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こはる
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植まどか
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第101話
リナの部屋の前に来ると、開けるような勇気が必要になってきた。
なぜなら、リナが部屋の中で独り泣いていたから。
これは、入った方がいいのか、それとも独りの時間にさせた方がいいのか……
手がプルプルと震えてまともに扉を開けられない。
……これは、誰の事で……何が怖いんだ? 怪我をされる事か? 怪我をする事か? それとも……
俺が立ち尽くしていたら、リナが扉を開けて、無言で俺の事を部屋の中にいれた。
「ノアっ。うぐっ……ごめんね。色々と、分からなくて……」
そう言いながら、リナは涙をハンカチで拭っている。
「え?」
「本当、何も分かってない」
そう言ってリナは、俺の頭を優しく撫でた。魔力の動きはフクザツそう……
俺には分からない。こんな時、どんな言葉をかければいいのか……
「大丈夫。俺がいる」
それが、今の俺の中にあった言葉。やっぱり、幼稚かな?
「そうだよね。ありがとう」そう言って一息置いてから「ノアが誰だったか、何となく分かってさ……申し訳なってさ、怖くて、苦しくて、そしたら涙が……」
俺は、リナの身体を抱きしめた。
俺の事なんて、思い出さなくて良かったのに……あんな、ダサい姿なんて…………めっちゃ恥ずい。あんな、情けない姿……嫌になっちゃう。
「良いんだ。もう、過ぎた事。俺も、言わなかったのが悪かった。ごめん」
……俺も、本当、何も分かってない。
リナに言わなかった方がよかったかな……こんなに傷つけるくらいなら……
「ごめん。こんな私……こんなに軟だったっけ? こんなに、涙もろかったっけ……」
「皆、怖いと思う。皆、苦しくなると思う」
「え?」
「俺だって、大切な人の笑顔守れなくて、大切な人が目の前で怖くて、苦しくてって言ってるのに何もできなくて……嫌になっちゃうな」
俺は、リナの背中を揺すりながら、本音をボソリと言った。
「でも、無理をしなくなったし、感情出してくれるようになって……そこは嬉しいかも。だから、俺は、なるべくリナと一緒に歩幅を合わせて、今までできなかった事、一緒にやりたかった事……山積みなんだ」
嬉しい気持ちがあるのは……嘘じゃない。
だって、リナが半年くらい前まで、感情を出してくれなかったから。
でも、その気持ちを出してくれたから、やるせない。だって、大切な人を笑顔にも……いや、苦しくて、辛くて、怖くて……そう言ってるのに、何もできなかった自分がやるせない。
そんな、苦しい所から直ぐに助けられなかった事。大切な人を余計に辛くさせてしまった事。痛みを、独りで抱え込ませてしまった事。
……嫌になっちゃうよ。
「ありがとう。この気持ち、誰にも言えなかった。ありがとう」
リナは、俺の胸の中に顔を埋めながらそうやって呟いた。
「そうか。良かった。俺は、いつでも受け止める」
「うんっ……」
「ありがとう。言ってくれて」
「そう言うノアも、笑顔になってくれてよかった。ありがとう。落ち着いた」
「なら良かった。朝ごはん食べるか?」
「うん」
リナは自分に浮腫み解消の魔法をかけて、チークを軽く乗せてから、香水をシュッとワンプッシュだけして、俺と一緒に階段を降りた。
❂
あれから、グレーテも、ローベルトも、ライナーも、呪いが解けている。
少し、サントラップの店前で騒ぎがあったみたいだけど、直ぐに終わったらしい。でも、リナは大怪我で、ノアも、それなりに深い傷が数カ所……
そして、その相手は、一割型獣人。王姉様にお付の人と、国王直下部隊のエリートだと言う。
……それも、ノアの兄たち。
勿論、二人は解雇……って訳じゃないみたいだ。でも、賠償金はあったみたい。
内容は、実の弟を虐待してたり……色々。
私の密偵たちに調べさせた。
「カトリーナ。エリカが妊娠したみたいなんだ。祝いの物は何にしたらいいと思う?」
え? エリカって、リナの姉……いや、ニルスの奥さん。
「安定期には入ってるの?」
「あぁ。このまま順調に進めば、四カ月後には産まれる」
凄い。私たちも頑張らないと。
「ちゃんと、私もお母さんになれるのかな?」
私は、自分のお腹を触った。
ローベルトには言ってないけど……私も身重。
最近分かったんだけどね。
「え?」
「ふふっ。私もいるよ。ローベルトとの子供」
「俺たちの子供を……」
ローベルトはそう呟いたら、泣いた。魔力の動きは、嬉しそうだから、嬉し涙だろう。
「ありがとう」
「うん!」
私たちは、そう言って唇を重ねた。
コメント
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うわあああ第102話読み終わったよ😭💕 リナがノアの正体に気づいて泣き崩れるシーン、胸がギュッてなった…「大丈夫。俺がいる」の一言がもう尊すぎて反則級っす、、 終盤のカトリーナとローベルトの妊娠報告もエモすぎて二人の幸せな姿にこっちまで涙出たよ…!! みんな少しずつ過去と向き合って前に進んでる感じが沁みる…こはる先生尊いをありがとうございます🌸