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 先に仕掛けたのはエーゼ・ロワンだった。

 イーバーンに向かって真っ直ぐに、爆発するように跳躍する。それは立ちふさがる全てを粉砕する破壊の移動をしながらエーゼ・ロワンは剣を振り上げる。


 イーバーンに肉薄する。矢をつがえた弦のごとく身体がしなる。筋繊維が断裂しかかるほど強く剣を握り締めふり、下ろす!


「…………っぅ!!」


 エーゼ・ロワンの渾身の一撃は、しかしてイーバーンを捉える事はできなかった。

 朱髪が宙を舞う。円を描くように地面を滑るようにアルファの背後へと回り込む。それは素早かった。

 

 イーバーンの砲口がエーゼ・ロワンの背後に突きつけられた。

 胴を吹き飛ばす青色の光が収束する――!

 だがイーバーンの動きを読んでいるエーゼ・ロワンは振り下ろした剣の勢いを殺さず、更に身体にひねりをくわえ、その鋭い剣で背後のイーバーンめがけ斬り上げていた。


 鋭い剣が青い閃光を撥ね、剣と殲滅十字がぶつかり合い――瞬間、世界がひび割れた。


「やるじゃないか、汚物風情が」

「その口こそ、汚らしい。


 衝撃が波となって大気を軋ませ、二人を中心に球円状に景色がひしゃげた。地面は陥没し、木々が折れて吹き飛んだ。


「おや、気を悪くさせてしまったかな。謝罪しよう」

「貴方の挑発はわかり易すぎるわ」

「それは残念。ところで仲間の心配はしなくて良いのかな?」

「私は仲間を信頼している」

「素晴らしい信頼関係だ」


 戦塵が舞う中、つばぜり合いは一瞬。お互いの瞳が喰らいつくように交じり合う。

 衝撃で崩れ落ちた近くの洞窟の崖が二人めがけて崩落する。


 二人は同時に地を蹴り、後退する。二人のいた場所に瓦礫が砕けた。

 未だ日は昇りきっておらず、西の空に瑠璃色が残っている。まだ目覚めていない森の中で二人の存在の技と力が、意思がぶつかり合い火花を散らす。


 ――恐るべき男だ。

 森で戦っていたエーゼ・ロワンは内心で舌を巻いていた。

 木々を飛び移りながら斬撃と射撃を撃ち合いながらエルフのエーゼ・ロワンと、殲滅者のイーバーンは周囲を置き去りにして激突する。


 イーバーンの放つ神聖滅矢は恐ろしく疾い。それは百戦錬磨のエーゼ・ロワンをして捉えきれなかった。


 エーゼ・ロワンが刀をかまえた次の瞬間には、何条もの神聖滅矢が軌跡を刻み終えている。大気を斬り裂く神聖滅矢の連波を、エーゼ・ロワンは磨き上た戦闘経験で防ぎ、既のところで回避していく。


 空気がびりびりと震えていた。

 目の前からイーバーンの姿がかき消えた。


「少し、本気を出すとしよう」


 真横――!

 飛んできたのは斬撃ではなく回し蹴りだった。わき腹に向かってえぐり込むように放たれた踵をエーゼ・ロワンは剣を持っていない左手でガードする。骨の髄まで砕こうとするような重く響く一撃だった。雷にうたれたように体が痺れた。


(マズイっ)


 10メートル以上も蹴り飛ばされたエーゼ・ロワンは直感的に剣を盾のようにして前に突き出す。

 イーバーンが飛ばした神聖滅矢は既の所で防がれた。


「なんて、デタラメ……っ」


 魔法ではない。驚くことにエーゼ・ロワンはただの技術で神聖滅矢を飛ばす。青色の光は魔力ではない。別のなにかだ。


 エーゼ・ロワン体は神聖滅矢の衝撃で更に後方に吹き飛ばされる。イーバーンをエーゼ・ロワンを追いかけ木々伝いに跳ねて追撃する。イーバーンが神聖滅矢を走らせる度、青色の光がエーゼ・ロワンに襲いかかる。


「さぁ、どうする?」

「なめるな……っ」


 エーゼ・ロワンが体をコマのように回転させ、神聖滅矢を後方へと受け流した。魔力の噴出を最大限に発揮してイーバーンに肉薄する。今度は私が攻める番だと言わんばかりに剣をふるうエーゼ・ロワン。


「軽い遅い。その程度か、アンダージャスティス」

「はああああ!!」


 剣と銃が打ちあう甲高い音が響く。

 白と青。二つの閃光は火花を散らしながら衝突しあう。


 イーバーンの体さばきはおおよそ常識というものを置き去りにしていた。しなやかな筋肉と全身のバネをもって自由自在に中空で体勢を変え、物体は落下するという当たり前の法則下で真横にスライドするように跳ねる。

 それはスケート移動という殲滅者の基本的な高速移動技術だ。


「さぁ、貴様の力を見せろ!」


 しかしエーゼ・ロワンとて負けていない。その少女の体から想像できる敏捷な動きでイーバーンの予想を上回る。一瞬でも隙を見せればどちらかが負ける。拮抗した戦いをイーバーンは演出していた。

 二人の戦いはいっそう苛烈さを増していく。


「さて、そろそろお仲間は狩り終えた頃か」

「彼女達はそんな簡単にやられはしない」

「そうかな? 例えば私が三十人ほどいれば君たち程度簡単に倒せると思うが」

「ブラフだ」

「それを確かめるには、私を倒さなければいけないなぁ、汚物エルフ!」


 森の木々を駆け上がりながら二人は戦っていた。ほぼ垂直に近い木だ。わずかな取っ掛かりを足場に、塔に絡み衝く大蛇がお互いを食い散らすように、激突を繰り返す。


「神聖滅矢・連続速射」

「なっ!?」

 

 イーバーンが放ったのは上方に向かって放つ神聖滅矢の連続速射。その威力、スピード、数と共に今までの射撃とは一線を画する。


 エーゼ・ロワンは剣をかまえ、直撃こそ防ぐに至ったがその攻撃を完全に殺しきることはできなかった。


「ぐっ!?」

「ふははははは!!」


 エーゼ・ロワンの体は天空高くに打ち上げられた。歯を食いしばり、神聖滅矢・連続速射を上空へと受け流し、着地したのは大木にほど近い場所であった。追いかけるようにイーバーンも滑るように空中を移動して静止する。


「空に、立っている?」 

「霊子を足元に固めればこの程度、児戯に等しい。と言っても理解しないか、汚らしい忌み人め」

「その、忌み人って、私達の呪いのこと?」

「そうだとも! 汚らしい肉塊に変化して暴れる迷惑極まりない存在。しかもそれは感染者が死ねば周囲へ飛び散り、呪いを撒き散らす。全く、そうでなければこんなところまでくるものか」

「知っていること、話してもらう」

「すまない、聞こえなかった。神聖滅矢・連続速射」


 剣を構えた瞬間、青い光がエーゼ・ロワンを襲った。青い光に包まれてエーゼ・ロワンは地面へ落下する。


「最古参でこの程度か。他の奴らはこれ以下なら壊滅は簡単か」


 イーバーンはその場から掻き消えた。そして最初に会敵した場所に戻ると、他の狩猟部隊名達が、アンダージャスティスメンバーを倒し終えていた。しかし殺害まではしていない。


「さて、恐怖を刻む仕事は果たした。このアンダージャスティスたちにはもっと積極的に仲間を集めて強くなってもらおう。最後に纏めて始末し、その力を得るためにな」


 イーバーンはアンダージャスティスを椅子にしながら首の骨を鳴らした。


「あとはキルゲ隊長がお戻りするのを待つだけか」

異世界侵略部隊隊長キルゲ・シュタインビルトの華麗なる活躍

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