無傷で、トラックは交差点の中央を過ぎたところで止まっていた。
俺は……助かった……?
なんで、なぜ__
トラックは目と鼻の先で、俺は確実にトラックに轢かれて死ぬはずだった。
運良く助かった………?
いやいや。そんな運とかいう簡単なもので済ませられる問題じゃない。
トラックが通ったルートを考えても俺は射程圏内に入っている。
じゃあやっぱり___
周りを見渡しても“男の人”はいない。
隣には俺が押し飛ばした少年だけ。
なんでだ___
幽霊…?いやいや、怖い怖い。
そんなもの……この世界にあると思わないしあると思いたくないし…
おばけ……?いやいや……
幽霊とほとんど変わんないか…?
いや…そもそも俺、そういうオカルト的なもの信じてないし…
あったとしても怖いし…
でも…確かに“男の人”はいた。
…たぶん。
でもあの一瞬で俺の目の前から姿を消すことなんて人間だったら絶対にできない。
じゃあ“男の人”は………?
そうこうしているとパトカーがサイレンを鳴らして走ってきた。
きっと通行人が呼んでくれたのだろう。
俺は一旦“男の人”は忘れることにした。
????.??.??
事故から半年ほど経った頃。
俺は未だに“男の人”を忘れることができなかった。
_あの事故の時、“男の人”はいた。
「俺は死ぬ」そう自分の命を諦めた時、俺の名前を呼ぶ誰かがいた。
顔を上げた目の前には俺の名前を呼びながら手を伸ばす“男の人”がいた。
俺が必死に手を伸ばし手を握った途端、 現実世界に戻っていて俺は助かっていた_
こんな馬鹿げた話を警察に話すことこそしなかったが、その事実が頭から消えない。
俺は見た、確実に見たんだ。
そんな思いが日に日に強くなっていた。
だって“男の人”がいないと俺が助かったことに矛盾する。
“男の人”に俺が助けられた、という事実と共に“男の人”に俺が恋した、というのも事実だ。
恋したからこそ忘れられないんだ。
恋したからこそ“男の人”はいるんだ。
一目惚れだった。
ひと目でこんなに長期間忘れられないほどの深い恋をしたんだ。
目を瞑って寝ようとする時も、ランニングをしている時も、仕事中も。
24時間脳裏に浮かぶのは“男の人”だった。
あの時、一言で言えば“イケメン”、詳しく言えば純白な肌にキリッとした眉毛、筋の通った鼻、ぷっくりとしている唇。
そして目が合った者を沼に落としそうな目をしていた“男の人”が俺を呼んでいた。
あの人をひと目見たらもうそれは恋に落ちてしまう。
なぜなら俺はその被害者だから。
あの人にもう一度だけでも逢いたい。
せめて俺を助けてくれたお礼だけでもしたい。
毎日同じことを考える繰り返し。
考えてもどうしようもできないはずなのに。
俺は考えるだけに飽き足らずいよいよ恋した“男の人”の捜索に踏み切った。
俺の自己満足でも良い、仲良い人がいなくなってもいい。
どれだけ時間がかかるかもわからなければ、手がかりでさえ何も掴めないかもしれない。
それでも__
“男の人”に逢えるなら、それだけで良い_