「はぁ…」
事務所の人通りの少ない階段の下で…宮舘は、人目を避ける様に頭を抱えて座っている
「はぁ…」
先程から口をついて出るのは、ため息ばかりで…表情も暗く負のオーラを漂わせていた
『どうして上手くいかないんだ…』
久しぶりに出たテレビだったのに、上手く自分をアピール出来ずに空振りに終わった…
こんな事では、その他大勢から抜け出せない…
グループに入れたからといって、スグに人気が出るわけでもなく…
印象に残る何かが無いと…ずっと前に出られない
得意のダンスやアクロバットだって、うちのグループには他にも上手い奴らが沢山いる…
焦りだけが募っていき…そのせいで、何をやっても上手くいかない
「はぁ…」
再び深いため息を吐いた宮舘の前に、1人の男が現れた
「涼太、大丈夫?」
現れたのは【渡辺翔太】同じグループのメンバーで、幼馴染でもある彼は…宮舘の顔を覗き込んで心配そうに尋ねて来た
「何か用?」
虫の居所の悪い宮舘は、心配して声を掛けてくれた渡辺にあたってしまい…
睨みを効かせ、ドスの効いた低い声でそう答えた
「ずっと悩んでるみたいだったから…俺、心配で…」
「翔太に助けて欲しいなんて、頼んで無いから」
ツンケンとしたその態度に、渡辺の顔が悲しそうに歪んでいく
「そうだよな…ごめん」
渡辺はグループの中で一番歌が上手く、テレビで歌を披露する時は…決まって前の、良く映る良いポジションに立っていた
勿論、歌割りも多く…テレビで歌う時は、1人で画面に抜かれる事も多く優遇されたメンバーといえる
『そんな奴に、俺の気持ちが分かってたまるか…』
幼馴染という関係性も、自分を惨めにさせる要因で…
やさぐれている宮舘は…渡辺が黙って去って行くのを、声もかけずに見つめていた
コメント
2件
こういう感じの始まり方のゆり組新鮮!!😳