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レグに案内され、6人は村の入口に到着した。入口から村の様子を伺うだけでも、村は甚大な被害を被っているということが分かった。


「随分酷い状況みたいですね……」


その様子を見た胡朱は思わず声を上げる。それだけでも、融合怪物が一体どんなものなのかは十分分かった。


「……中に行きましょう。村に入れば、鍛冶屋はすぐです」


レグはそう言い、先陣を切り村の中へと入ってゆく。6人も、それに続いて村の中へと足を踏み込んだ。


「う、うわ……。なんて酷い……」

「目も当てられませんわ……」

「……」


村の中の残状を見て、6人は絶句した。煙が空へと立ちのぼり、綺麗だった空は心做しか濁っているようにも見えた。かつて家があったであろう場所には瓦礫の山しかなく、きちんと家としての形を保っているのはほとんどなかった。


……村は、ほぼほぼ壊滅状態だったのだ。


「そりゃあ驚きますよね。村は、今回襲撃された場所の中でも、特に被害が大きかったんです。……気を付けてください。ここから先には、融合怪物がいるかも」


レグが振り返り、説明を交えながら進む。一行は、細心の注意を払いながら鍛冶屋へと向かった。


◇ ◇ ◇


「こ、ここが……? なんだかすごい場所だね……」


鍛冶屋に入ると、そこは荒れ果てていた。怪物が中に入り荒らしたのか、足の踏み場がないほどに武器や道具が散乱している。窓ガラスが割れており、その破片が鍛冶屋の中に散らばっているので、怪物は中に入る時に窓を突き破り侵入したのだろう。

各々鍛冶屋の中を見ていると、翠が何かに気づき声を上げた。


「居ます」

「何がでしょうか……? もしや怪物が……?」

「……いいえ。人が」


翠が指をさした先を見ると、階段の裏で蹲っている男性が居た。男性は腕で頭を覆い、頭を守る体勢をしている。それぞれの頭に疑問が浮かび上がった時、レグが何かを思い出したように話し始めた。


「ダンテさん……どうしたんですか?」

「……誰だそれ?」

「この方──ダンテさんが、この鍛冶屋を営んでいるんです。僕はあまり会話したことはないですが、父が知り合いで」

「カーティスのところのお坊ちゃん……レグだったか? まさかあんたが来るとはな」


レグからダンテと呼ばれた男性は、頭を守るため俯かせていた顔を上げる。そして、安堵したような表情になった。鍛冶屋の荒れ具合とダンテの反応を見るに、鍛冶屋の中で何かがあったのは確かだ。……となると、鍛冶屋は怪物によって攻撃されたのだろう。すると、ダンテは事情を話し始めた。


「いつも通りここで仕事をしていたら、怪物が入ってきたんだ。あいつらはここを荒らして2階から出ていった。すぐここに隠れたから俺が居たことはバレなかったが、もしバレていたら……」

「なるほど。そんなことが……」

「もしかして、あんた達がここに来たのは武器を借りるためか? それに、こっちの6人は初めて見る顔だな。俺はダンテ、見ての通りここで鍛冶屋をしている」

「はい。武器を借りに来たんです。何がありますか?」

「よし、分かった。少し待っていてくれ」


ダンテは1階の奥にある部屋へと向かっていった。それから数分後、ダンテはいくつかの武器を手にして戻ってきた。ダンテが入っていったのは武器庫で、7人に貸すための武器を見繕ってきたのだろう。テーブルに武器を広げた後に7人を見て、ダンテはこう言った。


「俺の本業は鍛冶屋だ。こういう時に命を懸けて村を守ってくれる若者が居るなら、俺はそれを手伝う。……さぁ、ここにある武器は好きなだけ持って行っていいぞ。返してくれればな」


テーブルに並べられた武器を見て7人は考える。7人の目の前のテーブルには、剣から銃火器まで様々なタイプの武器が並んでいる。だからこそ、7人は何を使うべきか迷っているのだろう。6人は元々戦いとは無縁な場所で生活していたし、レグも直接戦場に赴き戦うことはほとんどなかった。武器の種類が多いことも相まって、自分が使いやすそうな武器が分からなかったのだ。先陣を切ろうと最初に武器を手に取ったのはアルバートだった。


「……じゃあ、オレはこれにしようかな」


そうしてアルバートが手に取ったのは弓だった。使い方は分かるのだろうか。一行がそんなことを考えていると、胡朱がアルバートに質問した。


「弓ですか……。何か、弓を選んだ理由があるのですか?」

「弓道をやったことがあってね。学生時代だけなんだけど……少しは扱い方も分かるから、弓にしたんだ」

「……なるほど」

「では、僕はこれにさせていただきます」


弓を武器に決めたアルバートに続いて、翠は双剣を選んだ。腰の辺りに鞘を括り付け、手にした双剣をしまった。


「お客様……幸斗さん、でしたか? 貴方はその武器にするのですね」

「……何かあんのか?」

「いえ。ただ、銃?は僕はあまり見たことがなく……。使えるのは凄いな、と思いまして」

「では、僕はこちらの武器にします」


幸斗は無言でアサルトライフルを手に取った。その様子を横目で見ていたレグは、珍しいものを見るような目をしている。実際、「あまり見たことがない」と言っているので、彼からすれば珍しいものなのだろうが。

そして、レグは武器を大鎌に決めた。あまり戦ったことがないはずなのに、本来武器として使うものではない鎌を使うのはどうなのか──と思われたが、それにも理由があるのだろう。はたまた、単純に目についたから選んだのかもしれない。

次々と武器を決め、残るは胡朱、志音、アリスだけとなった時。ふと、遠くで地響きのような轟音が鳴った。6人は、突然のことで何があったのか分からずにいたが、ダンテがはっとしたような表情になった。


「──あいつらが来た!」

「あいつら……?」

「融合怪物だ! あいつらは普通の怪物とは違う! 早く逃げるぞ!」


半ばダンテの勢いに押されるようにして、7人は外に出た。必死な様子のダンテを見て、「融合怪物を倒すために来た」とは言えなかったのだ。

外に出ると、人よりも大きい──3mほどはあるだろうか。そんな怪物が、一行を見下ろしていた。よく見ると、怪物には翼が片翼だけ生えていたり、口と思われる場所から鋭い牙が覗いていたりした。その異様な見た目は、怪物同士の「融合」によるものなのだろう。どうするべきなのか、と胡朱が考えていると、誰かが胡朱達の一歩前に出たことが分かった。……それは、幸斗だった。幸斗はアサルトライフルの銃口を怪物に向けこう言った。


「相手してやるよ。……かかってこい」


幸斗が融合怪物を挑発する。人間の言葉が融合怪物に理解できるのかどうかは不明だが、怪物からしてみれば、明らかに幸斗が自分を挑発していることは分かるだろう。その挑発を聞いて、ダンテが焦っているように声を荒らげる。


「やめておけ、そいつらは強いんだ! 村を一瞬で壊滅させた! 人間の力だけで勝てっこない!」

「そんなこと、やってみなきゃ分かんねぇだろ。それに、俺達は融合怪物を倒すために来た。ここで仕留めずにどうするってんだ?」

「融合怪物を倒すために……?」


ダンテはオウム返しのように同じ言葉を繰り返す。7人が怪物と戦うために来たということは分かったが、まさかその怪物が融合怪物のことだとは分からなかったようだ。

それを聞いたダンテは言葉を失う。止めるべきなのか迷っているのだろう。融合怪物は危険だが、7人が無事に融合怪物を倒すことができれば、怪物を倒し切るのにも村が有利になるだろう。融合怪物は、怪物の中でリーダーを務めているようにも見える。……きっと、融合怪物の討伐によって不都合が働くことは少ない。


「あんた、正気か?」

「誰もやらねぇからだ。そうじゃなきゃ俺はこんなことしない」

「……僕も加勢します! 戦闘はあまり得意ではありませんが、これ以上融合怪物に好き勝手させるわけにはいきません」


幸斗に続いて、レグが大鎌を融合怪物に向けた。戦う気満々だ。レグは視線をアルバートと翠に向ける。二人も、こくりと頷いた。その様子を見たダンテは折れ、せめてもと忠告をする。


「融合怪物は本当に危険なんだ。……何かあったら、絶対逃げた方がいいぞ」

「……あぁ。言われなくとも、危険だと思ったら逃げる」


4人は武器を構え、融合怪物に攻撃を仕掛けた。

【参加型】孤高のレヴェリー

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