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この物語はフィクションです。
実在する人物、出来事、土地などは一切関係ありません。
差別的な表現や火事を連想させる表現があります。
苦手な方は閲覧をお控えください。
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魔女は危険な生き物である。彼女らの目的は人間を滅ぼすこと。だから絶対に近づいてはいけない。
そう伝えられていた。
人里離れた場所でひっそり暮らすことしか、少女が平和に過ごす方法はなかった。
少女の祖母は言った。人間を憎んではいけないと。彼らが最も恐れることは無知。知らないものを極端に恐れる。今はまだ、私達が何者なのか知らないだけ。いつか私達は危険じゃないと知ってもらえる時が来る。その時まで待ちなさいと。
少女はその言葉を噛み締めるように大きく頷いた。
いつか人間と魔女が共存できる日が来る。その言葉は少女に大きな希望を与えた。人間の幸せに繫がる魔法を何度も、何度も練習する。色んな魔法を使えるようになったら、人間と楽しく暮らすことができるかもしれない。そんなことを夢見て。
「私、旅に出ます。」
少女はそう告げた。
魔女について知ってもらうために。
人間について知るために。
人間と魔女が共存する一歩を踏み出すために。
祖母は不安そうな顔をしつつも、少女の自信と勢いに圧倒されたのかゆっくりと頷いた。光輝くペンダントをお守りとして預かり、少女は広い世界へ旅に出た。
魔女を敵対視する者。
同じように差別を受ける者。
少女は様々な出会いを経験した。
その中でも、一際希望を与えた青年がいる。青年は魔女に友好的な感情を抱いていた。彼ももっと平和に、安心して暮らせる方法はないのか模索するために旅をしていたのだ。
「だからどうか、君のことを教えてくれ。」
少女は青年の言葉を信じ、1つずつ話し始める。
人間について知るために旅をしていること。
森の奥で祖母と2人、ひっそり生きてきたこと。
人間のことを恨んだりしていないこと。
いつか人間と仲良くなりたいこと。
青年は、少女の言葉を心に刻むように聞いていた。
幾許か時間が流れた頃、青年は故郷へ帰ることとなった。少女は何度も青年に着いていこうとしたが、青年が首を縦に振ることはなかった。少女はようやく諦め、再び別の道へ進むことを決意する。
「いつか、私の家へ来てね。」
そう言いながらペンダントを青年に差し出す。青年はしばらく少女のことを見つめると、ニッコリ微笑んでペンダントを受け取った。
旅を始めて数年の時が経つ。少女はたくさんの魔法が使えるようになった。
炎を操る魔法。
雨を降らせる魔法。
美しい植物を育てる魔法。
祖母に見せたらどんなに喜ぶだろう。早く見せたい一心で家へと帰る。
しかし、いくら探せど家に辿り着けなかった。懐かしい家も、大好きな祖母も見つからない。
少女が見つけたのは
焼け焦げた地面と
粉々に砕かれたペンダントだけだった。
コメント
6件
純粋すぎちゃったんだな。 世界を知らない無知だったから。
砕けっ………ペンダン………うわぁぁぁぁぁそういう事かぁぁぁぁ!!!
な~んか怪しいなあと思っていたが… うえーん