コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
海は金網にもたれかかったまま、広がる空を見上げていた。
夕陽が差し込む屋上は、静かで、教室の喧騒とはまるで別世界だ。
「……やっぱいいな、ここ。瀬戸と俺しかいないなんて、特等席だろ」
「特等席?」
思わず聞き返すと、海は笑いながら頷いた。
「そう。人混みもないし、眺めは最高。しかも、隣にいるのは瀬戸だし」
「……なんで、そこで私の名前が出るの」
「だって、そうだろ。俺は結構、気に入ってるからな」
無邪気に放たれた言葉に、胸がわずかに跳ねた。
柚希は返事をしないまま、視線を夕空へと逸らした。
けれど、頬の熱だけはどうしても隠せなかった。