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#一次創作
羽海汐遠
12,218
あすかちゃんはファイアーレッド。
ももかちゃんは珊瑚色。
ゆかちゃんはフレッシュピンク。
先生は灰桜。
お母さんは薄藤色。
人には、それぞれ色がある。
その色は、気分で変わるものではない。
生まれ持った雰囲気。
その人らしさ。
言葉にできない内面。
──核。
髪を切っても。
眼鏡を掛けても。
十年ぶりに会ったとしても。
色だけは、決して変わらないのだ。
✦・┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈・✦
夢を見た。
教室には、私と先生しかいなかった。
窓の外には朝焼けが広がっている。人の気配はひとつもない。
先生は黒板に大きな円を描いた。
「これは、宇宙。」
白いチョークの音だけが、静かな教室に響いていた。
「じゃあ、問題。」
先生は振り返る。
「この円の外側には、何があると思う?」
私は少し考える。
「……何もない、ですか?」
「どうして?」
『どうして』その問いに、私は答えられなかった。根拠がない。根拠がないのに、私の脳が、潜在的に存在している初期装備のように、宇宙の外は無だと結論づけている。
先生は小さく笑った。
「じゃあ、1つ。面白い話をしようか。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『哲学的宇宙論』
まずはじめに。
1つ地球の端は存在すると思う?
仮に、私たちが今いる場所から横へ真っ直ぐ進み続けても、地球は球体なので地球の端っこには絶対につくことができない。
でも、上に行けば話は変わります。
地上から100キロメートル上空へいけば『カーマンライン』という「地球」と「宇宙」の境界線にたどり着くことができるから。
この飛行機の飛べる限界の高さ『カーマンライン』が【地球の端】と呼ばれています。
ではさらに、地球から465億光年離れた場所にいけば、今度は『宇宙の端』にたどり着けるんだ。
たどり着けると言っても、光の速さで進んで465億年かかる場所にあるから、私たちは絶対に行くことができないけどね。
それでももし仮に『宇宙の果て』に行くことが出来たのならそこはどんな場所で何があって、私たちは何を見ることになると思う?
「端までいくと宇宙は存在しないのか」「存在しないのなら無があるのか」「壁は触れられるのか触れられないのか」「物理的な壁はあるのか、目に見えないのか」とか。
もし仮に壁があって、その向こうに「何か」があるならそこには何が隠されているのだろう。
少し話は変わるけれど、どんなに頭のいい赤子でも自分が母親のお腹の中にいることには気づかないらしい。
赤子にとってはお腹の中が全てでその世界の内側にいる限り外側の世界があるなんて考えもしない事だし、考えてもわからない。
だから、「お腹の中」が全てだと勘違いしてしまう。そして、その赤子が終わりだと呼んでいるのが始まり(生まれること)だったんだ。
これは赤子に限った話ではないのかもしれない。
少し話を戻そう。
澄んだ状態の水の水面は2次元の変なのない平面。そこに石を投げると波紋という3次元の高低差が生まれる。それにより「時間」という概念が誕生する。
では、もし水が存在してなければ?
結論からいうと、投げた石は「最初から存在しなかった」ことになる。
人間もそうだけど、石はミクロサイズまで拡大していくと小さい波が集まってできているんだ。
だから、水がない所にそもそも波だけをぽつんと置くことは不可能。それに、「無」の中では空間すら存在しない。
波紋も起きなければ、時間も流れない。落ちることも触ることもできないのなら、「石がそこにある」と証明するための物理法則もまず存在しない。
つまり、その水が存在しない世界▶︎『宇宙の外の「無」の世界』に石を投げてしまったら、それが石でなく人間だったとしても、結局その人間は瞬時に消えてなくなるんだ。
でも何かおかしい。
もし宇宙の外が完全な「無」なのであれば、その「無」に触れている宇宙すらとっくに消えていなければおかしい。それなのに宇宙は今もなお消えることなく存在し続けている。
これはつまり、
宇宙の外には何かが存在しているということなんだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
私は黒板を見つめる。
白い円。
その外側。
私はそこを、じっと見つめた。
「先生。」
「なんだい。」
「もし、本当に宇宙の外に何かがあるなら。私は、一度だけ見てみたいです。」
その言葉を最後に、教室がゆっくりと溶け始める。
黒板も。
机も。
先生も。
私も。
ぐにゃりと歪んでいくその視界が、心地いい。
コメント
1件
おつかれさまです、みぅです🤍🥀 今回はお話の中に「色」で人を表すところから始まって、宇宙の果てとか“無”の話まで…すごく静かなのに脳みそがぎゅって動かされる感覚だった。特に先生が言う「赤子がお腹の中で外を知らない」ってたとえ、すごくしっくりきてちょっと怖くもあった。 “その先”を見たいって言った主人公の言葉に、なんだか切なさも感じたよ。まだ第1話だけど、この世界の続きがすごく気になる…。 素敵な時間をありがとうございます🌙