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一方、1人になり道に迷っているのは、旅に出るのも初めてなケンだった。「やっぱり、引き受けなければよかった・・・・」なんだか疲れてきたし、喉も乾いてきた。
「母上はあの時なんて言おうとしたんだろう・・・・」
じつは、ケンが父上と言ってた王は、実の父親ではなかったのだ。かつて、母さんと逃げてきた自分と2人を匿ってくれた命の恩人なのだ。自分の父とは、未だにあったことがなかったのだ。「母さん、父さんは生きてるの?」そんなことを聞いたことがある。「ケン、父さんはね・・・」背後から怪しい人影が近づいてきていた。【渡せ】と、一言・・・。母は、ケンを庇うようにその人影から守ってくれた。
そして今の城にたどり着いた頃には、母は力尽き、「母さん!しっかりしてください!!僕を置いて死なないで!」「ケン、戦うの・・・・これから・・・あなたに・・・出される使命を・・・・」
そう言ってある手紙を僕に託すと、 そのまま息を引き取った。今の父は、母さんと、父さんの親友だった。
僕を守るために・・・・。
父と母からのメッセージを伝えてもらうために・・・。「ケン、ここを自分の家だと思ってくれて構わない」最初は、父上と呼べなかった僕だけれど・・・・大人になるにつれ偉大な人であることを自覚したんだ。
「愛する人を守れる強い男になりなさい」
それが母の口癖だった。
(母さん、僕頑張るよ。強い男になる!そして必ずこの土地に平和を取り戻してみせる!)
そしてケンは再び歩きだした。
一方、ヨシは・・・・。シュウと共にさっきから消えずにいる邪気を追いかけようとしていた。
「さっきの邪気とまた違うな・・・。まるであの時のようだ」
そう、シュウが突然走り出した時と同じで風が止まっている。そして空が暗くなってきた。
【フフフフフ】「誰だ!」【ここにもいたか・・・。生まれ変わりが・・・】
「えっ?生まれ変わり?」「お前は父親そっくりだな」なぜ、父さんのことを?
「父さんはもう、いない・・・!誰だ!出てこいよ」そう言うしかなかった。
「お前はまだ授かっていないようだな」
「なんのことだよ!」「この地に伝わる聖なる剣だ。」「そんなものは持たない。俺は戦が嫌いだ」「そんな強がり言ってられるかな?」そいつは気配を見せないで、ヨシの前に現れた。「!・・・えっ?」
だが、間一髪で何かが飛んできた!「誰だ!邪魔をするのは」「ったく、あなた本当に戦ったことないのね。情けない」「えっ?レイナ?」そこに現れたのは、光の国の女王、レイナだった!【女に助けられるとは・・・。本当に情けない奴だ】「乗って!」馬に乗ったレイナは、戸惑うヨシを乗せた。「乗るとは言ってない!勝手に乗せるな!」「ここにいたら、死ぬわよ!いいから言うこと聞きなさい!」「・・・・・・」
「いい?あなたに渡した矢があるでしょう?」「えっ?これ?」「そう、その矢は破魔の矢で・・・・」【くくく、ムダだ】
「いい?あなたは、弓の達人なんだから倒せるはず。その矢が放つタイミングを教えてくれるわ」「タイミング?」「いいから、使ってみなさいよ」「わ、わかった。」そう言ってレイナは、少し離れたところにいった。そして・・・・言われた通り弓を構える・・・・・「もう少しよ・・・・・」
3・2・1・・・
「今よ!」ヨシは、矢を放った!すると勢いよく矢は飛んでいき、敵の急所に当たった!ものすごく、コントロールも、力加減もバッチリだ。【ぐわぁぁぁぁぁ】
そして、てきは、砕け散った。
「やるじゃない」「・・・・・・・」無言で馬を降りるヨシ。「なによ!助けてあげたのに・・・・」「誰も助けろとは言ってない」「でも、私が来なかったらあなたは・・・・」「ただの女に何が出来る」「なによ!偉そうに」「そっちこそ、女のくせに・・・・」ふたりは言い争いをしていたが・・・
「あなたの名前・・・・」「えっ?」「聞き忘れたと思って・・・・。」「なんだ。そんなことか・・・。別にいいだろ?もう会うこともないし・・・・」「そうね。あなたって、女の気持ちが一生わからない人って気がする」「あっ、そう。あんたと話してると女と話してる気がしねぇよ」「あっ、そう・・・。じゃあ、もう助けたりしないわよ。悪かったわね」
と、「ミュウミュウ」ミュウは、心配そうに二人を見ている。「ミュウ、ごめんね」と、ミュウの頭を撫でる。
「ミュウには優しいんだな」「あなたこそ・・・・」「・・・・・・・・」ふたりは、しばらく黙り・・・・
「ケンカをしに来たわけじゃないの。ただ、心配で・・・。あなたは、怪我が治ったばかりだから・・・・・」「・・・・・」ふと寂しげな顔になったレイナに、女を感じたのか
「わ、悪かった」「いいの・・・。じゃあ、さようなら・・・・」
そのまま去ろうとした彼女に・・・「俺の名は、[ヨシ]だ」「・・・・ヨシ?」「聞きに来たのだろう?まぁ、覚えなくてもいいけど・・・・」
言ってから恥ずかしくなったのか、そっぽを向く。「いいえ、覚えていてあげる!だから・・・・私のことも忘れないで・・・・」「・・・・わかった。忘れなかったらな」そう言って別れた2人だった。
ヨシは、レイナが走り去るまで見守っていた。
彼女は不思議な女だ。
初めて人として認めることが出来る。
そう思ったのだった。
再び歩き始めたケン。まだ、人との関わりを拒否するヨシ。共に旅をしようと決意した、マサとヒロとゴウとジュン。6人が、出会う日もそう遠くはないだろう。