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(岩本視点)
目黒は、答えを求めてる。
俺とふっかの関係性。
みんなは、きっと知らないよね。
俺らの関係が、もう歪んでることを…
これを全て話すわけにはいかない。
だって、目黒と康二は俺らとは違う。
今、ここで俺らの関係を全て話すと、目黒はそれに影響される。
焦ってるんだよな。
その状態だと、誰からの意見も飲みこむ。
だから、目黒の感情が歪む。
それだけは、だめだ。
目黒と康二には、2人だけの幸せの形がある。
それを、見つけてもらうには…
「俺とふっかの関係性…ただ、一緒にいたいって願っただけだよ。」
そう、本当にそれだけなんだ。
一緒にいたい。
形はそれぞれでも、目黒だって思ってるんじゃない?
もちろん、康二も。
康二だけじゃない、みんなそうだよ。
“9人でいたい”。
それも、同じ一緒にいたいでしょ?
「……やっぱり、わかんないっす…」
目黒は、少し混乱してるみたい。
もともと、頭を動かすのが苦手な目黒だ。
理解するのは難しいよね。
でも、俺から言えるのはこれだけ。
俺とふっかの関係性は、俺らだけの秘密だからさ。
だいぶ伏せて話したけど…
「きっと、目黒もわかる日が来るよ。」
(向井視点)
「…ふっか、さん…今、時間ある…?」
俺は、ふっかさんに電話をかけてた。
どうしても、聞きたいことがある…から…
『…ん?こーじ?どうしたの?』
電話越しに聞こえてきた、ふっかさんの優しい声。
ふっかさん…やっぱり優しい人や。
なんか、食器の音聞こえるな…
今、朝の5時やで?
この時間にご飯?
まさか、夕飯ちゃうよな…?
「ふっかさん…俺、おかしいん?」
ずっと、聞きたかった…
俺が、おかしいんかな?ってことを…
『…こーじは、自分おかしいって思ってる?』
「…うん…みんなの反応見て、俺、おかしいんかなって思っとる…」
ふっかさんが、優しいトーンのまま話を続ける。
『めめのことは?どう、思ってるの?』
「仲良い友達で、相棒やと思ってる…」
『俺らのことは?』
「信頼できる、仲間…ずっと、一緒にいたいって思ってるで…」
しばらく、ふっかさんの質問に俺が答えてく形で、話は続いてた。
ふっかさん、ずっと優しいんよ…
そうや、ふっかさんはこんな人やった…
忘れたらあかん。
ふっかさんは、今までのこと全部置いといて、人の話を真剣に受け止めてくれる優しさを持つ人やんか…
『自分がおかしいことが、怖い?』
「……っ…」
怖い…?
怖いんかな?
俺が、もしおかしいとして、それは怖い…?
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ふっかさんの、本質を見抜くような言葉。
どう、なんやろ…?
「多分…怖い…」
絞り出すような声で、伝える。
『…怖がらなくていいよ。』
電話越しに、ふっかさんの優しくて、強い声が響く。
(深澤視点)
わかるよ。
こーじ、怖いよね。
自分が自分じゃない感覚。
気づいた瞬間、すごく怖くなるよね。
だから、気づかない方が良かったって思っちゃう。
それで、隠そうとしちゃう。
怖いから、気づきたくないから…
全部隠して、はい、何も怖くないよ♪って…
でも、こーじはまだ、ちゃんと怖いって言えてる。
だから、
『怖がらなくていいよ。』
って言える。
俺に電話してきたのは、そういうことだよね。
こーじは1歩道を踏み外せば、俺みたいになる。
俺みたいに、嘘を重ねることになる。
だから、俺に頼ってる。
そうは、なりたくないもんね。
俺は、反面教師だよ わら
だから、波乱な道を歩んできた、”人生の先輩”として、アドバイスをあげようか。
「こーじは、今持ってる感情を大事にしな。」
『…ぇ…?』
こーじが、困惑したような声をあげる。
焦って進まなくていいんだよ。
答えなんて、焦って見つけるものじゃない。
それこそ、感情的なものになるともっとも。
焦った状態で、いい答えが見つかるわけないよ。
だからこそ、時間をかける。
その感情と向き合いながら、少しずつ少しずつ…
小石を積み重ねるように理解を深めていけばいい。
そしたら、いい結果が得られるかもよ?
こーじからしたら、早く変わりたい状況かもしれない。
でも、今はそのタイミングじゃない。
無理やり、感情に名前をつけちゃダメだよ…
感情に、名前がついた瞬間…
それしか信じられなくなるから、さ……
だから、大事にしないといけない。
それが、1番幸せな形になれるように、時間をかけないといけない。
こーじが今持ってるのは、それくらい大事なものだよ。
『わからへん…俺、やっぱ頭、悪いから…』
こーじが、自信なさそうに言う。
そうだよね。
難しい話だよね。
俺だって、あの時にこんなこと言われても、何言ってんの?って思う。
そんなわけないって…
救いは救い。
嘘は嘘。
偽物は、全部偽物って…
名前をつけて、それだけで縛られてた。
そうやって、逃げてきた。
俺は、救われたからこうやって言える。
こーじも、きっとわかるよ。
でも、今はわからなくていい。
「ゆっくり、時間をかけてこうよ。」
(向井視点)
「……っ…ふっか…さん…ぅっ…」
俺、ほんまに涙脆いよな…
『も~こーじ、泣くなって〜』
ふっかさんの笑い声が聞こえる。
今、目の前にふっかさんがおったら、多分、抱きついてたやろーな…
時間、かけてええの?
焦らんくて、ええの?
ゆっくり…ゆっくり、消えてしまったかもしれない感情を消化してけばいいんやな。
(深澤視点)
こーじとの電話を切って、夕飯の片付けを再開する。
今の時間は…もう、6時か…
「朝ごはん…買いに行かなきゃかな…」
結局、今日は寝れなかったな…
まぁ、こーじが悩んでるんだったら無視するわけにはいかないしね。
それに…
まだ、照が頭に置いた手の感覚が残ってる。
寝れなくなったの、それもあるからね…?
あとは…
「…ちょっと、調べてみようかな…?」
少しでも、みんなの力になれるように、俺は俺で、できることをしよう。
〖カァ!〗
「うわっ!」
早速、外に出ようとしたら烏に服を引っ張られた。
……寝ろってこと…?
烏の心配そうに見つめる瞳を見たら、寝ないとかな…って思い始めた。
大烏にも、いっぱい心配かけちゃったもんね。
「わかったよ。今日は、寝ようか。」
今日は、言う通りに寝るよ。
(目黒視点)
『きっと、目黒もわかる日が来るよ。』
岩本くんは、そう言ってくれたけど…
それが、今じゃないとダメなんだ…!
ゆっくり時間をかけるべきだとは思う。
でも、俺がそんなに待てない。
俺は、行動はゆっくりだけど、せっかちだから…
早く、なるべく早く結論を出したい。
俺は、自分で答えを出すのが苦手だから、岩本くんに聞いたんだけど…
答えなんか、出てこなかった…
それは、岩本くんなりの優しさだと思う。
それは分かってる…
ふっかさんにも、聞いてみようかなって思った。
でも、ふっかさんには…岩本くんのことをどう思ってるか聞いちゃいけない気がした。
でも、知りたい…
俺は、知りたいと思っちゃう…
ほんとに、だめな性格だ。
俺の好奇心は、探究心は…触れちゃいけない場所にも触れようとする。
今まで…抑えてたのに……
こんな、野性的な本能…
俺は、開けちゃいけない箱にまで、手を出そうとしてる。
「……めめ?」
後ろから、声が聞こえる。
今、その声聞きたくなかった…
「こーじ…」
駄目だよ、止まれなくなる…
こっち来ないで…
「…めめ、偶然やね。」
こーじは、何事もないみたいな顔でこっちに近づいてくる。
何も、知らない顔で…!!!
気づいた時には、こーじの肩を、すごい力で掴んでた。
何考えてんだよ…!!
お前は、どうなんだよ…!
お前が俺に抱いてる感情は、何なんだ!!?
「……め、め…?」
怯えた瞳で、俺を見るこーじ。
なんで、お前が泣きそうになってんの…?
泣きたいのは…こっちだよ……
ぱっと、こーじの肩を離す。
強めに掴んでたから、離した時にこーじがやや後ろに転びそうになる。
でも、そんなこと気にしてる余裕なんかない。
早く、早く答えを見つけるんだ…!!
「…めめ!!」
後ろで、こーじの声が聞こえる。
振り向かずに、走り出す。
今は、こーじと一緒にいるべきじゃないから。
ほんとに、子供っぽいな…
もう、先生から答えを教えてもらえる歳でもないのに…
俺は、答えを求めてる。
ちょうどいいタイミングで、目の前に現れた影。
「あれ?めめ?」
いいよ。
ふっかさんに…もう、聞くから……
「めめ?どうしたの?どっか痛い?」
ふっかさんは、俺の顔色を見て1番に心配する。
これから、俺がふっかさんのことを傷つけるかもしれないのに…
岩本くんに、怒られるかな…
ふっかさんのこと、追い詰めちゃうかな…
でも、俺には方法がこれしか分からない…
ごめん、ふっかさん……岩本くん……
「…めめ?大丈夫…?」
俺がずっと俯いてたからか、ふっかさんが俺に手を差し出す。
俺は、その手をそのまま掴んで、近くの塀にふっかさんの身体を押し付ける。
「……っう…!」
ドン!って、おっきい音がするくらいに、強めの力で押し付けたから、ふっかさんが顔を歪める。
「めめ…?落ち着いて…話、聞くから……」
…俺のこと、怖いんでしょ…?
さっきのこーじと同じ、怯えた目をしてる。
「…教えて、欲しいんです…」
「うん…」
ふっかさんは状況を察したのか、俺の話を聞こうとする。
「…ふっかさんは、岩本くんとどんな関係なんですか…?」
この質問に、ふっかさんは顔色を変える。
(深澤視点)
俺と、照の関係…?
言えない…言えない、よ…
どうして、急にそんな質問…?
俺と照の関係性。
あの日、狂ってて醜い俺たちが繋がった、歪んだ関係……
みんなが知らない、俺らの内側…
めめは、それが知りたいの?
それを知れば、満足なの…?
俺が戸惑ってるのに気づいためめが、俺の手を掴む力を強くする。
痛い…
めめにしては、珍しい行動だ…
どう、しよう…
多分、めめはこの質問を照にもしてる。
きっと、照に曖昧なまま濁されたんだろうね。
だから、俺に来た…ってとこかな。
でも、めめとこーじは、違うじゃん…
2人は、俺らと全然違う…!!
お前らは、俺らみたいに汚れてない…!!
根本的に違うんだ。
俺らの関係と、お前らの関係は…
でも…そんなこと言ったら、めめは、どう思うんだろ…
俺のこと、嫌いになっちゃうんじゃ…?
もう、メンバーに戻れなくなるんじゃ…?
や、だ…
それは、絶対嫌…!!
せっかく、せっかくここに戻ってこれたのに、!
めめとの関係にヒビが入るの!?
「…お願い……落ち着いて…」
(目黒視点)
早く、教えてよ……
俺は、それが知りたい…
確実に、俺はふっかさんのことを傷つけてる。
自分のために、人を…仲間を傷つけるなんて初めてだ…
だって、今までは弱い人を守るように、仲間を大切にするように生きてきたから。
ごめん、本当にごめん。
でも、こうしないと誰も教えてくれないじゃん…
「目黒!!何やってんだ!?」
後ろから、声が聞こえる。
誰か来た。
勢いよく、ふっかさんから引き剥がされる。
待ってよ…まだ、答えを…!!
聞いて、ないのに…
(深澤視点)
「ふっか…!ごめん、ほんとにごめん!!」
俺は、照に抱きつかれたまま呆然としてた。
暴走してためめのことを、たまたま通り掛かった照と阿部ちゃんと佐久間が止めてくれた。
めめのことは、阿部ちゃんと佐久間に任せたみたいで…
照は、俺に抱きついて離れない。
照…
俺から離れないで…
めめに、酷いことしちゃった…許して……
ごめん……めめ…
(佐久間視点)
「蓮、落ち着いた?」
「……ごめん…」
蓮の口から最初に出てくるのは謝罪。
ま、そりゃそうだ。
俺とあべちゃんで何とか落ち着かせたけど…
すんげー暴走してたもんな。
「ふぅ…めめ、謝る相手は俺らじゃないでしょ?」
あべちゃんは、やれやれといった顔で蓮に言う。
その通りだ。
蓮が謝るべきなのは、ふっかと照だよ。
蓮だって、知ってるだろ?
あの2人の関係性について、触れちゃいけないことに。
あの2人は、あの日から変わった。
俺らが触れちゃいけない領域に2人は到達したんだよ。
それをわかった上で、ふっかにその質問をしたんだ。
ほんと、蓮にしては珍しい行動だよな。
「ごめん…本当に、反省してる……最低だよ…俺は、ふっかさんに…これじゃ、あいつと同じだ…」
冷静になった蓮は、本当に反省してるのが見て伝わるくらいしょげてた。
蓮の性格もあるんだろうな。
普段抑えてた理性が、今回の件で切れちゃったんだろ。
まぁ…反省してるし、全然許していいと思うけど…
「俺、ほんとにこういうとこあるからさ…あの状態だと周りが見えなくなるんだ…だから、ふっかさんも…こーじのことも傷つけた…」
「…そもそも、めめは何が知りたいの?」
あべちゃんが、厳しい目で蓮を見る。
確かにな…
蓮が自分の本能を抑えられなくなるほど知りたかったものって…何だ?
「…俺が、知りたかったのは……こーじに抱いてる感情だよ…」
「それだけ!?」
あべちゃんと俺の声がハモる。
蓮…お前、まだ気づいてねぇの!?
こんな”簡単”なことなのに!?
これに関しては、”相談相手”を間違えてるよ。
多分、照と深澤はこの質問、蓮の欲しいものに答えられない。
むしろ、こっちは”俺らの得意分野”だ。
「蓮。お前、考えすぎてるよ。」
しょげてる蓮の頭に手をポンポンと置く。
「難しく考えすぎて、遠回りしちゃってるね。」
あべちゃんも、蓮の背中に手を回す。
「答えが欲しいなら、俺らが教えるよ。」
俺とあべちゃんが、蓮が答えに辿り着けるように手伝うよ。
(目黒視点)
考えすぎてる…?
遠回り……?
俺、迷子みたいだ。
答えを探そうとして、なんも知らない場所に入って、1人で勝手に迷子になってる。
答えが、わかるの?
2人は俺の求めてるものに答えられるの?
…本当は、自分で見つけなくちゃいけないとも思う。
でも、俺には分からない…
だから、知りたい。
「めめはさ、なんで今焦ってるの?」
阿部ちゃんが、人差し指を口元に当てて、俺に聞く。
なんで、焦ってる…?
「…こーじと、元の関係に戻れなくなりそうだから。今、この感情に名前がつかなかったら、一生見つからない気がするんだ。」
俺は、ここで答えを逃せば見つけずに探すのを辞めちゃう、そんな気がする。
「蓮は、照とふっかに何を聞きたかったの?」
次に、佐久間くんが親指と人差し指を立てて、ピストルの手を俺に向ける。
何が、聞きたかった…
「2人の関係性…表面上では…本当に、知りたかったのは、俺とこーじがどうなるのが正解か。それが、俺の持ってる感情に繋がる気がしたから……」
「次で、最後。」
阿部ちゃんは、そう言うと佐久間くんと一緒に指を3本立てたピースを作る。
「こーじと、どうなりたいの?」
2人の声がハモる。
岩本くんにも、聞かれたこと。
あの時は、冷静になれなくて整理できてなかった。
でも、感情の整理ができてて、頭も正常に回ってる。
「…俺は、こーじと……」
今なら、はっきり言える。
何だ…こんな単純だったんだ…
「こーじが、好きだ。相棒としてじゃない。こーじの色んな部分を独り占めしたいってくらい、すごい好き。」
やっと、はっきりしたよ。
阿部ちゃんと佐久間くんが目の前でにっこり笑ってる。
と思ったら、その笑顔がどんどん怪しくなっていく。
…お、怒ってる…?
「そーんな、あんまーい2人の関係を奪った恋愛泥棒…」
「許せるわけねーじゃん。」
阿部ちゃんと佐久間くんは、すごい怒ってた。
「蓮。絶対そいつのこと潰すぞ!」
「俺らでこーじを取り戻そう!」
佐久間くんと阿部ちゃんは、俺よりも燃えてるようにも見えた
俺だって、負けねぇ…
あいつのことを逃がさねぇって決めたんだよ。
「…やってやるよ。」
3人で、恋愛泥棒を捕まえるんだ。
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