テラーノベル
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宰相は魔霊の情報を持ってあらわれた男を、魔霊狩りの隊長の地位に据えた。これ以降、この男を「魔霊狩り」と呼ぶことにしよう。
魔霊狩りは、どこからか数百人もの鎧を着た騎士たちを集めてきて、それを魔霊狩りの部隊とした。騎士たちはある日忽然と姿を現し、魔霊狩りが拠点にしている砦に集まると、そこから一歩も出てこなかった。そのためこれだけの数がいるにもかかわらず、この騎士たちが何者か、誰も知らなかった。また、この騎士たちがしゃべるところを見たものも誰もいなかった(そもそも、この砦に近づくことを許されたものはほとんどいなかった)。
実は魔霊狩りは「妖虫使い」であり、これらの騎士も鎧の中身は虫であった。魔霊狩りは他人をだれも信じず、自分の力だけでこの任務を遂行するため、長い時間をかけて妖虫の騎士を準備したのだった。
それも周到に準備されたものだった。あらかじめ村の周囲に、魔霊と外界とのつながりを断つ結界を張り、村人たちが異変に気付く前に襲ったのである。
魔霊……村人たちは「精霊」と呼んだ。精霊とは自然の力の具現化であり、外界とのつながりを断たれれば、その力は大きく弱まる。魔霊狩りはそこを突いたのだった。
唯一の例外は大地の精霊だった。結界が遮断したのは地上の自然とのつながりであり、地下深くまで及んではいなかった。大地の精霊は地下を通じて世界とつながっていたのである。地面が隆起し、土と岩の巨人があらわれ、妖虫の騎士たちをなぎ倒していった。
だが、魔霊狩りはその対策も用意していた。土と岩の巨人を動かす、精霊の核となるもの、魂のようなものを、用意した水晶のようなものに封印してしまったのだ。巨人は動きを止め、村人たちになす術は残されていなかった。
村を制圧した後、精霊使い……魔霊狩りからすると「魔霊使い」が集められた。不思議と魔霊の声を聴き、その力を使うことが出来るのは若い女性に限られていた。村中の若い女性が、言葉をしゃべれぬ赤子をのぞいて、すべて集められた。小さな村ゆえ数十人のことであったが、彼女たちはどこかに連れ去られてしまった。
彼女らが連れていかれたのは、魔霊狩りが最初に与えられたあの廃墟の砦であった。ここにも魔霊の力を断ち切る結界が施されている。彼女たちはここに監禁されるのだろう。……が、それだけでは済まなかった。彼女たちは一人残らず、順番に妖虫を使った拷問にかけられた。一人ずつ、残りのものに見せつけるように、体を拘束され、全身に幼虫を這わされ、醜い虫たちにもてあそばれた。彼女らの中には幼女と言っていい年齢の者もいたが、誰一人例外は許されなかった。
しかし、この拷問は何のためのものであったのか? 結界の施された砦に監禁された時点で、彼女らは無力であったというのに。……噂では、この拷問の場には、魔霊狩りだけでなく、聖人とうたわれた宰相も加わっていたという。
宰相を知るものは、誰もがこの噂を否定した。そんな馬鹿な、あの聖人宰相と呼ばれたお方が、そのようなことを、と。しかし、魔霊狩りの許可を出したのは他ならぬこの宰相であった。あの宰相が、なぜこのような残虐な真似を許すのか? 宰相を慕うものは、魔霊がそれだけ危険な存在なのだ、と主張した。それでも、無力化された女子供を拷問している理由にはならない。なぜ、あの宰相がこのような蛮行を止めないのか。その疑問に答えられるものはいなかった。
その後、宰相は少しずつ変わっていった。政治の手腕の確かさは今まで通りだが、そのやり方から少しずつ優しさが失われていった。そして気がつけば、その行いは目的のために手段を選ばぬ冷酷なものに変わっていた。
人々の中には、あの魔霊狩りが宰相を操ったのだ、と噂する者もいた。だが、宰相の手腕は相変わらずであり、とても他の人が操っているようでもない。人々が困惑する中、ある事件が起きた。ゾットビアの幼児虐殺である。
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コメント
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うわあああ重い…!!😭💔 魔霊狩りの準備が周到すぎて逆に怖いし、何より“精霊使い”の少女たちへの拷問シーンが胸にグサグサ刺さったよ…。あの宰相までもが加わってたって噂、信じたくないけど伏線っぽくてゾワゾワする…。ラストの「ゾットビアの幼児虐殺」で一気に背筋冷えたわ。続きが気になりすぎる!🕯️🌸