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💙side



💚「やっぱりウェディングドレス姿見たかった〜」


💙「バカなの?俺男だし」


💚「知っとるわ!」


💙「知ってて言ってんのか!本当タチわりーな!」



少しデザインの違う、白いタキシード。胸から覗くポケットチーフはそれぞれのメンバーカラーにした。仕事を終えたその足でハワイまで飛び、機内で寝て、昼過ぎにビーチが見える教会に着いた。

現地の手配は、英語が話せる阿部が全部やってくれた。持つべきものはインテリの彼氏だ。淀みなく英語を扱う阿部は、見ていて本当に頼もしく……カッコよかった。


阿部の手に指を絡ませる。

阿部が俺を引き寄せて、片膝の上に乗せた。



💚「翔太。今は我慢してね?」


💙「は?何を?」


💚「俺が欲しいんでしょ。本当にいつの間にそんなにいやらしく……いてっ!!!」



思いっきり頭をはたいた。

今ので脳細胞をいくつ破壊しただろう。英語が話せなくならないといいけど…。



💙「お前はほんと、懲りないね」


💚「でもちょっとだけ元気になってない?」


💙「えっ!!!」



思わずズボンを見る。

……シーン。

なってなかった。よかった。



💙「ふんっ、阿部の方こそ…むぐっ」



言いかけて唇を塞がれた。シャツの下から阿部の手が伸びてくる。敏感な場所に阿部の指先が届きそうになった時、係の人が現れて咳払いした。


阿部が涼しい顔で応対する。慌ててシャツを直して、阿部に続いた。 俺から離れる瞬間、阿部が『残念』と呟いたのを俺は聞き逃さなかった。本当にこいつは24時間俺に発情している。


事件以来、阿部の俺に対する過保護は拍車をかけていた。お互い個人仕事もあるから、ずっと見張り続けるわけにはいかないが、他のメンバーといる時にはメンバーに監視を頼み、誰もいない時にはマネージャーに状況を報告させている。

そして、現場で手が空くとこまめに電話がかかってくる。最低でもメッセージは届く。

内容は『寂しい』『会いたい』『今何してるの』 付き合いたてのカップルみたいなやりとりがむずがゆくて、読みながら声が出る。


しかし、もう二度と同じ轍は踏まない。阿部には黙っていたが、阿部とこうなる前から何度も危ういことはあったのだ。今まではただ運がよかっただけだ。俺は共演者やスタッフと適度に距離を置くように、より気を付けている。物を安易に貰わない、二人っきりにならない。


阿部の選んだ教会は、ロマンチストで乙女チックな阿部に相応しく、なんとも夢夢しい真っ白くて可愛らしい建物だった。おとぎ話から抜け出てきたような白亜の教会に、超イケメンの金髪神父。ビジュアルには拘りました、とか阿部が自慢げに話していたのを思い出す。


聖歌のオルガンに合わせて、二人でバージンロードを歩く。オルガンを弾いている日系の女性も、日本ではちょっと見たことがないようなエキゾチックで美しい長い黒髪の女性だった。

厳かに式は進む。全編英語で何を言ってるか分からないから、適当に笑顔で応じていた。指輪の交換も終わり、いよいよその時が来た。



💚「翔太、キス」


💙「わ、わかった」



目を閉じる。

唇が重なると身構えていたら、阿部がぎゅっと俺を抱きしめて、軽く持ち上げ、クルクルっと回った。



💙「わわわわっ!!」



降ろされて、ようやく唇が重なった。

阿部曰く、急に愛おしさが爆発したそうだ。女の子みたいに簡単にクルクル回されて恥ずかしいったらありゃしない。

俺は真っ赤な顔でキスシーンを撮影されてしまった。あ、ちなみにところどころ写真に撮られてます。メンバーに言われたので、動画も。




ビーチでサンセットを見ながら、阿部とトロピカルジュースを飲む。さすがハワイ。フルーツが美味い。搾りたて100パーセントのジュースは何をどんな割合で入れているのかわからなかったけど、超絶に美味しかった。



💚「ねぇ、幸せ」


💙「だな」


💚「でも残念すぎる。明日の朝には帰らなきゃいけないなんて」


💙「色々急だったから、仕方ないよ」



テーブルの上に何気なく置いた手に、阿部が手を重ねた。ストローから口を離して、オレンジの夕焼けを背に、キスをした。



💚「でもいいんだ♪この後が一番の楽しみだから🎶」



阿部が歌うように言った。俺は思わず、飲んでいたジュースを吹きそうになった。

ずっと一緒にいる方法、その後

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