「師匠のトコへ向かうのはいいけど、あの“黒いヤツら”放っておいても大丈夫なの?」
ヤツら??ーーーおい。
「うん。大丈夫だよ、浮遊霊は元々無害だから、これ以上のことはしないよ」
なんとも言えない引っかかりはあるが。まずは、師匠にあって見ないことには始まらないな。師匠の住所はボクしか知らない。多少の長旅になるが、ボクに任せるしかない。なぜか、僕には教えてくれないんだよなぁ、あの人。
「たぶんさ。師匠に預けたアイス食われて、キミが師匠を半殺しになるまで角材でブッ叩いたからだろ?知らないけど」
あったか?そんなこと。
「便利な頭してるね。あんなグロい惨劇を忘れられるなんて」
頭はおまえだって一緒だろーが。
「・・・ヤツら。っていってたね」
気づいてたのか。
「どう思う?」
そうだな。僕としては、篠原が見たのは『オーブ』と呼ばれる弱い霊の集まりじゃないか、と思うんだが。きっと、師匠はちがう答えを出すんだろうな。あの人、根性ひん曲がってるから。
「ホント、嫌いなんだね」
ふん。だってな?師匠は職業『陰陽師』なのに、なんで僕らは『にーと』なんて呼ばれなきゃなんねーんだ。不公平だろ??
「努力していれば、きっと母さんと父さんも分かってくれるさ」
どうかな。あのふたりは多分・・・
・・・あ、もう着いちまったのか?
「キミが色々話してる間に、ね」
参ったな・・・・、来るぞ。
「やぁ、やぁ」
薄暗いバーのカウンターから、爽やかボイスが聞こえ、スーッと傘付きのミックスジュースがカウンターテーブルを滑って僕らのちょうど正面で、ピタリと止まった。
頭に生えている毛の50%をオレンジ色のに染めた奇抜な格好(本人曰く、“果汁50%”フレッシュ染め)をした、細身で長身の男が薄暗いバーのカウンターでニコニコしているのが、僕にも、ボクにも『気色が悪い』ほどよく見えた。
まじで、キモい。
なんつーか、ゲジやゴキなんかと同種のキモさ。あまりのキモさに、鳥肌が立つレベルのキモさ。キモすぎて直視できない。とにかく、キモい。
「あん♡カワイイ弟子ちゃん、そんな見ちゃイヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」
明らかに、ピョンピョン跳ねて、自分から見せびらかす様子はさながら『水族館のイルカ』のよう。まぁ、キモいのは変わりねーけど。
そのまま、海の藻屑(モクズ)になりゃいいのに。
・・・ホントに由緒ある陰陽師の末裔か?こいつ。
「で、ボクらの師匠っていう、ね」
信じられねーな、マジで。
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