テラーノベル
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頭の中で情報を改めて整理する。
(なるほど、つまり俺は魔法学校の劣等生の体に転生してしまったというワケか……)
目の前の中年男性――改め父親のドラルは怒りを抑えるかのように一度大きなため息を吐く。
「しかし、そんな貴様に最後のチャンスをやろうと言っているのだ。これから『魔術紋章の儀』を行う。その結果次第ではもうしばらくこのレオグラッド家に置いておいてやっても良い」
『魔術紋章の儀』……。
魔法学校の最初のステータス測定が終わるとみなが各自で受ける儀式だ。
人はみな、生まれ持った魔術紋章を持っている。
それを明らかにするのが『魔術紋章の儀』である。
『最後のチャンス』と言われたが、ラティスの身体となった俺の中にはすでにある願望が出てきていた。
(早く追放してほしいな……)
さっさと自由の身となって、この若い体で世の中を見てみたい。
晩年はずっと山奥で研究していた俺はそんなことを思っていた。
(まぁ、でも……『魔術紋章の儀』をしてくれるっていうなら大人しくこのままついていこうか。どうせ受ける必要があるし)
「すみません、現実を見たくなかったモノで……そういうお話でしたね」
「ふん、そうだろうな! 『魔術紋章の儀』は我が屋敷の大広間で行う!」
そのままドラルの後ろをついて行って、屋敷の大広間を開くと身なりの良い大勢の者たちが集まっていた。
100名を超えるレオグラッド家の多くの関係者たちが居て、『魔術紋章の儀』の注目度の高さを物語っている。
そして、その中心にはクリスタリアの学生服を着た金髪の青年がいた。
「おう、ラティス! よく逃げださないで来れたな!w」
彼はレニール・レオグラッド。
ドラルの言う、『優秀な兄弟』の一人で俺と同じ年に生まれた弟である。
そして、ステータス評価で最低値をたたき出した俺――ラティスを舐め腐っている。
「レニール。まだチャンスがあるなら、賭けてみたい。誰だってそうだろ?」
「ぷっ、チャンスだって? テメェにそんなモンあるはずねぇだろw」
レニールが笑うと、周囲の関係者たちも「クスクス」と笑い声を漏らす。
(全く……悪趣味な者たちだ。誰にだって、挑戦する権利はある。その姿を笑うなど――)
「はー!? なんでこの雑魚も一緒にいるのよー!?」
そんな、甲高い声が聞こえて俺は振り返る。
そこには、同じく学生服を身にまとった小奇麗な女の子が俺を指さしていた。
「最悪っ! この『魔術紋章の儀』の格が落ちるじゃない! さっさと出ていきなさいよ!」
彼女は従妹のフラン・ミメシス。
今回、一緒に受けるらしい。
最初の頃はレオクラッド家で期待されていた俺にべったりだったのに、俺のステータスの悪さを知ったとたんに態度を急変させて今やこの調子だ。
「フラン、また昔みたいに仲良くしようよ。別に優秀かどうかだけが人の価値じゃないだろ?」
「はぁ!? 気持ち悪っ! 話しかけんな、この劣等魔法使いが! 死ね!」
どうやら彼女の性格は修復不可能らしい。
自分の言葉には責任を持たせることが大事だ。
俺が強いと分かってから擦り寄ってきても、絶対に俺は冷たくあしらうからな。
「ゴホン、ではみなが揃いましたので『魔術紋章の儀』を執り行わせていただきます」
神官はそう言って俺たち3人の前に立った。