「返事を聞かせてもらうで、🌸」
テレビを消してから30分ほど、しばらくは冷静さを保っていられなかった。
夜中2時を回ろうとした頃、玄関の鍵がまわる音がした瞬間、🌸の心臓は跳ね上がった。
ゆっくり扉が開き、侑が姿を見せる。
ジャージ姿のまま、いつも以上に余裕たっぷりの笑み。
「……お、起きとったんか。
まあ、眠れへんやろな?」
侑は靴を脱ぐ間も🌸から視線を外さない。
まるで“逃げたら一歩で捕まえる”って無言で言ってるみたいや。
🌸が口を開くより先に、侑は歩み寄ってきて――
壁際に追い詰められる。
逃げ場ゼロ。
「テレビ、ちゃんと見とったよな?」
低い声。
その声だけで足が震える。
「侑……あれほんまに全国放送で言うことじゃな――」
「なあ、🌸。
俺があんだけ言うた後やのに、
まだ“返事”せぇへん気なん?」
至近距離。
額すれすれで笑ってるのに、目は全く笑ってない。
独占欲でギラついてる。
侑は顎を指で軽く持ち上げ、逃がさないように視線を絡める。
「ほんま……ええ根性しとるなぁ?」
「ちょ、侑、近い……」
「近いに決まっとるやろ。
離れたら逃げるやん」
言いながら、侑の指が🌸の頬をゆっくりなぞる。
優しいのに支配的で、全身が熱くなる。
「全国の前で言うたのはな、
“もう他の奴が手ぇ出せんように”ってことや」
「……侑」
「俺のもんって、ちゃんと世間に見せつけたかったんや」
耳元で囁く声は甘いのに、完全に逃がさへん強制力がある。
「なぁ、🌸。
俺と結婚するんやろ?」
質問というより、確認。
否定の余地ゼロ。
🌸が答えずに黙っていると、侑は小さく笑う。
「……黙る癖、まだ治ってへんねんな」
「ちがっ……!ちがうの、ただ緊張して……!」
「ほんなら、返事言いやすいようにしたるわ」
次の瞬間、侑は🌸の腰をぐっと引き寄せた。
体温が一気に密着して、息が止まりそうになる。
「深呼吸しろ。俺おるやろ?」
背中に手を添えて、優しく撫でる。
その動きは甘いのに、力加減は逃がさへんようにしっかり。
「なあ、🌸。
俺と生きるんか?
それとも……」
一瞬だけ、声が低く落ちる。
「俺が無理やり“はい”って言わせなあかんのか?」
目の奥が、完全にドSの侑。
🌸「──っ、……する……」
小さく絞り出した声。
侑は一瞬だけ目を見開いて、それからゆっくり笑った。
「……今、なんて?」
「……するよ。侑と、結婚……する」
侑の腕が、そっと震えた気がした。
それくらい嬉しいんだって伝わる。
「……ああ、よう言うたな」
額に軽くキスを落として、
侑はそのまま🌸を胸に抱きしめる。
「これでええ。
もう逃がさん。
……一生、俺の隣おれ」
言葉は強いのに、抱きしめ方はとんでもなく優しかった。
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