注意事項
・一話参照
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ピピ。
「…すぅーッ。まじか。」
体重計から降りたり乗ったりを何度も繰り返すが、表示されている数字は変わらない。
ciは大きく溜息をつき、台パンをする。
八つ当たりしても数字は変わらない。
「…よし、ダイエットしよう。」
今日はut兄さんとshpとでステーキ屋に行くのだが、これ以上増えたらまずい。
だけれども、軍団の食事に行かないのは損である。
そうだな、サラダバーだけ貰うとしよう。
ciは服を着替えて、部屋を出る。
「よっ、ci。」
「shp!ちーす!」
ダイエットしてることバレたら笑われそうだ。
黙っておこう。それが良い。
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ヘッドホンを付け、音量をあげる。
感動映画に音声は大切なもので。
ciはパソコンを床に置き、ヘッドホンと耳をくっ付けて集中する。
女の人は余命を知らされていて、男の人はそれを知らない、そういう内容の映画である。
ciは恋愛映画をあまり嗜まない(A○は別として)のだが、流行りは知っておくべきだ。
『私ね…、実は。』
『どうしたの?』
男の人の優しい笑顔を見たら、言えないに決まってる。
いやでも、女の人ももっとグイグイ行くべきでは?
全部を映画に注ぎ込むように集中して見る。
「…あッ、充電、」
パソコンの充電が僅かになり、慌ててコードを手に取る。
その拍子にヘッドホンを落とした。
「うわッ…、っ、え?」
扉がガチャガチャと暴れている。
誰かいるのを気づかずにいたらしい。
ciは慌ててパソコンとヘッドホンをベットの下に押し込み、何もしていませんよ?感を出す。
「…ぐすん。っ、あ。」
何してんだ俺ェー!!!!!!
ciは映画で号泣していたため、目も鼻も口もびしょびしょであった。
そして、扉が静かに開く。
感動映画で号泣だなんて知られたら、これもまた笑われるに違いない。
ciは慌ててそっぽを向き、涙を止めるように唇を噛み締めた。
「ci。」
utの声が聞こえたと思えば、隣に座ってきた。
映画館っぽく暗くしていた部屋に、明かりが着く。
「ci、どうしたん。」
utがこちらを覗き込んでくる。
さらにshpが近寄ってきて、背中を摩ってきた。
…………??
ん?
あれなんか勘違いしてる!?
恥ずかしさと面白さで、慌てて顔を手で隠す。
その間も、背中は円を描く手のひらを感じ取っていた。
「ん、落ち着き。大丈夫やから。」
扉が閉まったと思ったら、今度は頭を撫でられた。
コイツらなにしてんねんッ!!!
ciは吹き出しそうになるのを必死に耐えてみせた。
「ぐすッ…、ぅ"、ぁ"ぅー…、」
「んー、よしよし。」
涙がまた溢れ出すと、utがまるで赤子をあやすような優しい声を出す。
それがとんでもなく面白いわけで。
「…ぶふッ、ぁ"、げほッ、がッ。」
耐えられず、吹き出してしまった。
shpの手がぐ、と背中に押し付けられるのも、また面白い。
「ci、今は1人の方がええかな。」
「ひぐッ…、う"、う、。」
「ん。じゃ、shp行こか。」
「…っす。」
吹いたせいで咳き込み、涙が勢いよく飛び出す。
なんか勘違いしてんなあ。
ciは2人の足音が消えた頃、大きく笑い声を上げた。
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「ぶぇァッくしょ"んッッ!!!!!!!」
大きく飛び跳ねて、くしゃみをする。
この時期は花粉が飛ぶので非常に辛いものだ。
ciは花粉症で、アレルギーでもあった。
今日は特に酷い。
目も痒い。鼻水は止まらない。咳はトリプルコンボ。
トイレで喉奥に詰まった痰を吐き出そうとしていると、shpとzmがやってきた。
zmはciと目が合うと嬉しそうに駆け寄ってきた。
「ci〜。」
だが、今のciは花粉症と戦っている。
それどころでは無いのだ。
真っ赤な目でzmを見ると、zmはぴた、と動きを止めた。
「えっ、ぁ…ci、?」
「ぐずッ…、ぅ"、zm、さん。」
「ど、どうしたん。目ぇ真っ赤やで、」
zmが心配そうに見てくる。
掻きすぎてしまったらしい。
ciは恥ずかしくなってしまい目を両手で隠した。
「擦りすぎたんかな…、」
と呟く。
shpが優しく背中に手を添えて、こちらを覗くように見る。
「なにがあったん。」
ciは目をしぱしぱとさせながら、珍しく特別優しいshpに頭が追いつけずにいた。
「…、あっ、いや、か、かふん。花粉症やねんな。」
「……そう。」
shpはzmを引っ張って出ていった。
ciは目薬を取り出し、静かに一滴を落とした。
「…、花粉症って移るんかな。」
バタバタと出ていった2人を不思議に思いながら。
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薬を飲んで、布団に飛び込む。
軍団で飯に行ってから、utを見なくなった。
というか、避けられている気がする。
俺がサラダバーだけ食べたからだろうか。
それとも、ダイエットがバレてしまったのだろうか。
ciは自身の腹の肉を触りまたため息を着く。
散歩でもしようか。少しはダイエットにもなるだろう。
ciは自室を出てるんるんと散歩を始めた。
すると、会議室に明かりが着いているのを見つけた。
「…あれ、もしかして遅刻、!?」
慌てて走り、扉の隙間から中を除く。
怒ってないかな、と不安になりながら。
ドンドンッ。
utがイライラしたように机を叩いていた。
やっぱり怒ってる!!!
ciは怖くなって震えていると腕が当たり扉が開いてしまった。
皆が一斉にこちらを向く。
怖くて数秒間固まっていた。
俺が遅刻したからだ!!こんなに怒らせて、幹部失格じゃんか!!!いやだ!!
ciは赤子に帰って泣きたい気持ちを抑え、走り出す。
幹部失格って言われなければセーフだよな!うん!
とにかく、逃げようと考えた。
皆の事だ。明日になれば笑ってくれる。
そう信じて走る。
後ろからの足音が止まないどころか早くなる。
仕方なく、ciは足を止めた。
「ci待って。話を聞いてくれ。」
「…なんの話してたん、」
息を落ち着かせながらtnはciの腕を掴み、引き寄せた 。
tnはじっとciを見つめると俯いてしまった。
失望されたのだろうか、とciも黙り込む、
そう思っていると、tnは強く手を握った。
「ちょっとな。ほんましょうもない話。ciも聞きたい?」
「…、聞いて、いいのなら。」
しょうもない話なら、別に遅刻でもよかったわけか。
ciは少し安心して力を抜く。
tnに引っ張られて談話室へと連れていかれた。
ソファに腰をかけたtnが手招きをするので、隣に失礼させてもらった。
なにを言うかと思えば、
「ciの好きなもんを当てようゲームしててんな。主催者はー…ぁ、emや。うん。em。」
そう、tnは真面目な顔のまま言った。
「emさんが…??な、なんで?」
「さあな。知らんよ。でも急に始めたんや。そんだけやで。」
遅刻したのではなく、ciに内緒でやっていたのか、emも可愛らしい所があるではないか。可愛くないけど。
と、ciは納得する。
tnは、続けてciの頭をわしゃ、と撫でた。
「なあci。」
「…?」
「お前の隊員で、苦手なヤツとかおらん?」
「苦手なヤツ…?それまた、なんで?」
「あー…っと。ああそうそう。移動を考えてんねんけど、どうせなら苦手なヤツ居なくなった方が良くねーって。」
ciは少し考えた。苦手なヤツのことではなく、実力的に移動できるヤツを考えた。
それから、にぱっと笑ってtnを向く。
「おらんよ。移動先ってどこ?」
「えっあー…えええー、knや。kn。」
「そんなら、xxくんとか、yyくんとかどー??あの2人は、kn部隊の戦法に合うと思うねん。」
あの二人は、才能あるし上に進んだ方がいい。
自分にしては素晴らしい回答だと思っていたが、tnはクソデカため息をついた。
ciは驚き、真ん丸にした目を向けた。
tnから見たら、あの二人はダメなのだろうか。
だとしたら、誰が良いか…。
ciはさらに考えようとした。
また、tnの手がciの頭を撫で回すのも、どういうことだろうかと。
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「ん…ぁれ、tn、?」
眩しい光に何度か瞬きを繰り返す。
いつの間にか寝ていたようだ。
tnの肩に頭を乗せていたらしい、居心地は意外と良かった。
tnは手に持とうとしていたカップを離して、ciの頭を撫でる。
今日はたくさん撫でられるな、と思いながらもしっかりとそれを受け取る。
「んん…、ぁ、おれ、ねちゃって、」
「ci、おはよ。」
「んぇ、?あっ、あれ…みんなおるやん、」
shoが笑顔でひらひらと手を振るので、寝ぼけた頭を頑張って動かし小さく手を振り返した。
tnの肩に預けっぱなしの頭を起こし、tnの隣に体勢を直して座り直した。
「ci、まだ眠かったら寝てもええんやで。」
「んゃ…、大丈夫、ありがと。」
目を擦りながら、視界をクリアにしていく。
周りを見渡すと、コーヒーを飲むemを見つけた。
そういえば、と思いciはemに近寄る。
emはciをぽかんと見つめていた。
「emさん、俺の好きなもんわかった?」
「えっ…、ぁ、す、え?」
emがきょろ、と目線を泳がす。
分からなかったのかな?まさか、めんつゆとか言い出すんじゃないだろうな?
と、ciは内心ニヤつきながら返答を待つ。
「ciに言ってもうたよ。emがciの好きなもん当てようゲームしてたの。」
「あっ、あー。い、言ってもうたんか、恥ずかしいワー。」
emはヘラヘラと笑う。
ciはemに詰め寄った。
全然違う物を言うのだろうか、それともバチ当てするのだろうか、と。
「わかった、?」
「えっ…、」
「わからん…、??おれの、すきなやつ、」
ciの声が小さくなっていく。
いつもはciに当たりの強いemだが、ciが後輩らしい行動を取ればemは優しくなる。
それを理解しているciは、わざと悲しそうな表情を向けてみた。
さて、どう動くかな。
emを待っていると、utが立ち上がりciの肩に腕を回す。
「ciは俺らが大好きやろぉ〜??」
utはぽすぽすと背中を叩きながら笑う。
ciは真っ赤になりそうな顔を下に向ける。
utにバチ当てされるなんて思いもしなかった。
いや、会議ということは、全員に知られている!?
ciは咄嗟に否定しようとした。
だが、否定できるはずもなく。
「…まあ嫌いではないかな、」
「…。ふは、俺らが何回奢ったと思ってんねん!」
好かれてる自信があるのかよ、とciは笑った。
ふつふつと、次第に恥ずかしくなっていく。
耐えられなくなりciはutから逃げ出す。
「それは、ほんまあざすって感じ!」
これからも奢ってくれよ!とciは感謝混じりに伝えて、談話室から飛び出した。
好きな物、食べ物とかが来ると思っていたものだから。
ciは真っ赤に染まった頬を両手で強く叩いた。
これ続き需要ありますか
コメント
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需要しかない( '-' ) 続き気になり過ぎてハゲる
え??需要なんてありありありのありまくりですよ。 みんなが勘違いしてんのおもろいなぁ...w(2回目の人