それはあなた方が我々のことをよく知っているからです。
我々は確かに、この世界とは異なった世界に生きていました。そこで行われていたことは紛れもない事実なのです。私はそこより逃げ延びて来ました。そして今もなお、そこから逃れようとしているのです。あのような、無明の世界へと続く穴から。
───私はあの地獄から抜け出せるのであれば何でもするつもりだ。それこそ悪魔との取引でも構わない。……ああそうだとも! あの時、私の目の前で次々と消えていく仲間たちの姿を見た時に、私は誓ったのだ。必ずやその地獄を終わらせると。その為ならどんなことでもしてみせるさ。
「えぇ、私はあなたの行いを否定しません。ですが、どうか落ち着いてください」
そんなもの、信じられるわけがないではないか。私にはもう時間が無いんだ。今こうしている間にも、あいつらは、奴らは……! いいか、よく聞け。
あの時何が起こったのか教えてやる。だが、お前はまだ聞かない方がいいかもしれない。これはきっと辛いことだからだ。……あぁ、そうだ。私はあいつらに捕まったんだ。
いや、正確には捕まりかけていたという方が正しいだろう。
私がこの海の底に沈んでしまうまで、あと僅かだったんだからな。
あれはちょうど、今日のような天気の悪い日のことだったよ。
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