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血ハロ後二次創作

創作主が出てきます。

地雷は自衛で。







10コ下の弟が死んだ。14歳だった。


頭の要領が悪く、義務教育にも関わらず中学生で留年していた。家に帰ってはオレに勉強を教えて欲しいと普段は滅多に見せない真剣な顔で手を合わせ、10分もすればうたた寝をしてしまうような弟だった。

昔はハラ減ったってだけで車に火つけたりとかなりヤンチャしており、幼馴染の少年からも「何考えてるか分かんない」と言われる始末だ。まあその件はオレが適当に「火ィ通ったモン食えばハラに溜まる」とか言っちまったせいだが。数年前、不良の時代と言われた時オレは仲間と暴走族組んでよく暴れていた。その影響もあるのか、近所の空手道場に通っていた弟も2年ほど前から東京卍會とかいう族で隊長張ってるらしい。

それが何を間違えたのか、抗争の場で刺されたという。ンでガキの喧嘩で人が死ぬんだよ。武器なんか持って卑怯なマネしやがって。刺したヤツがどんなヤツか知らねぇがどうせロクなヤツじゃねぇだろうと思う。オレはとっくに引退した身なので。いつだったかオレの幼馴染が語っていた不良の夢を思い出した。彼は運命のイタズラか、ソイツの弟のダチ2人に殺された。その内のひとりがオレの死んだ弟だ。


そんなよく分かんねぇ気持ちのまま、犯人との面会に向かった。

それがまさにオレの幼馴染を殺したガキだったなんて、誰が想像できただろう?



「テメェだったのかよ…ハハ。」

「ゴメンなさい…謝って済むほどの罪じゃねぇけど、ゴメンなさい。オレが死んででも償います。」

「ンな、思い詰めんな。死んでも、か。」



分厚いガラス板の向こう側でただひたすらに頭を下げ、謝り続けるガキ。鈴のピアスが踊っている。



「そうだなァ…アイツはもうテメェみてぇに謝ることすらできねぇンだな。」

「ッ……。オレが悪いんです。ホントにゴメンなさい。」

「顔上げろ。オレは別に死んで欲しいなんて思っちゃいねェ。」

「ただ、生きて償え。圭介と…真一郎の分まで。」



そうやって微笑んでやるとビックリしたようにこちらを凝視してきた。10コ下ってのは活気があんだな。

20後半に突入しようとしている高卒のオレの人生は早くもフリーターで安定しそうだった。学生の頃の夢は何だったか。警察官とかサッカー選手だとかそういう無難かつほぼ叶わないような物だった気がする。兎に角今の小学生によくある動画配信者のような可愛げがあるほどのものでは無い。



「面会終了のお時間です。」

「…またな。外で連れが待ってンだ。」

「ハイ。お元気で。」



お元気でってのも変だと思ったが、なんせ10年は出てこれないってンだからオレも元気でとだけ伝え、監視官に軽く挨拶をしその場を後にした。


外では初秋の風が吹き荒れ、紅に染まり始めた木々の葉を揺らしいてた。

壁に背を預け、目を瞑って腕を組み少し眠そうな様子でオレを待っていたソイツは扉の開く音に気づき体を浮かした。制服のブレザーの下にパーカーを着ており、刈り上げたマッシュヘアーをレモン色に染めている。オレも昔、日に当たると眩しいほどの白髪に染めた髪を腰程までに伸ばしていた時期がある。そこから黒に染め直したのだから就活時代は髪がギチギチと軋んでいたものだ。

そんな彼も1年ほど前の写真ではリーゼントにセットしてあり、荒れに荒れていたようだ。オレの弟と出会ったのもそんな時期だったという。



「千冬ぅ。待たせたな。」

「あッ、いえ!」



片手をあげて声をかけその名前呼ぶと、ビクッと一瞬肩を跳ねた後戸惑うように姿勢を正した。その瞳がオレではない誰かを見ているようで、それが圭介であることは薄々察していた。

彼は弟が隊長張ってた東京卍會壱番隊の副隊長だ。つまり、圭介の腹心。最も信頼を寄せていた後輩だろう。その証拠に千冬は弟に会うと主人を見つけた犬のように駆け寄って行く。見えないはずのシッポをブンブンと振るその姿は、まさに忠犬そのものだった。



「待たせて悪かったな。どっか行くか?」「…柊介さん家が、いいです。」

「そうかよ。散らかってんぞ。」

「大丈夫っス!」



オレが行くぞと促すと目を細めて笑う千冬。その眩しい笑顔にどうしても懐かしい弟の姿を思い浮かべずには居られなかった。






○場地柊介

25歳 フリーター場地の兄。家が近いため真一郎と幼馴染。空手道場に通っていた。初代黒龍特攻隊(創設メンバー)で、現在は引退している。ネコ目や八重歯などの特徴は実弟の圭介とよく似ている。昔は白髪ロングだったが今は肩に付くほどの長さで本人曰く「伸びたら切る」。圭介を強制的に道場に連れて行ったりヤンキーの道に引きずり込んだのもこの人。言わずもがな荒っぽい口調も彼の影響である。真一郎が死んだ時はマイキーが場地を亡くした時と同じような状態だった。受け入れられたかは分からないが、時間が経つにつれそういやアイツもういねェンだなァと感じるようになった。真一郎のことはただの幼馴染か、元仲間か本人もよく分かってない。一度そうやって身近な人を亡くしたせいか、圭介が死んだと知った時も反応は薄かった。その葬式で千冬と初めて知り合った。千冬には最初、圭介が生き返ったかと思われてた。すげー泣いてた。「場地さん」と呼ばれるのはいいけど(なんも間違ってないし)自分ではない誰かを呼んでいるようで「柊介さん」呼びに無理やり直すのに苦労した。その流れで付き合うことになったけど11歳差大丈夫?未成年って犯罪じゃね?とか思ってフツーに手出せない。一虎に「またな」と言ったはいいけど死んで欲しくなかっただけでまた会う気ほぼないなんだコイツ。


○松野千冬

14歳 中学2年生現東京卍會壱番隊副隊長。尊敬の大好きな人を亡くしたばかりで中々立ち直れず、泣く泣く葬式に向かい柊介に出会う。髪の長さこそ違えど圭介と出会ったばかりの頃の長さに近く、さらに癖の付き方までソックリだった為ガチ生き返りかと思い秒で泣き出した漢。身体中の穴という穴から水分出てたと後に彼は語る。最も、やはりまだ圭介と柊介が重なって見えるわけで「場地さん」と呼んでいたら怒られた。なら「千冬ぅ」て呼ぶのも非常にやめていただきたい所存ではある。その後呼び名を改めると「あー、怒ると腹減ンね?オマエ、ペヤング好き?」とか言って困ったように笑いかけられたものだから全千冬が強震した。気づいたら付き合ってくださいとか11コも上に告ってた。オレアホ?


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