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赤葦の計画だったら赤葦京治大好き同盟(これだったっけ。多分違う。申し訳ない。)が黙ってないね。
赤葦くん2年、木兎さん3年の設定で2月に部活?とかは気にしたら負けです。 ここではサザエさん方式だと思ってください。
2月14日、木兎は浮かれていた。
恋人との初めてのバレンタイン。
手作りチョコが欲しいと言ったら「しょうがないですね…」と言った赤葦が来るのを今か今かと待っていた。
部室には木兎とその他のバレー部員達がチラホラ登校してきていた。
赤葦はいつも最初の方に来るのに今日は遅いな〜と考えていたら部室の扉が開いた。
「はざっす」
軽く頭を下げながら部室に入ってきた赤葦の手には紙袋。
紙袋…?
「なぁ、赤葦…その紙袋って…」
「はい。俺の手作りチョコレートですよ。はい、どうぞ。」
赤葦は紙袋の中から小さな袋を1つ取り出し木兎に渡した。
紙袋にはまだたくさんの袋が入っているのが見える。
「ありがとう、その…紙袋の中のって」
「これですか?作りすぎちゃって、チョコレート作るのって以外と楽しいんですね。」
「そうなの…っておいおい!」
平然とチョコレートを部員に配り始めた赤葦にストップがかかる。
「なにしてんの!?」
「何ってお裾分けです。俺一人じゃ食べきれないし…」
「だからってなんで…俺が食べる!」
「ダメですよ、木兎さん。そんなに食べたら体に悪いでしょう。」
騒いでいる僕との前で赤葦からのチョコを受け取るなんてどんな罰ゲームだ。
と部員達は思っているが、1年生が先輩を断れるはずがないのが運動部の宿命。
3年生も可愛い後輩から渡されて無下にする訳にもいかなかった。
部員たちに残された道は木兎に脅えながら受け取るしかない。
「俺、彼女からしか受け取らないって決めてるから」と断ろうとした先輩(木葉)もいたが、
「誰でもいいからチョコ欲しいって昨日言ってましたよね?…あと、彼女って…」と傷をえぐられただけで受け取らざるを得なかった。
朝練が終わっても木兎はしょぼくれモードのままだった。
「何拗ねてんすか…たかが義理チョコくらいで」
木兎はその言葉を聞くと静かに立ち上がると何も言わずに部室から出ていった。
たかが義理チョコと恋人への本命(なはず)チョコが同じもの…?
納得のいかない木兎だったがキッチンに立つことなんてほとんどないと言っていた赤葦に手作りをねだって作ってもらったのを思い出したら申し訳なくなってきた。
たとえ義理チョコと同じものでも赤葦が一生懸命作ったものには変わりない。
あとで謝ろう…。
そう思った木兎が今いるのは2年の土間。
赤葦より先に赤葦の靴箱を確認しに来た。
もしチョコレートが届いていたりしたらテイチョウに処分させていただきます。テイチョウの使い方ってこれであってるっけ…?
と心の中で呟きながら靴箱の扉を開ける。
そこにあったのは赤葦の内履きのみだった。
安心した木兎は自分の土間へと向かっていった。
そこで気になったのは自分宛のチョコレートの存在。
昨年は「試合見た、かっこよかった」といった内容の手紙とともにいくつかのチョコレートが木兎の靴箱に入っていた。
今年だってきっと届いてるだろう…
先程、赤葦にあんな態度を取ったことに関しては悪かったと思ってる。
だがしかし、自分以外にチョコを配るのは別の問題。
自分宛のチョコレートを赤葦に見せつけ嫉妬させてやろうと思ったらしい。
今朝までは「赤葦以外のチョコは受け取らない!」と言っていたが気が変わったようだ。
いくつ入ってるか期待しながら開けた木兎の靴箱に入っていたのは1つのチョコレートのみだった。
とはいえそれは明らかに本命ですと言わんばかりの包装がされている。
一体誰からだろう。誰からだったら赤葦は嫉妬してくれるんだろう。
手に取り名前を探してみると手紙がついていた。
そこには
『木兎さんへ』
『好きですよ。』
とだけ綺麗な文字で書かれている。
メッセージのしたに控えめに添えられた差出人の名前は
『赤葦』だった。
つまりこれは…
「あ〜やられた!赤葦のバカ…!」
いつもより遅れて来た赤葦と義理チョコとしか言わなかったあのチョコレート。
全てが繋がり全てを理解した木兎はまんまと赤葦の思惑にはまり悔しい反面、わざわざこんな可愛いサプライズを仕掛けてくる恋人を愛おしく思った。
「ホワイトデー、覚えてろよ 赤葦!」
今年のバレンタイン、木兎の靴箱に1つしかチョコが入っていなかったのは1番最初に入れられた本命チョコがあったからだとか。
木兎の恋人と知られている赤葦からの完璧すぎるチョコレートとともに自分のものを入れておくなんて無謀な挑戦の結果は目に見えていた。
そこまで赤葦の計画だったのかは…
「どうでしょうね。」