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「あなたのことが好きです」
そう伝えた時、先輩からは
「そっか…」
と短い返事が帰ってきた。
先輩は笑っていたがどこか悲しそうな表情をしていた。その後少しの静寂のあと先輩が
「少し歩こっか」
さっきとは違った笑顔でそう言った。俺は頷き二人で雨上がりの河川敷を歩く。雨上がりの土の匂い、夕空に響くカラスの鳴き声、隣には死んだはずの先輩が笑っている。こんな幸せな時間なのに、俺はさっきの先輩の返事と表情が忘れられない。そんな中
「明日もまたここにきてよ。私待ってるから」
そう言う先輩に俺は
「もちろんだよ」
と笑顔で答えるのだった。
家に帰って風呂に入るとその後のことはあまり覚えていない。どうやら、寝てしまったらしい。まだ暖かい布団を抱き寄せ二度寝しようとしているとベットの横から
「おはよ起きた?」なぜか当たり前のように居座っている先輩の姿がそこにはあった。
「うわぁ!なんでここにいるんだよ!」
と言う俺に先輩はニコニコしながら
「待ちきれなくって来ちゃった」
なんの悪気もないような無垢な笑顔でそう答える先輩。男子の部屋に当たり前のように 入ってくる不用心具合に俺が呆れているのをよそに、
「にしても前来た時と全然変わってないねぇ。懐かしい部屋も綺麗にしてるみたいだし偉いぞ後輩」
など、どの目線で話をしているのかわからない先輩に
「着替えるんで出てってください」とお願いすると。
「後輩くんの鍛え上げられた体を見ることは先輩としての義務なのです!」
と意味不明なことを言う先輩を半ば無理やり追い出して支度を始める。
重たい体を動かして下に降りると母が朝食の準備をしていた。フライパンで目玉焼きを焼きながらチラリとこちらを見て
「あら、今朝は早いわね」
それに俺は目も合わせず眠たそうに答える。
「葵先輩が起こしに来たんだよ知ってるだろ?」
と当たり前のように言う。すると母は「葵ちゃん夢の話?あんた寝ぼけてんじゃないの?」
と自分が家に入れたはずなのによくわからないことを言う母に俺は少し苛立って
「じゃあなんで葵が家の中にいるんだよ」
そう聞くと母は呆れながら
「寝ぼけてないでさっさと食べちゃいなさいせっかく早く起きたのに遅刻するわよ」
と会話をバッサリと切ってしまった。
今朝はなんだかとても疲れた学校に着いたら少しだけ休もう。そんなことを考えていると先輩が
「学校って久しぶりだなぁみんな元気してるかなぁ」
もう大学生のはずなのに高校の制服を着ている先輩に違和感を感じ
「てか、なんで高校の制服なんだよ。先輩もう大学生だろ?」
先輩は
「そうゆう気分だったのいいでしょ別に」
と昨日の河川敷で見せたような表情をしながらゆうのだった。、