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「これ、受けます。」
そう言うと、さっきまで裏に居た受付嬢が出て来る。
『承知しました。ゴブリンの群れ討伐、4等星の依頼です。』
『冒険者カードをご提示ください』
まるで機械かのように、正確で、
心のこもっていない声に違和感を覚える。
少し胸がざわッとして、すぐに消える。
「…っ、」
『冒険者カードをご提示ください』
「、あっ、えぁ、はい、っ」
何でだろう。
いつものはずなのに、やはり何かが欠けている。
「、…忘れよ」
何のことかも覚えていないのに、ナニカを必死に忘れようとしてしまう。
でも、何処か、頭の何処かに、
忘れるなって声が響いてて、
どちらも自分自身のはずなのに、惑わされて選べない。
「行くか」
「、、あはっ」
「…え、?」
気が付いたら、目の前に死体があった。
胸や首を、的確に魔力で切り裂かれ、抉り取られている。
「…? これ、魔石?」
右手に生温かさを感じて、視線を向ける。
「うわぁ”ぁ、?!」
そこには、まだ緩いくらいの血や
細かくなった肉がへばりついた魔石が、五つほど握られていた。
「、、まさか、これ、わたしがやったの、?」
少し薄らと目の裏に残る映像は、とても平和とは言えない。
首を、腹を斧で切り裂き、魔石を肉ごと抉り取る。
それを笑顔で行っていたのは、私だった。
「リュック、重い」
まさか、と思って覗き込むと案の定、大量の魔石と、ゴブリンの耳、皮などが詰められていた。
「…っ、」
「ひっ、ひとまず、依頼達成の書類出さなきゃ」
動揺しながらも、淡々と手続きを済ませる。
その最中に私は、一切の疑問も、罪悪感も、何も持っていなかった。
ただただ、気分が良かった。
ゴブリンを、鼻歌交じりに虐殺するのが心地よかった。
「…」
[楽しいね!すいちゃん、!]
「うん、!」
「…うん、?」
[サイコパすいせいだねぇー、!]
「、あぁ、うん、」
「そだね」
あ、そっか、この声。
みこちなんだ。