注意書___
・初心者の為下手です。
・全てフィクションです。
・長め?。
↓其れでも良い方はどうぞ。
「初めまして」
会社からの帰り道、月夜と共に街灯の灯りが照らされる場所で少女に声をかけられた。
「………ぇッと、初めまして、?」
咄嗟に返した為拙い返しになってしまったが、それも当然だろう。
夜に知らない少女に声を掛けられ、戸惑わない人間何て居ないと思う。
その少女は髪が雪の様に白く、紫陽花の様な紫の瞳を持ち、何処か寂しそうな雰囲気を纏う不思議な少女だった。
「………私に、何か用で、?」
私は自分が声を掛けられた事が疑問で、口を開き少女に尋ねた。
「いいえ?」
(うん?なら何故声を掛けた?)
そう口に出そうだったが、その疑問点は少し置いておく事にした。
因みに何故置いておこうと思ったか私自身分かっていない、正直頭が”?”で埋まっている。
そんな私を他所に少女は話す。
「何時も此処を通っているんですね」
端から見れば普通の質問だろう。
だが私からすれば意味不明な質問だ。
何故そんな事を私に訪ねるのだと、私は少女に違和感を覚えた。
「………ぇ、えぇ、そうですが…」
まぁ、何時も通り掛かって見掛けるのだろうかと私はそう思うことにし、その問いに答えた。
「でもどうしてそんな事を聞くんです?」
私は逆に少女へ疑問を問い掛けた。
「そうですね、ただ何時も見掛けるから声をかけてみたんですよ」ニコッ
そう少女は微笑みながら答えた。
見掛けるからかと多少安堵した、今時ならばストーカーとかもありえるから少し心配だったのだ。
まぁ、私の場合はストーカー等には無縁のごく平凡の社畜だがな。
「………そうですか、?」
「…私はそろそろ、ではッ」ダッ!!
端的な返事をし、私はその場を離れたかった為全力疾走で帰宅する事にした。
あっ、と言う声が後ろでしたと同時に多少の罪悪感を抱きながら知らぬ振りをして帰った。
帰宅してから振り返ると何だったんだと思う事ばかりだった。
「はぁ………」
何か疲れた気がする。
会社がブラックだからだと思う事にした。
明日も会社だから早めに休もう、そう思い食事を摂って風呂に入り、布団の中に潜った。
「今晩わ」ニコッ
嘘だろ………。
少女に会った翌日の帰宅途中、又もや少女に会った。
多少私の時が止まった。
「あー………、昨日振りですね………?」
やっと思いで重い口を開いた。
話せば話す程疑問が増える為、早くも何を話せば良いか分からなくなってきた。
「そうですね」
そう言葉を返す少女は淡々とした笑顔をして私の目の前に居る。
正直昨日の事もあり不気味である。
「………そ、それじゃ!!」
漸く言葉を発し後ろを振り返り、昨日と同じく全力疾走をしようとすると。
もう少し話を、と口を開く少女を差し置いて私は遠慮する、と少し大きめの声を出し又全力疾走で帰宅した。
家に着き、寝る頃に流石にもう明日は居ないだろう!そうであれ!と願いながら就寝した。
その願いも虚しく。
帰る頃には何時も少女が居る。
あれから何日が経過しただろうか、ずっと帰宅すると同時に外の街灯の灯りが照らされる同じ場所で少女は声を掛けて来る。
帰り道を変えても同じだった。
何と言うかB級ホラー映画みたいだと内心思いつつも正直凄く悩んでいた。
「今晩わ御兄さん」
又か………。
「何故此処迄私に固執するんですか…」
私は遂に思っていた事を口が滑ってつい少女に聞いてしまった。
少女は少し驚いた後に口を開いた。
「固執するにも理由があります、ですがそれは又今度お話ししますね」ニコッ
笑顔を絶さず話す少女の髪は街灯の灯りを遮る月灯りに照らされ、風が吹き雪の様な髪が絹の様に変わり靡く。
同様に紫陽花色の瞳も、宝石の様に輝いている。
そんな少女を悔しながらも綺麗だと思ってしまった。
その日から私は少女と少しずつ交流する様になった。
その時の言葉が少し気になったからだ。
決して(恋愛的に)好きになった訳ではなく、ただ単純に言葉が気掛かりだった。
交流し始め名前を尋ねると、少女は自分の名前は”做夢葵(ナユメ アオイ)“だと名乗った。
他愛ない話を帰り際に話し、帰宅し次の日も帰り際、同じ様に他愛ない話をする。
其れが私の日常となっていった。
長らく話して居ると葵に対して私の見る目が大きく変わった。
最初はただ不思議な少女や不気味、畏怖と言う印象を抱いていたが、どうやら中身は違うらしい。
面白い話をすれば笑うし、怖い話をすれば多少だが怖がる素振りを見せる。
会社や家族の話をすればちゃんと話を聞いてくれ、時には過ぎた事も言うが、普通の子供何だなと分かった。
時折兄弟は居ないのかと話を振られるが、生憎私に兄弟が居ないから、居ないと答えると少し外方を向いてそうですかと返事をする。
其処が今一分からない。
時が過ぎるのは早いもので、あれからもうすぐ一年が経つ。
今日は年末、年の終わりの日だ。
葵は今日は家で家族団欒中で居ないだろうなと私は思いながら変わらず、雪の降る何時も帰り道を歩いていた。
「お兄さん」
「!」
来る筈もないと、そう思っていた。
振り返れば其処には葵が居た。
「もうこの年も終わりますね」
そう言う葵は、何処か寂しそうな表情をしている。
どうしてそんな表情をしているのか、この年が恋しいからか。
私は疑問に思ったが、其の時だけどんな言葉で聞けば良いか分からなかった。
「、そうですね、」
そんな他人事な返事になってしまった。
何故かは分からない。
何か聞いてはいけない気がしてならなかった。
話を途絶えさせない様に私が話そうとしようとした時、葵が口を開き話し始める。
「、話したかったから、此処に来てみたんです」
「年の終わりは、話したいですからね」
「…楽しかったですね、」
淡々と話す葵は悲しそうで寂しそうだった。
話し方からしてもう会えないかの様に話しているから私は日常が崩れるんじゃないか、そう不安に刈られた。
「…もう行きますね、」
「葵、」
そう振り返り帰ろうとする葵を私は止めた。
真坂止められるとは思っていなかったのか、少し目を見開いたが、私はそんな事は御構い無しに葵に問う。
「…又来年も会えますか」
私は恋愛的に葵が好きではない、友人として、妹の様に思う存在だ。
そんな存在と会えないのは辛いから、攻めて会えなくとも今年最後に聞いた。
葵は驚いた表情をした後、直ぐ寂しそうな表情に戻り私の問いに答えた。
「、会えますよ、きっと…」
そう答えて直ぐ、葵は私の前から姿を消した。
「綺麗だよ」
兄さんはそう言ってくれた。
白い髪も、紫の髪も、綺麗だと。
他は皆、做夢葵…私は呪われた子だと、做夢亮(ナユメ アキラ)…兄さんや両親が可哀想だと言う。
私は望んでこうなった訳じゃないのに。
ずっとこの姿が嫌いだった。
それでも兄さんは、
「それは葵の個性だよ」
「絹の様な綺麗な髪に、紫陽花の様な紫色の綺麗な瞳を持つのは葵くらいだ」
「コンプレックスなら、私が受け入れて個性にしてあげる」
「だから自信を持って」
そう言ってくれた兄さんの言葉を昨日の様に覚えている。
何時も庇ってくれて、側に居てくれて、話を聞いてくれて、答えてくれて、周りにも分け隔てなく接してくれる。
優しくて私の唯一無二の兄さん。
私はそんな兄さんが今でもずっと大好きだ。
ある年から一年がループする様になった。
何故かは分からないが、その年から人々は一年経過する毎に記憶を失い、世界の時が戻り又一年が経過して記憶を失い又戻る。
その繰り返しだ。
ただ私だけそれは当てはまらなかった。
私だけ記憶がある、経過しても経過しても同じ記憶が募るだけだった。
私にとって何十年、何百年も経つ。
私の影響か、何故か兄さんは私自体を忘れてしまった。
一緒に遊んだ記憶も、一緒に育った記憶も、私と一緒に居た記憶だけが兄さんの記憶から全て消え去ってしまった。
それでも私は兄さんが好きだった。
兄さんが私との記憶が消えたとしても、私の中の兄さんとの記憶は消えては居なかったから。
記憶が消えても一から作り直せば良い。
どんな環境、状況でもどんな形でも良い………、何でも良いから………。
私はただ兄さんの側に居たい。
何度だって私は兄さんに会いに行く。
「…又来年も会えますか」
「、会えますよ、きっと…」
絶対会いに行くから、そんな心配そうな顔をしないで欲しい。
嗚呼、又年が明け、時が戻った。
兄さんも記憶が消えただろう。
さて、又今年ももう一度。
兄さんに会いに行こう。
「____今晩わ」
コメント
8件
こんなに感情移入したのは何年ぶりかな ッ 、 すっっごい泣けました 、 葵ちゃんとか 、 お兄様とかの関係が訳ありすぎる 、 主人公の子は気になって気になって 、 それでも記憶は消えちゃうから 、 最初から巻き戻し 、 其れの繰り返し 、 悲しすぎる 、 というか 、 そもそもで小説家の素質ありすぎですよね?? なんかそういう短編小説がぎっしり詰まった本が読みたい
やんわりと悲しい気持ちになりました...周りの人の記憶は消えるのに自分の記憶だけは消えず、同じ年を永遠とループするなんてかなり酷だろうなと感情移入してしまいました、、それでもめげずに記憶のないお兄さんに話しかけるなんて葵ちゃんは真摯で素敵な、恋する可愛い女の子だなと思いました!!毎回毎回神作をありがとうございます😭