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「……!」
振り付けの練習が終わり楽屋に戻ろうとした宮舘は、手に持っていたはずのタオルがない事に気づき…慌ててスタジオに引き返した
「……?」
練習が終わってから、しばらく友人と喋っていた宮舘は…スタジオの扉を開けて疑問を感じる
いつもなら練習が終わると…消灯して施錠するはずのスタジオに、今だ明かりが灯っており…こうして鍵も開いている
「まだ中に誰か居るのか?」
不思議に思って中を覗くと、そこにいたのは同じグループの渡辺翔太…
「アイツ、何やってるんだ?」
訳が分からず、しばらくそのまま見つめていると
渡辺は自分のスマホで音楽をかけ、曲に合わせて歌い出した…
伸びやかな歌声…あんな声が出たら良いと、いつもそう思って聞いていた
「………」
しかし、渡辺はそうでは無いらしく…納得のいかない様子で首を捻り、また最初から歌い出す
どうも、高音の部分が気に入らないらしい
「駄目だ…」
水を飲んだり、発生練習を始めたり…
何度も何度もやり直し…気に入らなくて、ため息を吐く
こんな所で誰にも言わず、1人、黙々と努力を続ける…そんな姿を見せつけられて…
気にかけてくれた渡辺に、以前あたってしまった事を後悔した
恵まれたメンバー、グループ内格差…
あの時は、渡辺の事を羨ましく思い…ついつい口調が強くなった
自分だけが、報われない努力をしている様な気がして…意固地になって冷たく接した
「………」
努力をしているのは皆、同じで…
それでも渡辺はあの時も、何も言い返しては来なかった
急に自分が恥ずかしくなり、少しだけ開けていた扉を大きく開け放ち
勢い良く中に入って目の前に立つ
「すまなかった」
勢い良く頭を下げると、渡辺が目を丸くして驚いている
先ほど自分が感じたありのままを、渡辺に伝えて謝った…
「もう分かったから…頭上げて」
そう言われて顔を上げると、2人の目がパチっと合った
「涼太と気まずいままでいるの辛かったから…仲直り出来て凄く嬉しい」
「…!///」
笑顔でそう告げられて…思わず胸が高鳴った
それから翔太の事が気になる様になり、側に居たいと思う様になった