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「いいえ、緊張どころか、スタッフ一同が喜んでいまして」
「喜んでいて?」
「ええ、蓮水CEOがいらしてくださると、お店が活気づきますから」
女性スタッフさんの話に、どういう意味なんだろうと首を傾げていると、
「あちらを、見てもらえますか?」
と、手が差し伸ばされ、お店の奥を見るよう促された。
視線を移すと、店内に立つ蓮水さんの姿が目に入った──。
クールな色合いのブルーグレーのスーツの上下に身を包んだ長身の立ち姿は、お店の外を歩いているお客さんまでも立ち止まらせて、中へ引き込むほどの集客力があった。
「ああ、そういうことですか……」
「……そういうことなんです」
と、スタッフさんがクスリと笑う。
「蓮水CEOがショップにいらっしゃると、ご来店のお客様も自然と増えて、売り上げも伸びますから」
「……人目を惹きますよね、あの方って」
「ええ」とスタッフの方が頷いて、「だから、CEOのことはお店の方ではいつも心待ちにしていまして。どのお店でも、こちらにはいついらしてもらえますかと言った感じなんですよ」と、クスクスと笑って話した。
社風もそうだったけれど、お店の雰囲気もストレスなく伸び伸びとした様子で、トップに立つ蓮水さんの求心力がひしひしと感じられるようだった──。