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誰も知らない、高嶺の花の裏側3
第118話 〚視線の意味〛
― 海翔視点 ―
最近、
先生の視線が
気にならなくなった。
前までは。
何か起きないか。
誰かが
踏み込みすぎないか。
――監視。
そういう目だった。
でも今は、
違う。
教室の端。
廊下。
階段。
見てはいる。
でも、
構えがない。
(……ああ)
これは、
警戒じゃない。
確認だ。
澪が、
ちゃんと笑ってるか。
無理してないか。
それを見て、
先生は
何も言わない。
(信じてる、
ってやつか)
正直、
助かる。
俺は、
全部を
一人で背負っていた。
守るって決めた以上、
誰にも頼らないつもりだった。
でも――
いつの間にか。
先生は、
一歩引いた。
管理しない。
でも、
見捨てない。
それが、
分かる。
昼休み。
先生と
目が合う。
一瞬。
で、
小さく頷かれた。
(……了解、って顔だな)
俺も、
何も言わない。
澪は、
気づいてない。
気づかなくていい。
先生が
味方になった理由も。
女子たちが
動いている理由も。
俺が、
立ち続けている理由も。
全部、
説明はいらない。
必要なのは、
この空気。
守る人が
一人じゃない空気。
信頼されてる、
という空気。
先生の視線は、
もう重くない。
むしろ――
背中を預けられる。
そう思えた。
俺は、
少しだけ
周囲を見る。
配置は、
崩れていない。
大丈夫だ。
このまま、
進める。
先生の視線が、
“警戒”じゃない。
それに気づいた瞬間、
俺の覚悟は
少し軽くなった。
――でも、
立つ場所は変えない。
それだけは、
決めている。