テラーノベル
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変な夢を見てしまった。
喉の奥に残る嘔吐感と異物感をぼんやりと感じ取りながら、私は夢の余韻から出来るだけ離れようとする。
最近ずっと頭がぼんやりとする。体が熱を帯びており、体が思い通りに動かない。こんな体の不調が夢にまで影響してしまったのかもしれない。そう考えてしまうと、自然と自身の口からため息が零れ落ちた。
変…といえば夢だけじゃない。
少し前まではイザナくんから逃げることばかり考えているのに、今は全く考えられない。 逆にイザナくんが私から離れるとものすごく不安になる。 辛くなる。 悲しくなる。
イザナくんはそんな私を見て、普段よりずっと嬉しそうに笑う。
「やっと堕ちてくれた?」
私の髪を優しく撫でながら、イザナくんがそう言った。
ぼんやりと虚空を眺める私を見つめてくるその勝ち誇ったような闇の濃い瞳が癪で、目線を逸らすように首を振る。
違う。
絶対に違う。
堕ちてない。
好きになんてなってない。
こんなの、一瞬の気の迷いだ。
ずっと同じ場所で、 同じように過ごしているせいで、少し気がおかしくなってしまっただけ。
大丈夫。
本心じゃない。
本心なわけがない。
『…ちがう』
絞り出すように出した声は酷く掠れていた。何も見たくなくて、何も聞きたくなくて、震える手を無理やり上げて頭部全体を隠すように包み込む。そうしていると、不意に自分の目から涙が流れていることに気づいた。
どうして、と困惑していると、突然イザナくんの腕が私の顎を掴まえ、無理やり視線を合わしてくる。
「オマエさぁ…」
私の大嫌いな紫色が、涙で滲んだ視界に重なる。
「…依存してないふりするのも程々にしろよ」
ぴしゃりと吐き捨てられたそれは言葉こそは鋭いにもかかわらず、声色は酷く優しいものだった。こちらを見据えてくる視線も、苛立った時の睨みなんかじゃなくて本当に愛しいものを見つめてくるような柔らかい目つき。そんな言葉と彼のすべてをとどめに、今まで必死に取り繕っていたナニカが壊れていく音がした。ぐしゃりと何かが踏みつぶされるような喪失感とともに、別の暖かい感情が胸を埋める。
「オレのこと好き?」
カラン、彼のピアスが揺れる。褐色の肌が私に触れ、綺麗な髪が視界の端で揺れる。
『…好き』
気付けば、そう告げてしまっていた。
心のどこかでは違うと叫び出したいという気持ちがあるのに。
「…じゃあ試しに可愛く鳴いてみろよ」
この気持ちを偽る言葉は、
『…にゃん』
どうしても、思い浮かばなかった。
【依存】
何かに対して絶えず必要とする状態、またはその対象がなければ正常な機能や活動ができない状態を指す言葉。
【洗脳】
特異な環境下で一貫した徹底的な教育を行い,従来もっていた思想,信念などを洗い流して新しい思想、信念を植えつけること。
【分離不安】
猫に最も多い不安の原因は、分離不安という。分離不安は、飼い主の姿が視界から消えたり、留守番させられたりすることによって見られる行動。
【ストックホルム症候群】
誘拐や監禁などにより拘束下にある被害者が、加害者と時間や場所を共有することによって、加害者に好意や共感、さらには信頼や結束の感情まで抱くようになる現象。
どの言葉が当てはまるだろうか。
コメント
4件
うわうわなんかもう夢主チャンがイザナの望む猫みたいになっちゃってるのやばいね🤦🏻♀️ 本心では否定してるけど結局はイザナに依存しちゃってるの好きすぎる🥹💗
ちょっとまってちょっとまって 共依存じゃん…👉🏻👈🏻🩸 もうだいすきなやつじゃん😿 凄い叫びそうな気持ちでいっぱいですっ ̫ ᴗ^♡ 「依存してないフリ」が 1番印象に残りました😽😽💞 ほんとにこれ今まで夢小説 見てきた中で1番だいすき😿🩸