ごきげんよう、はじめまして。じゃんぬです。
駄作ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
攻め:フランス王国
受け:イングランド王国
アングルテール:フランス語でイギリスを指します
流血表現がございます。また、2話から性的描写になります。ごめんあそばせ。
「ふっふふーん♪」
こぽぽ…カップに注がれた紅茶が湯気をたてる。
フランスに建てられた、とある屋敷の一角にて、イングランドはアフタヌーンティーを楽しんでいた。
カップには、勝利を確信したイングランドの笑みが浮かんでいる。
──時は、第一次百年戦争。
優勢なイングランドはパリをも手中に収め、一方疲弊したフランスは各地で敗退を重ねていた。
彼が現在過ごしているこの屋敷も、元はフランスの宮殿だったのだ。
彼が虎視眈々と狙っていたフランスのオルレアン領は、もうすぐ陥落する。
ここを攻め落とすことができれば、フランス全土はイングランドの手に渡る手はずとなっていた。
「ふふふ…部下が勝利の知らせを運んでくるのも、そう長くはないでしょうねぇ!」
カチャ、とソーサーにカップを戻す。
「あの生意気なカエルを組み敷いて、屈辱に歪む顔を…ってお楽しみは後にとっておきましょうか」
その時、ドタドタと荒い足音が響いた。
パチパチと瞬きをしたイングランドは、まったく品のない、とため息をつく。
「まあ仕方ないことですね…待ちに待った勝利の知らせを、この私に早く伝えたいのでしょうから♡」
「大変です閣下!我が軍が──フランス軍に敗北しました!」
「………は?」
イングランドは、珍しくがたりと音を立てて立ち上がった。
震える声で、詳しく説明せよ、と声を放つ。
駆け込んできた士官は、はっ!と返事を返して、胸元から書簡を取り出した。
「守りを固めていたはずの敵国が、突如反撃を繰り出し、オルレアン攻略の要である我々の砦は陥落っ!攻守は逆転、我が軍は撃破されました!」
「陥、落…?」
──それからというもの、イングランドは坂を転げ落ちるように敗戦を重ねていった。
イングランドはだんだんと後退を続け、やがてアキテーヌ地方の中心地、ボルドーにて抵抗することとなる。
「はぁ…どうして…」
イングランドは、ボルドーの防衛拠点となった塔の一室でため息をついた。
机の上に広げた地図を指でなぞりながら、イングランドは呟く。
「シェルブールも占領されましたか……」
数ヶ月前までは、イングランドの勝利は誰の目に見ても明らかだったはずなのに。
自身たっぷりだった彼の姿は見る影もなく、今はただ憔悴しきっている。
「残るイングランド領のフランス国土は…ここ、アキテーヌだけですね…ここだけは守り抜かないと」
そんな彼の目論見も、無論うまくいくはずがない。
「ッ、閣下…!」
側近が、青ざめた顔で彼のもとへやってきた。
イングランドの不吉な予感通り、その男は凶報を告げる。
「──最重要防衛拠点ブランクフォールが、陥落、しました…」
「……ッ!」
ドンッ!
わなわなと震えたイングランドは、力任せに机を叩くと、声を絞り出すように叫んだ。
「なぜだッ!?何故!あと、少しだったのにッ!!」
彼の不運は、さらに続く。
「──残念だったねぇ、アングルテール」
「フランスッ!?!?」
イングランドが声の方へ振り向くと、扉に寄りかかるフランスの姿が見えた。
煤と返り血で汚れてはいるものの、怪我はないようで、不敵な笑みを浮かべている。
「貴様!そこから動くな!動いたら殺す!」
「はいはい、ちょっと静かにしててねー」
フランスはそのまま部屋にずかずかと入り込んだ。
斬りかかる士官を軽くいなして、ひょいと投げ飛ばす。
「うッ!?かっ、か…お逃げ、くださ、…閣、下…」
「うるさいよ」
冷たく言い放ったフランスは、壁に頭をぶつけて呻く士官に、ためらう事なく剣を突き立てた。
噴水のように飛び出す赤黒い血に、イングランドは思わず目をそらす。
「うわ、コイツのせいでまた汚れちゃった」
罪悪感を微塵も感じさせないフランスは、士官の身体から剣を引き抜くと、溜まった血をぱっと振り払った。
赤い花弁の模様が散る。
「…アングルテール」
「ッ、な、なんでしょう?」
なにか、なにか武器になるものを…!
相棒のロングソードを探すが、よりにもよってそれは、フランスの背後に立てかけてあった。
生憎、手が届きそうもない。
(でも大丈夫です…この私にはステッキがありますからね…)
ステッキを握りしめてフランスを見つめ返す。
フランスは一歩、また一歩と近づいてくる。
イングランドは冷や汗を浮かべながら、じりじりと後退して窓辺に寄った。
(いざとなれば窓を割って飛び降りましょう…まったくもって紳士的行為とは言えませんが)
どれもこれも、このエスカルゴのせいだ。
イングランドがそんなことを考えていることを知ってか知らずか、にこっと不気味な笑みを浮かべたフランスは、やはりじりじりとイングランドににじり寄る。
「アングルテール、今日を以て、僕は既に君に占領されていた地を全て取り返した」
「はッ…まあ、貴方にしてはよくやった方でしょうね、褒めて差し上げましょう」
平静を装ったイングランドは、フランスのじっとりとした笑みを鼻で笑い飛ばした。
しかし、イングランドの瞳には、明らかな焦りの色が浮かんでいる。
「きょ、今日のところは、勝ちを譲って差し上げましょう!さて、私は本土に戻りますから」
そんな精一杯のイングランドの虚勢に対し、フランスはにこりと、感情の読めない笑みを浮かべた。
不気味に思ったイングランドは、話はこれで終わりだと切り上げようとする。
「へぇ…本土に戻れるの?」
「え、ええ?帰りますよ?」
「──はははッ!」
突如としてフランスは、不気味なほど明るい嗤い声を上げた。
イングランドは、一瞬だけビクッと肩を震わせるが、あくまでも平静を装う。
「なんです?突然笑い出すなんて気味が悪い…」
「あははは!君って本当に面白いよね!…*もう戻れないのに*」
ぞわッ…
イングランドの背筋を、冷たいものが伝った。
「ッ、いいからそこを退きなさい。私の言葉に従えないというのなら…わかりますね?」
「さあ?分からないなぁ〜教えてくれるかい、アングルテール?」
その言葉を皮切りに、両者は互いに身構える。
フランスは、先ほど士官を切り捨てたロングソードを構えた。
そしてイングランドはというと──ステッキに隠し持っていた細身の剣を引き抜く。
そう、彼が手にしていたのは杖剣。
いざというときのための護身用暗器である。
「やっぱりそれ、杖剣だったか。やれやれ…アングルテールは野蛮だねぇ」
「貴方のような輩が失せれば、私だってこんなもの持ちませんよ」
嫌味ったらしく言ってのけるフランスに、イングランドは吐き捨てるように言った。
にらみ合う両者。
バチバチと火花を散らす──そして。
先手必勝。
イングランドは、フランスとの間合いを詰めた。
フランスはその一撃を危なげなくいなして、まるで踊るように長剣を振りかざす。
鋭い金属音が辺り一面に鳴り響いた。
───カンカンカンッ!キーン…!
一進一退の攻防が、いったいどれほど続いたであろうか。
イングランドの頬に汗が伝う。
一方、フランスの憎らしいほど美しいかんばせには、汗一つ浮いていない。
(こいつ…こんなに強かったでしょうか…ッ?)
おかしい。何かがおかしい。
そうイングランドが気づいたころには、彼はじりじりと追い詰められていた。
迫りくる刃を防ぎきるので精一杯。
(ま、まずい…!)
目の前の敵は、イングランドがフランス本土を蹂躙していた数年前とは、比べ物にならないほど強くなっている。
しかも相手はロングソード、此方は細身剣である。
「──くそ…ッ!」
イングランドが思わず言葉を崩したとき。
わずかな隙を狙って、フランスが大きく踏み込んだ。
嫌な音を立てて、イングランドの剣が折れた。
イングランドはそのまま、体勢を崩して後ろによろめく。
「…ッ!」
が、次の瞬間、フランスはイングランドの腕を掴み上げた。
しばらく見つめ合う二人。
「…はぁ…今回ばかりは…私の負け、です」
やがて、観念したイングランドは、すっと目を伏せた。
色素の薄い長い睫毛が、顔に影を落とす。
しかし、イングランドが負けを認めても、フランスは彼から手を離そうとはしなかった。
「……離しなさい」
「ふふふ…生かしてやっているのにその態度か?やはり君は面白い。それでこそアングルテールだ♡」
「いいから離せと言っている…!」
ぐいッ!
フランスは強引に華奢な体を引き寄せると、怯えるイングランドに顔を寄せた。
それから続けて、彼が一番ぐらつくであろう爆弾を投下する。
「それに、離したところでどうするつもり?──君はすでに、僕のものなのに♡」
その言葉に、イングランドは文字通り固まった。
「は…?もの…?今、なんて…?」
「君の軍は戦争に負けて、君自身も僕に負けたんだ。君は今や捕虜。僕のおもちゃさ。当たり前だろ?」
「は?」
つらつらと持論を展開するフランスに、イングランドは目を見開いた。
「い、いやいや!通例では、私のような高位の者は、捕虜になったからと言って貴方のものになるわけではないですよ?!」
中世の戦後処理では、戦争捕虜となったとしても、自国が相手国に賠償金を支払うことで、本土に引き渡されることとなっていた。
「賠償金?要らないよ、僕が欲しいのは君だけさ」
「へ…?」
イングランドは呆然とフランスを見上げる。
「君の身柄を賠償代わりにすればいいじゃん!君の国も金銭的負担が減るし、僕って優しいでしょ」
イングランドには理解できない理論を並べ立てたフランスは、満足そうに微笑んだ。
そして、歪んだ笑顔でこう言い放つ。
「つ、ま、り…君は今から僕のものだから、僕は君に何してもいいってこと♡」
コメント
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ふっへっへっ…ふーふっふっふ…ふへへへへ!←尊すぎて壊れただけです。気にしないでください
大好きすぎます😭😭😭😭💗💗💗💗💗💗💗💗