テラーノベル
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橙「物販行こや!」
今日はしゃるがライブに連れてきてくれた。
どうやらこのアーティストさんは物販にちょくちょく顔を出すらしい。
だから、絶対に物販に行きたい。
青「走らないでね〜w」
青「わかんなくなっちゃうでしょ?w」
橙「しゃるの髪青いやん!」
いままで人が多いところに行くことはあったし、そのたびにしゃると合流できてるから大丈夫なはず。
青「そういうことじゃないでしょ?w」
「いま物販に出てきてるって!!」
「まじで?!早く行こ〜」
橙「はよしてや!」
青「ちょっと、うるみやッ…」
橙「おわッ…」
しゃるが遅いから少しだけ歩きだしていたら、人の流れに飲まれてしまった。
どんどんしゃるが離れていく。
まあ、離れていっているのは俺だけど。
ものの数分でどこにいるかわからなくなってしまった。
橙「ここどこや…」
橙「とりあえずスマホ…」
橙「充電切れとる…」
あたりを見回すと青い髪の人がちらほら。
しゃるの声はしないから、きっとこの近くにはいない。
人波をかき分けて君を探す。
ドンッ
橙「うわッ…」
人にぶつかって転んでしまった。この人混みの中で座り込んでしまった。
周りの人は少し冷たい態度でこちらを向いていた。
怖い。どういう顔でうるみやを見てる?うるみやは今どんな顔をしてる?
恐怖で足に力が入らない。怖い。助けて。こんなとき、しゃるがいたら_。
青「うるみやッ!」
人混みの中から大好きな声が聞こえた。
青「もう…」
青「勝手に離れないでってあれほど…」
橙「しゃるぅ…」
ふいに涙がこぼれた。
よかった。見つけてくれた。ごめんなさい。
青「このまま見つけられなくなるのかと思った」
少し震えた声でしゃるが言った。
顔は見えないけど、とても柔らかい顔だった。
ねぇ、君は今どんな顔でうるみやを見ているの?
君の顔が知りたい。
こんなに強く願ったことはこれが初めてだった。
コメント
4件
てぇてぇ。尊すぎて語彙がなくなった〜。素晴らしい作品ありがとうございます😭